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魔血吸の在り方  作者: スクロー
黄昏の出会いと結束の章
52/67

代償の在り方

それから丸二日、進行は続いた


夜だろうとお構い無しにスーハたちは魔物を狩りつづけ


遂に、その時が来た


「ダンナ、後は頼みやした・・」


ふらふらで、今にも倒れそうなスーハと入れ違いに見えた城壁

今にも崩れそうだけど、未だ在り続けるそれは

僕たちを歓迎している様にも

拒んでいる様にも見えた


「・・ったく、ようやく出番かよ!」


「ああ、そのようだ」


グランさんの言葉に隊長が返す


「これがこの遠征の最後だな!」


「絶対に、取り戻しましょう」


レフィさんの言葉に僕が返す


「では、わしに先陣を切らせてはくれんかのぉ?」


そういったのはラギさんだ

ラギさんが一番手・・?


「しかし、魔法はここぞと言う時にとって置いた方がいいのでは?」


ゴウ隊長がいった


「何、わしももう十分生きた、後人が力を残しておいた方がよかろう」


そう言うと、ラギさんは先頭を歩き出した

崩れかかった城壁の中には、真紅の目を持つ魔物たちの姿も見える


『思えば寂しい人生じゃった』


ラギさんが何かを唱えながら歩き出す

感覚でただの言葉じゃ無く呪文だと分かる


『母が死に、父が死に、戦友も皆死んで、息子が死に、その嫁も死んだ、その腹の中の孫たちも』


しかしこの呪文、何故か尋常じゃない力を感じる


「ラギさんは何をする気なんですか?」


僕はレフィさんに聞いた


「あれは・・・」


しまいには最愛の妻にも先立たれ、わしにはもう何もない』


「あれは恐らくついの魔法、優秀な兵の中でも一摘みの人間しか辿り着けない究極の魔法」


レフィさんが目を見開いて、ラギさんを見ながら言う


『あるのはただただ憎しみだけ、魔物が憎い、魔物を殺せ、毎晩夢に見る程じゃ』


「その魔法は絶大な力を持つという」


ラギさんに力が収束する、力が空間を歪め、光と闇になって目に映る

僕は正直ラギさんを侮っていた、額を冷や汗が流れる


『これが最後じゃ、もうこれでお終いじゃ』


「しかし代償がある」


背筋がぞっとする、地面から暗い手が伸びて来ているように見える

いや、実際に伸びている!何本もの腕が地面から生え、魔物に向かっていく!


『これより先、我が魔力は尽きぬと心得よ』


「代償は、」


これ程の力の代償?

魔法が使えなくなるのか?


『亡き亡者たちの魔手』


「その、生命だ」


数々の魔の手が魔物に襲いかかる

捕まれた魔物は捕まれた傍から消失していく

足の速そうな魔物が魔手を逃れ側面から回り込もうとするが、突然動きが止まる

見ると足元から出た手に足を取られている

足を失い、それでも芋虫の様に近づこうとするが、それも虚しく数多の魔手が密集し、跡形もなく消失する

ラギさんを中心にして、まるで水滴を落とした水面の様に魔物を同時に多数殺し尽くす様は

恐れ多くも心強い


「皆、ラギ殿に続け!!」


僕たちはラギさんを守る様に陣取り、街の中を進んでいく

ラギさんの魔法は地面から攻撃する都合上、空からの攻撃に弱い

空からやってくる魔物は僕たちが相手をすることになる


「!おっ!!ドラゴン型だ!!」


グランさんがそういったので


「僕に任せてください!」


と言って駆け出そうとしたが、


「まあ見てろって!!」


グランさんは太刀を構え、すれ違いざま


「おらっ!!」


と気合一閃、魔物を両断した

漫画やアニメでしか見たこと無かった光景がそこにはあった

両断された魔物はそのままラギさんの魔手に捕まり消えた

だが、

その時ラギさんの口から血が吹き出た


「ラギさん!!」


「まだ大丈夫じゃ、しっかり前を向いとれぃ」


ラギさんの顔にはもう既に生気がない

ならば!


「僕がラギさんを背負います!そちらの方がいいでしょう」


僕は了承が取れたか分からないままラギさんを背負った

これで無茶な動きはとれないけど、元からラギさんの傍を動けないから構わない


「そうだな、そのまま進むぞ!!」


隊長がそういって、道を突き進んでいく

魔物たちは際限なく沸いてきて

目につく度にラギさんの魔法にとらわれる

兎に角、国の中央にいかなくては

事前に聞いていた作戦は中央に着いてからだし


「気をつけろ!!今来てる奴は速いぞ!!」


隊長がそう叫んだ

やってきた魔物は蝿を人の頭二つ分ぐらいに大きくした魔物で、同時に6、7匹出てきた


「よっと!!」


「フン!!」


グランさんが斬ろうとして太刀を振り下ろすが、


「なにぃ!?」


刃が入らない様で、太刀を受けながらもすり抜けて来た

隊長は一匹を確実に仕留めた


「なら僕が!!」


一斉に襲ってくる蝿型たちだけど、それぞれでやはり時間差がある


「はあああっ!!」


それを見極めて、順番に握りつぶす!

1匹2匹3匹と潰して、4匹目と5匹目を同時に潰す

しかしいつの間にか真後ろに回っているのには気付かなかった


「ハァッッ!」


それをレフィさんが見事に両断した


「!助かります!!」


「いいから推め!」


しかし刃が通らない魔物のはずなのにどうして両断できたのだろう

レフィさんもやっぱりすごいな


そうしてなんとか中央広場にたどり着いた


「レフィ!手伝え!!グランとミコトは防御に集中しろ!!」


隊長がそう言って、背負っていたリュックを下ろし、中なら何かをとりだす

このリュックは旅の間ずっと背負っていた物だ

一度何故ソランさんに預けないのか聞いてみた事があったけど


「ソランの魔法では、これはしまえないんだ」


とだけ言っていた

どうやらこの作戦の大事な鍵だったみたいだ

取り出したのはお札みたいだった

それをレフィさんと二人で並べていく

中央広場は魔物が大量にいたが、ラギさんの魔法でかなりの数が消滅

広場がとても広いので全滅とはいかなかったのが悔やまれる

兎に角飛んでくる奴は全て叩き落とす


そうこうしている内に完成したようだ


「よし!!これで終わりだ!!!」


ゴウ隊長が叫んで、お札の一ヶ所を破る

瞬間、ありえない事が起きた

そのお札を中心として、辺り一帯の魔物たちが消え始めたのだ

それは空を飛ぶ物も例外なく

これまで何処にいたのかと思うほどいた大量の魔物たちが消えていく

そうして少しすると、目に見える全ての魔物が消え去った


「どう、なったんですか・・?」


僕は恐る恐るたずねる


「ははっ、終わったんだ・・!」


レフィさんが答える


「は~あ、しんどかったぜ~」


グランさんもそういう


「ようやく・・か」


万感の思いを込めて、隊長も言葉を漏らす

その時、ラギさんの体から力が抜けた


「ラギさん!?大丈夫ですか!?」


僕は極力負担のかからないようにラギさんを降ろしてその場に寝かせる


「やれやれ、これでもう思うことはない・・後は、たのんだぞぅ」


「「「ラギ殿さんっ!!!」」」


そう言ってラギさんは目を閉じた


僕たちはラギさんに黙祷を捧げ、とりあえずは国に生き残りの魔物がいないか確認することにした


僕には未だに実感がない

これまでに幾度となく挑戦した遠征が、死者が1名だけで出来てしまった

こんなにうまくいくのだろうか

しかし、国の中には魔物の気配はしない

・・・終わったん、だろうか

僕は、英雄の一人になれたんだろうか

そんな事を思い描いて、僕は国の中を歩く



まだ、始まってすらいなかった事を、この時の僕は知らない

ゴウ隊長が普段活躍しないのにはこういった理由があるんですね

札の説明は恐らく次の話でします

ああ、最後の村では他の隊員に預けてますが、基本隊長が持ってました


何故か文章が雑になってきた気がする

話を急ぎすぎたか・・?

しかしこれ以上は、今の私には・・・

うむむ

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