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魔血吸の在り方  作者: スクロー
黄昏の出会いと結束の章
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月影の在り方

少年の背丈は僕より少し低いぐらい、服装は和服の様に見える


少年とは言っているが、性別は分からない


もしかしたら少女かもしれない


まあそんな事はどうでもいい


何故、ここに人がいるのか


遠征部隊にこんな子はいなかった筈だ


トダくんが一番近いけど、違う


何故だか違うと確信できる


少年は僕に気づいているのかいないのか、笛を吹く


その旋律は、やはり美しい



しばらくして、少年の演奏が終わった


拍手でもしようかと思ったけど、どう考えても場違いだ


兎に角、話し掛けなければ


そう思うのと同時に、


「君は」


少年が語り始めた


「君は何故、と考えた事があるだろう」


それは断定の意味を込めた言葉だった


「何故、私たちは生まれ」


その声は、やはり女性か男性か判断がつかない声だった


「何故、死にゆくのか」


少年は語る


「わからないが、しかし、理不尽にも私たちに抗う術はない」


生き死にを操る事など、誰にも出来ないだろう


「それでも、死だけは操る事が出来る」


死を、操る・・?


「まあ所詮早めるだけだが」


つまり殺すということか


「しかし、それを強制されるのはどうだ」


これは殺されるということか?


「理不尽な世界を、さらに理不尽にしてしまう存在がある」


殺されて終わるなんてのは嫌だな


「君は、それに抗う気はないか?」


抗う、それは、


「言葉を持つのなら、答えてくれないか?」


少年は、僕に問いかけた


「僕は、抗うよ」


僕は答える


「どんな理不尽だって、抗って見せるよ」


今までそうしてきた様に


少年はしばらくの沈黙の後、また話し出した


「君は、強いのだね」


少年は、後ろを向き、歩き出した


「ならば、抗って見せてくれ」


僕は何故か動けなかった、何かに胸の辺りを押されている様な感覚がある


「そうすれば、また会う事もあるだろう」


そう言って、少年は影に消えた


「待って!!」


その時になってようやく動ける様になり、少年のいた辺りを見渡す

しかし、少年のいた場所には誰もいない

進路を予想して追ってみたけど、やはり姿が見えなかった


正直白昼夢だったのかとも思うが、来た道はしっかり覚えていた

夢ならばそうはいかないだろう

あれはなんだったのだろう?

狐のお面といい、服装といい、もの凄く和風だったけど

こんな場所で生きていられる人などいるのだろうか

あの人の目が、頭から離れない


お面越しの目は、紅く輝いていた気がする


僕はテントに戻り、そのまま眠る事にした

考えるだけ無駄な気がしたのだ

そして僕はまた、目を閉じる




「よし!!皆休息は十分だろう!では行くぞ!!」


ゴウ隊長がそう言って、進行がまた始まった

もうすぐ最後の村に辿り着くそうだ

その次は、100年以上前に滅んだ国に入る



国の名前はクスク、海と青空の国



僕たちの奪還する目標の国だ


「もうすぐだね」


僕はスーハに話しかける


「そうでやんすね、いや一時はどうなることかと思いやしたが、何とかなるもんでやんすね」


そうだ、これまでの魔物の群れは尋常じゃなかった

この村を通ればようやく最後のステージだ


「おう!!!お前ら油断してんじゃねぇぞ!!!」


この声の音量はグランさんだ


「俺も聞いた話だがよ!!最後までいった遠征部隊は少なくないんだと!!」


そうなのか、そこまで行けて当たり前なのか・・・


「まあもっとも、昔の遠征部隊はもっとでっかい団体だったみたいだがな!!!」


今生き残っている国はイーアだけだが、それ以前も遠征は行われている

国と国が手を組んで遠征をした事だってあったんだそうだ


「まあことごとく失敗したみたいだけどな!!根性のねぇ連中だぜ!!!」


ん?というか今の僕たち遠征部隊は100人もいないぞ

いくら人が集まらないからって、もっとたくさん人がいてもいいと思うんだけど


「なんでも魔物の討伐は人数がいくら多くても駄目なんだそうだぜ!!千人の雑兵より一人の強兵の方がいいんだと!!」


ん~、どうなんだろう?

でもそうじゃなきゃこの人数の遠征部隊なんて組織されないか


「兎に角よ、最後が一番やべぇって話だ!!!気合入れろよ!!」


そう言って、グランさんは先頭に歩いていった

気合十分、といった所か


最後、か

これまでで一番大変なのか・・

橋の時より大変な状況ってどんな感じなんだろうか?

あの毛むくじゃらの魔物が大量にいるとか?

いや、もしかしたらその巨大バージョンかも

しかも魔法が効きにくいとか

・・・想像すると気が滅入るな

兎に角、次の村を突破しなければ!


「見えてきたでやんすよ」


スーハに言われて正面を向くと、遠くに村の門の残骸が見える

おそらくここにも大量の魔物が留まっているのだろう


「よし!!がんばって突破しよう!!」


僕はスーハにそう言って、張り切って村に向かった




皆、無言だ

これは、どうすればいいのだろう?

いやいや、流石にこれは・・


村には予想通り魔物がいた

それもかなりの数だ

それらの魔物の目が、尽く紅い

・・・毛むくじゃらの魔物と同じぐらいに


「うむ、これは、作戦を立てた方がよさそうだな!」


ゴウ隊長がそういって、一旦引き返した


「どうするんでやんすか?」


スーハがゴウ隊長に聞く


「うむ、あの魔物は人数がいても無意味だろうから、少数精鋭で向かうべきだろう!」


レフィさんの剣で刃が立たなかったのだ、そうするべきだと思う


「となると、私とレフィ、グラン、ミコト」


僕は参加確定みたいだ、まあ、予想はしていた

スーハは僕の肩に手を置いて肩を竦めている

うぜぇ・・・


「この老いぼれも参加しようかねぇ」


そういったのはラギさんだ

ラギさんの実力が初めて見られる!


「それはありがたい、では後は、そうだな・・スーハ、援護を頼む」


「あっしでやんすか~!!??」



ちょっとざまあみろと思ったのは、内緒だ

よし、言い訳をします

スーハは誰でも入れるといってますが、遠征部隊は精鋭です

よって誰でも入れる訳ではありません

おそらく入れなかった人が、自分の名誉を守るために吐いたデマをスーハは信じてしまったのでしょう

ということにします、しますとも、えぇ


因みにこの世界は太陽が一つ、月が一つという設定です

というか殆どそういった所はこちらの世界と変わりません

設定作るのがめんどくさいからではありません

だって月の数増やしたら公転周期とか夜の暗さとか考えないといけないし、太陽増やしたら、もうどうなってんのって話ですし、やっぱりめんdゲフンゲフン


一応裏設定とか作ってますけど、公開する予定はありません

相当気が向いたら書きます

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