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魔血吸の在り方  作者: スクロー
黄昏の出会いと結束の章
51/67

弱者の在り方


僕たちは歩く

血に濡れた道の上を


僕は歩く

皆の夢を叶えるため


だから今は

ただ歯を食いしばり、歩く


それがきっと、今僕がするべき唯一の事だから





~時間は戻り、最後の村を出た後~



あの村を出た後も、僕たちは歩き続けた

目的の場所まで後少し

皆の疲労も今が一番なのだろう

誰もがしゃべらず、黙々と歩いている


「隊長、今日はこの辺で休みやせんか?」


スーハがゴウ隊長に向かって言った

まだ日は高い、野営には早い筈だが・・?


「何言ってんだお前?まだ全然じゃねぇか??」


グランさんが答えた


「ふむ、どうしてここなんだ?」


ゴウ隊長がスーハに聞く


「いや~皆疲れていやすし、ここらがいいと思うんでやんすよ」


スーハにしては具体性に欠けた説明だ

スーハは結構計算高いから、大体の事は詳しく説明する

確かに村では大活躍だったから疲れているのは分かるけど


「本当にそれだけか?」


ゴウ隊長が訪ねる


「後は・・・勘でやんす、ここがいいと感じるでやんす」


勘って、いやしかしスーハの勘って結構当たるんだよな・・


「そうか、勘か」


「そうでやんす、勘でやんす」


しばらく二人は互いの目を見て、睨み合いとも見つめ合いともとれる状態でいた

お互い目を逸らさずに互いの目を見る

そうしてしばらくして、隊長が目を閉じた


「うむ、ではそうするか!!」


どうやら隊長はスーハの勘を信じたようだ


「おいおいマジでかよ!?もうすぐ国に着くんだぜ!!??」


グランさんの抗議ももっともだ


「何、私も何故だか嫌な予感がするのだよ、まあ何もなくてもそれはそれでいいだろう!」


そういってゴウ隊長は意見を変える様子はなかった



今日は単純に当番として、夜の見張りをまかされた


「今日は私と一緒だ!!」


一緒になったのはゴウ隊長だった


「そういえば、こうやって話すことってあまりなかったですね」


なんだかんだで入隊前に一緒にご飯食べて以来である


「そうだな、でもお前が入ってくれて本当に助かったよ、ありがとう」


そういって隊長は僕にお茶を渡す

ここだけの話、お茶は高級品で滅多に口にできないらしい

僕が飲んでいいのか聞くと


「この夜の見張りのためだけにこっそりガメて、・・オホン、拝借してきたのだ、気にするな!」


との事、大丈夫なのだろうか・・・?


兎に角、こう面と向かって感謝されるのは初めてで、顔が熱くなる


「いや、僕なんて最初に大遅刻してしまいますし、役に立てたならうれしいです」


「何、一日の遅刻などなんの問題もない位の活躍だ、この遠征がうまくいったらミコトは英雄だ」


英雄、本当にそうなのだろうか


「でも、国を取り戻して、どうするんですか?国は100年以上前に滅んでいるのなら、何もない場所になっているのではないですか?」


そうだ、たとえそこに魔物がいなくなったとして、その後はどうするのだろう

住むにしたって家などないだろうし、全て一からになる

その間に魔物が襲って来ない訳もない


「うむ、きっと殆どこれまでの村と同じ様な感じで何もなくなっているだろう、しかし魔物がいなくなれば、そこに住みたいという人がイーアには大勢いる、その人たちがきっと国を再興してくれるだろう」


100年前に滅んだといえ、故郷に帰りたいと思う人はまだいるのか

それとも、別の理由で滅んだ国クスクに住みたいのだろうか


「まあ何にせよ最後だ、これがうまくいけば人々に希望が戻る、国が一つ戻れば飢える人々も減る、私も・・」


そこでゴウ隊長は言葉を切った

続きは気になったけど聞ける雰囲気ではなかった


「ミコトには期待しているぞ!皆で笑って帰ろう!!」


そう言いゴウ隊長は僕の背中を叩いて笑った



そして翌朝、起きて進行を開始する

なんだか生臭い臭いがする


「なんか、臭いますね」


僕が呟くと皆が同意した


「おそらくだが海が近いのだろう」


レフィさんが言った

そうか、クスクは海の国だ

だからもう海が近いのだろう

しばらくして、前方に何かが見える

何か黒い物の集団だ

僕は何度となくそれを見たことがある

あれは、魔物の群れだ


「やっぱりでやんすか・・」


スーハの予感はこれだったらしい


「よっしゃあ!!いっちょやるか!!」


グランさんはやる気満々だ

皆気合が入っている


「隊長、提案があるでやんす」


そこでスーハが隊長に言う

提案?なんだろうか?


「これからの魔物、あっしたちにまかせてくれやせんか?」


あっしたち?誰のことだろう?

そう思っていると、村で選抜された人以外の人たちが前に出た


「それは何故だ?皆でやった方が早いだろう?」


ゴウ隊長がそう言った

しかし、隊長も薄々スーハの意図がわかっているようだ


「あっしたちは強い魔物には無力でやんす、なら弱い魔物を一手に引き受ける事にしたでやんす、あそこの道に塞がっている魔物たちならあっしたちでもなんとかなりやす」


つまり、国の中にいる魔物には無力だと踏んだスーハたちは、道中の弱い魔物たちを引き受けるという事か

しかし、あの道の上にいるのはこれまでと違い相当な量だ


「あっしたちは絶対に足手纏いになりたくないんでやんすよ」


スーハたちは、何かを覚悟した顔だ

ゴウ隊長が聞く


「・・・スーハ、君もか?」


「はい、あっしもきっと役には立ちやせん、たとえ生き延びたとしても」


何故だかゴウ隊長とスーハはお互いの事をわかっている様だった

それだけの言葉で、ゴウ隊長は全て理解したみたいだ


「・・・・わかった、ただし手に負えない魔物が出るまでだ、後、」


そう言って、ゴウ隊長はスーハたちを見渡して


「皆生き残ること、これが絶対条件だ!!」


そう言った


「ケッ、野郎ども!!死ぬんじゃねぇぞ!!!」


グランさんも渋々納得した様だ


「「「おう!!!」」」



遠征部隊の最後の進行が始まる

嗚呼、やってしまった、遂に1日空けてしまった

1日空けるとそれが2日、3日となりそうで怖いです

完結への道が遠のく。。

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