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白馬と姫  作者: カーネーション


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第54話『街の裏路地』

 狭い通路を抜け、上りはしごのてっぺんまで行くと、蓋が入り口をふさいでいた。どうするのと振り返ると、サディアスは「開けろ」と指示してくる。


 普通は男の人が蓋を持ち上げると思うけど、サディアスに期待したわたしが悪かった。レディとして扱ってくれるクラウスさんとは違う。


「わかったわよ」


 こんなのどうってことない。


「くっ」


 蓋の内側についたかんぬきを外し、腕がぷるぷるするのを我慢しながら押し上げる。


 運動不足の元神子にはつらい作業だった。ダメ、手が痛い。力を失っていくと、どんどん、蓋の隙間がなくなってしまう。


 あきらめかけたとき、背後から長い腕が蓋を上げてくれた。何だ、はじめから助けてくれれば良かったじゃない。


 でも、素直に「ありがと」と言っておけば、やっぱり、「ふっ」と笑われただけだった。


 重みを肩代わりしてもらったおかげで、蓋は無事に外れた。やっと外に出られたそこは、薄暗い裏路地だった。見たことがない街の裏側を抜けて大通りに出れば、街灯が照らすのだろう。


 少し遅れてサディアスが上がってくる。


「あ! 今、気づいたけど、サディアスはわたしの下にいたよね?」


「お前の下着なんか興味はない」


 何で言いたいことが伝わってしまうのだろう。しかも、興味はないって何の感情もなく、きっぱり言われてしまうと傷つく。一応、女なんだけど、つまらない。


 サディアスはわたしの気持ちにもお構いなしのようで、路地の端にあった木箱で出口の蓋に重石をした。


「これで少しは時間をかせげるだろう」


「そうかもね」


 強い口調で言ってみてもサディアスが気づくわけがない。そう思っていたら、案の定、わたしを置いてさっさと先に行ってしまう。本当に人の気持ちがわかっていない。


――わたしだってあんたの下着なんか興味はないんだから! なんてちょっとずれたことを思いながら、サディアスの背中を追いかけた。ほら、こんな暗闇のなかにひとりでいるのは危ないし。

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