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魔血吸の在り方  作者: スクロー
黄昏の出会いと結束の章
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帰路の在り方

皆がクスクから出て、帰路を辿る

その光景は正に葬式だった

ゴウ隊長に遺体は無く、ラギさんは国の脇に埋葬した

皮肉の様に空は晴れ渡り、太陽の光りが刺さる

誰一人顔を上げる人は居らず、黙々とただ歩く


これで、正解だったのだろうか?

それでも、生き残るのはこの方法しか・・・

歩きながら考える


歩き続け、クスクから大分離れた場所でレフィさんが目を覚ました


「・・・ん、ここは・・?というか何故私はお前に背負われているんだ・・?」


「おはようございます、とりあえずクスクから離れました」


どうなるのだろう?

もし抵抗して戻ると言うのであれば、多少強引でも連れていかなければならない


「・・・っ、ああ、そういう事か・・・」


どうやら思い出した様だ

しかし、思った程の抵抗は無かった


「そうか、・・・そうか」


それだけ言って、僕の背中から降りて歩き出した

下を向いているので表情はわからないが、皆似たようなものだ


「よ~し!!!ここで野営を開始する!!!皆準備だ!!」


新しく隊長になったグランさんが指示する

皆無言で従う

遠征部隊は空中分解寸前だ


「見張り当番は・・・とりあえずミコトとスーハ、俺とそこのお前だ!!!」


食事を終えて、夜の見張りを決める事になり、グランさんが指示を出す

僕はイーア方面の見張りを任された


そうして、日が沈んだ


「スーハ、あの時はありがとう」


「ん?何がでやんすか?」


あの時スーハが武器を捨ててくれなければ、遠征部隊は最悪の状態になっていたかもしれない


「あの時、最初に武器を捨ててくれたじゃないか」


「ああ、あれはペテンでやんすよ」


・・・、どうゆうことだ?


「大体あっしが、死とわかっていて竜に挑むと思いやすか?」


え?

でもあの時は僕とグランさんに反対した立場をとっていたはずだ


「集団ってのは対立した時、たとえ反対側が正しいとわかっていても寝返るのは難しいでやんす」


うん、先頭に立って言い出すのは難しいと思う


「だから始めから敵に紛れて入り込み、対立が深化した所で寝返るんでやんす、一人寝返れば後は芋づる状に着いてくるでやんす」


・・・そんな事を、あの一瞬で考えていたのか


「でも、それって皆が、自分の方が正しいって思ってたら上手くいかないんじゃない?」


みんな本当に死ぬ覚悟は出来ていたはずだ

あの時は味方に殺されるかもって状態だったから皆諦めてくれたけど・・


「・・・本当は死にたい筈がないんでやんすよ、誰かに止めて欲しいけど、引くに引けなかったんでやんすよ」


そうだったんだろうか・・・

ん?ちょっと待て


「そういえば味方に殺されるって表現は・・」


「そうでやんす、あっしが言いました」


あの時僕とグランさんは(相手になる)と言った

僕に殺す気はさらさらなかった

それでは本末転倒だからだ

しかしそこでスーハが(味方に殺される)と、この対立で死者が出る事を勝手に決めつけた

その結果、そんな不名誉を避けるために諦めた部隊員もいただろう


「なんていうかスーハって・・・」


「なんとでも言うでやんす、あっしに死ぬ気はないでやんす」


しかし、本当に死にたくないだけだったら、あの邪竜が来る前に一人で逃げていたはずだ


「・・・どちらにせよ、ありがとう」


「それならダンナのおかげでもあるんでやんすよ?そういえばあの海にいたデカ物はどうやったんでやんすか?」


それからしばらくあの時の話をした

スーハは話を聞く度に眉をハの字に曲げていき、聞き終えて


「というか、よく生きて帰ってきたでやんすね・・」


という感想を漏らした

まったく同感だった


焚き火に薪を入れて、パチパチという音に耳を傾けながら道を見張る

そこに、足音が近づいてきた

振り向くとそこに立っていたのは


「少し、混ぜてもらっていいかな?」


レフィさんだった


「レフィさん!?大丈夫ですか?結構長い間気絶していたみたいですけど・・・」


僕が聞くとレフィさんは首を振り、なんでもないという素振りをした


「少し後頭部が痛いけど、まあ仕様がないさ」


そういって、僕とスーハの間に座る


「すみませんでした、勝手に連れてきてしまって・・」


僕がレフィさんに謝罪する


「いや、こちらこそ頭に血が昇っていたみたいだ、すまなかった」


レフィさんも僕に謝ってくれた

よかった、嫌われている訳ではなさそうだ


「勇猛と野蛮の違いぐらい、わきまえていたと思っていたが・・・」


それからレフィさんがポツリポツリと語り出した


フーさんがとても活躍し、さらに僕も活躍したことで自分を情けなく感じた事

遠征を成功させるのが、昔からの夢だった事

あの竜を前にして、動けなかった自分が許せなかった事


レフィさんが俯いてしまった


「ゴウ隊長は私の事をよくしてくれていたのに、何も、何も出来なかった・・・」


声が震えていた

額に宛てた手の間から、雫が落ちる


忘れていた訳ではないが、思い出してしまう

人が、死んだんだ

ラギさんも隊長も

人が死んだ事なんて、全然経験に無かった

前世でのおじいちゃんおばあちゃんは元気だったし、友達や知り合いが死ぬ様な事はなかった


そうか、隊長は死んでしまったのか・・


遠征部隊に入れたのは隊長のおかげだ

あの時隊長が無理やり誘ってくれなかったら、きっと入隊していなかっただろう

おかげで命を賭けてでも助けたい仲間が出来た

いつも豪快に笑う人だった


ラギさんは飄々とした人だった

聞くと何でも答えてくれて、色々教えてくれた

最後は恐ろしい程大量の魔物を巻き込んだ上、さらに僕たちを守って死んだ

その結果、今僕たちは生きたまま帰ってこれている


ふと、涙が頬を流れている事に気付く

少し前までいた人がいない、それだけの事がこんなに悲しいなんて知らなかった



満天の星空の下、焚き火を囲みながら僕たちは、地面を少しだけ湿らせた

うう、予想以上に筆が進まない・・

これからしばらくはさらに鬱展開です

みなさんも予想は出来ると思いますが・・そうです、あれです

何故こんな展開にしなければならないのか、自分でもわかりませんが大体決まっています

そこに持っていくまでの過程がすごく難しいです

ですので、毎日更新は難しいと思います



感想をいただければ、私の筆が進むかもしれない・・(チラッ

でも、そんな我侭なこと言える訳が・・・(チラチラッ

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