表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
test  作者: test
68/69

第五章 - 犬猿の後日譚②

 真尋さんを見やると、まるで憐れむような目でこちらを眺めていた。


「そういえば真尋さん、真澄は誘わなかったのか?」

「えぇ……? えっと、その……真澄を誘うと、色々ややこしくなりそうだから」

「ややこしいこと……?」


 ってなんだ?


 と疑問が浮かんだところで、俺のスマホがぶるっと震える。


 噂をすれば影ってやつか。プッシュ通知を開いてみると、真澄からのメッセージだった。


『ゆうくん、いまなにしてるの?』


 俺は特に考えることもなく「カフェで勉強してる」と返信した。

 すると、1分も経たずしてふたたび通知がくる。


『うそついちゃだめだよ?』


 ……嘘はついてねえんだけどな。


 どう返したものか悩んでいると、さらに新しいメッセージが表示される。


『さっきおねえちゃんに連絡したら、今日はお昼食べて帰るって。どこか出かけてるのって聞いたら狗上さんに呼ばれたって。そこにゆうくんも居るって。うそつきうそつきうそつき』


「違うっつうの……」


 たまらず返答が口から漏れた。


 その様子を狗上と真尋さんが怪訝に思ったらしく、改めてふたりに説明すると。


「ちょっと貸しなさい」

「あっ、おい、ちょっと――」


 狗上に素早くスマホをひったくられた。ものすごい勢いで会話の履歴を遡られる。そしてあろうことか、真澄からのメッセージを口頭で読みはじめる。


「いま何してる? すこし話せる? ぼくのこと、どう思ってる? ゆうくんの声きいて安心した。土曜、ふたりでいっぱいテニスしようね。約束だからね。ねぇ、ぼく以外の人とラリーしないで……って言ったら、ゆうくんはどうする? ……こっわぁ……」


 実に数百件にもおよぶメッセージを目の当たりにして、狗上は思いっきり引いていた。真尋さんは「だから言ったのに」とでも言いたげな顔で肩をすくめている。


 とりあえずなにか言い訳しねえとな……。


「正直なところ、『どう思ってる?』とか聞かれても答えにくいんだよな。すげえプレイヤーだと思ってるし、お互いに良いライバルになりたい。俺が大学に行ければ、もしかするとチームメイトにもなれるかもしれねえ。いろんな思いがあって、一言にまとめきれねえよ」


「……それで、あんたはなんて返したのかしらね」


「なんだったっけな?」


 深夜に喉が渇いて起きたタイミングで気づいて、勢いで返信した手前記憶が曖昧だ。

 どうやら狗上はくだんのメッセージにたどり着いたらしい。


「『うまく言えないけど、好きだよ』って……これはあんたも悪いわね……」

「そうなのか?」

「こんなにさらっと、好きだよ、なんて言われたら普通の女の子なら勘違いするわよ」

「なに言ってるんだ、真澄は男だぞ?」

「ものの例えよ……」


 その言葉の意味するところは掴めないままだったが、俺は狗上に身を寄せて。


「もういいだろ、スマホ返してくれ」


 と、近づいたところで、ふと気づいた。


「あれ……? もしかして狗上、化粧してる?」


「……うるひゃい……」


 俺が言うと、狗上の顔が突如としてボンッと赤くなる。

 そんな様子の狗上を、真尋さんが覗き込むようにして尋ねた。


「……優姫、もしかして申渡くんっていつもこんなんなのか?」

「……………………うん」


 すると、真尋さんはポンとその肩を叩いて。


「こっちはこっちで険しい道だな……優姫」

「……うるさいわよ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ