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☀ イストリゲ~ム  作者: 雪*苺
   【 克慈宅 】
82/156

克慈宅2 部屋

 

 食事を終え、後片付けを終えた私は、克慈の部屋に居る。

 

 克慈と向かい合わせになり、ノートパソコンを広げ、◯oogleで検索をしている。

 

 検索しているのは勿論、ここ最近で起きた被害者が多く出た大きな事故について、目を通してチェックしている。

 

 当時の事故を偶然に撮っていた誰かが、その動画をアップしていて──、それを見てみると、いたたまれない気持ちになる。


 

惠美

「……こんなに酷い事故だったんだ……」


 

 民間ヘリコプター三機が墜落し、サービスエリアが炎上した動画を見ていた私は、想いを寄せていた遺さんを思い出した。

 

 アイスクリームを買う為に行列に並んでくれていた遺さん。

 

 あの時、偶然見た舜也さんの後を付けないで遺さんを待っていたら──。

 

 遺さん,舜也さん,舜也さんの浮気相手(?),克慈,私は、一体どうなっていたんだろう?

 

 事故に巻き込まれて死んでしまっていただろうか。

 

 それとも何も起きなかったのか……。

 

 馬鹿みたいだよね、そんな事を考えるなんてさ……。

 

 克慈と私がサービスエリアを出なくたって、事故は起きていたんだよね?

 

 私は克慈に助けられた……。

 

 運が良かっただけ──、なのかも知れないよね?

 

 そうだ、今更だけど、私は遺さんと一緒にサービスエリアの中で、大事故に巻き込まれて死んでいたかも知れないのだ。

 

 克慈が私をサービスエリアから連れ出してくれなければ、きっと確実にあの日、私は死んでいた。

 

 兄を亡くしてから、未だに立ち直れていない両親が、私まで亡くしてしまったら……と考える。


 

惠美

「……壊れちゃうかな?」


 

 最愛の子供を亡くしてしまう親の心情は私には解らない。

 

 強そうに見えても、脆くて弱い──私の両親。

 

 私は克慈に未だ、お礼を言っていなかった。


 

惠美

「克ちゃん、あのね──、来てくれてありがとね。克ちゃんが私を連れ出してくれなかったら、私はあの日に……」

 

克慈

「何、急に? 明日は空からウニが降って来るかもね。それか、食べたカレーが当たった?」

 

惠美

「そんな訳ないし!! 何で克ちゃんはそんな事ばっかり言うの? 私は、お礼を言ったんだよ!」

 

克慈

「何か悪巧みでもしてるんでしょ? 俺への仕返しとかさ」

 

惠美

「……自覚あるんだ? 仕返しされるような事してたって自覚が! 吃驚なんですけどっ!!」

 

克慈

「そりゃね、俺は惠美と違って善人だからね。自覚くらいしてるよ。当然でしょ」

 

惠美

「私は善人じゃないって言うのっ?! 言っときますけどねぇ、克ちゃんよりも私の方がずうぅ〜〜〜っと善人さんなんですぅ!!」

 

克慈

「はいはい、そういう事にしとこうか? 俺は優しいイケてる男だからね」

 

惠美

「何処にイケてる男が居るの? 私には見えないんですけど? 性悪男しかね!!」

 

克慈

「惠美は幾つになっても子供だね。あんなに些細な事を未だに根に持ってるなんて……。相変わらず過ぎて俺は悲しいよ。惠美が残念な子過ぎてね」

 

惠美

「私は残念な子じゃないよ!! 断じてっ!!」

 

克慈

「そうだね、そういう事にしとこうか」


 

 むきゃきゃきゃきゃ〜〜〜〜!!

 

 ムッカつく〜〜〜!!

 

 何でこんな奴に『早く会いた〜い!』なんてチラッとでも思ったんだろう!!

 

 信じらんないっ!!

 

 ……阿呆らしっ、克慈に話し掛けるのは、もう止めよっと。

 

 検索の続きしよ〜と。

 

 ……、……、……、ふ う〜、肩が凝って来ちゃったよ。

 

 目もチカチカして来たし……、ちょっとだけ休憩しようかな。


 

惠美

「……ねぇ、克ちゃん」

 

克慈

「……うん?」


 

 はうぅっ!!

 

 もう声掛けないって決めたばっかりだったのに、話し掛けちゃったよ〜。

 

 馬鹿だな、私は……。


 

克慈

「なに?」

 

惠美

「え〜と……あの、そのぅ……、呼んでみただけ……なんちゃって?」

 

克慈

「ふざけるなよ」

 

惠美

「──違っ、嘘です! 冗談ですぅ!! ちゃんと用事ありますから怒らないで下さい〜!!」

 

克慈

「で、なに?」


 

 ううっ、克慈めぇぇぇっ!

 

 さっきとは打って変わって、シレッとしてるぅぅぅっ!


 

惠美

「もうっ、嫌だなぁ、克ちゃんったら〜。そんなに恐い顔しないでよ。何か食べる? 画面とにらめっこしてるとお腹空くよね?」

 

克慈

「……ああ」

 

惠美

「……何さ、生返事しちゃってさ! 私と話すより画面の方が大事って言うの〜?!」

 

克慈

「惠美、キンキン煩い。黙って」

 

惠美

「ああ、そうですか! いいですよ、私の分だけ作るから! 克ちゃんなんか賞味期限切れのレトルトカレーでも食べて寝込んじゃえっ!!」


 

 私は部屋のドアを開け、勢いよく閉めると、一階に降りた。

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