虚勢の在り方
見張りが終わり、朝を迎え、さらに帰路は続く
フーさんは目覚めると、最初は状況がわからなかったみたいだけど、周囲の雰囲気と、ゴウ隊長がいない事に気付いて何かを悟ったようだ
何も言わずに僕たちと共に歩き出す
昼になり、食事を終え、また歩き出す
夕になり、野営をして、また歩き出す
依然空気は重いまま、ただひたすらに歩き続ける
行きで魔物が溜まっていた場所には、もう一匹も魔物はいなかった
おかげで歩くスピードは一定に保たれ、行きより短い時間で帰ってこれている
何度か野営を繰り返し、遂に僕が皆に追いついた村まで来た
最長でも残り一日でイーアに着く
そこで野営を行う事になった
食事が行き渡り、食べる段階になって、トダが話し出す
「俺、もう国に帰れないよ・・・」
最初は呟く様な声だった
それでも誰も話さないので、よく聞こえた
「俺さ、グランさんが撤退って言った時、安心したんだ」
誰だって死にたい人間はいない・・・か
「あの竜見た時にさ、絶対に勝てないって思ったんだ」
あの時は隊長以外、誰一人動けなかった
「隊長が殺された時だって、ただ怖くて震えてただけだった」
トダの顔は俯いたままだ
「この遠征の間だって、碌に役に立ってない」
確かにトダの活躍は余り見かけなかったかもしれない
しかしそれでも、精一杯に頑張っている姿は何度も目にした
「俺、さ、なんでこの遠征に参加したのかな」
その声は、自分自身に問いかける様だった
「役に立てると思ったんだ」
「皆に褒められると思ったんだ」
「でも!全然ダメダメで」
「なんでかな」
「俺、もの凄く弱いよ」
「強くないよ」
スプーンを持つ手が強く握られる
「どうしてっ!!何も!!何も出来なったんだ!!!」
「俺は!俺は・・」
「・・・もう国には帰れないよ」
レフィさんが立ち上がり、トダの元に歩いて近づく
「だったらいっそ、いっそあの時竜に殺されていれば」
そこでレフィさんがトダの頬を張った
乾いた音が周囲に響き渡り、手加減が無かった事を証明した
トダは頬を張られた状態で固まっている
「何故、お前が遠征部隊に選ばれたか知っているか?」
レフィさんは厳しい目つきでトダを睨みつける
「隊長はお前を未来だと呼んでいたよ」
未来、
「もし今回の遠征が駄目でも、未来にきっと成功するように」
「今回の遠征で見聞きした経験を生かせるように」
「そしてお前が、いや皆がいつか、笑顔になれる様に」
トダが、ポツリと言葉を零す
「俺は、戦力として期待されてなかったの?」
それでもレフィさんは厳しい態度を取りつづける
「子供なんていくらでもいるんだ、何故お前だったのか、よく考えろ」
トダはさらに言う
「でも俺、全然弱いよ?」
レフィさんが強く言い返す
「弱さがなんだっ!!ならば強くなればいいだろう!!!」
それは、
「今は弱くとも、いつか、いつか!」
まるで自らに言い聞かせる様に
「あの竜をも倒せる程強く!!」
強く、強い言葉だった
レフィさんがトダを抱き締める
「大丈夫、お前は一人ではない」
トダの泣き声が響き渡る
ずっと我慢していたのだろう
そういえばまだ幼い少年なのだ
これまでの旅で辛かったことなんて、何度もあっただろう
それを背伸びして、皆に心配をかけない様にしていたのだろう
実際遠征の歩くペースに合わせるのだけでも辛いかもしれない
この世界での成人なんてわからないけど、元の世界では小学生ぐらいなのだから当たり前だ
トダの泣き声は、しばらく場に響き続けた
この一件で遠征部隊の雰囲気が少し変わるが、もはや時間はない
次は、国への帰還だ
いったい僕たちは、どうなってしまうのだろう・・・
今回は少なめです、ごめんなさい
ああ、これでいいのだろうか
おそらく次の話が一番辛いです
なんだったら飛ばしてください
あ、でもここで書く事って適当だから信憑性ないし・・・
前書きに書いておきます




