寺社8 自宅
克慈と私は最寄り駅から実家へ向かう。
克慈と別れた私は家に入る為に門の鍵を開ける。
玄関には案の定、鍵が掛かっていた。
何時も決められた場所に隠されている家の鍵を取り、玄関の鍵穴に差し込み回した。
家に入って、一直線に階段へ向かい駆け上がった。
部屋に入り、バッグをベッドの上に投げ置き、机の上に閉じたまま置いてあるノートパソコンに手を伸ばした。
すっかりご無沙汰なノートパソコンの上には、私が趣味で書いている物語の下絵や設定書きの紙が入ったファイルが乗せてある。
六段重ねになっているファイルを横に退けて、近くに置いてあるノートパソコンを持ち運ぶ為に態々作ったバッグに入れた。
惠美
「よし、後は電話か……」
バッグに入れたノートパソコンを机の上に置いたまま、私はベッドに腰を下ろす。
ベッドの上のバッグから携帯電話を取り出し、未だ生きている……、未だ無事な──の方がいいか。
うん、未だ無事な友達(一名省く)に電話をする。
────と、言っても善朋と智沙しか居ないんだけど。
善朋とは後日、蓉子の御葬式で会う事になったけど、智沙は案の定(?)話を聞いてはくれなかった。
話くらい聞いてから切れや!
あ~あぁ、だから智沙に電話なんてしたくなかったのに~!
克慈の名前を出せば嫌でも話を聞いてくれるだろうけど……、それだけはしたくないんだよね。
智沙にだけは克慈の家を知られなくない。
私の勝手なんだけど、克慈の家に智沙が足を踏み入れるのは嫌なんだ。
智沙が克慈の家で寛ぐなんて、そんなの嫌過ぎる!!
惠美
「んだば、克ちゃんの家に行く前に、着替えの用意しますか」
タンスの引出しを開け、手早く手提げ袋に下着,明日の着替え,靴下,ハンカチを入れた。
因に寝間着,洗顔セット,化粧セットは克慈の家に置いてある。
克慈が『置いてけばいい』って言うから、言葉に甘えて其のまま置いてあるんだよね。
ノートパソコンが入ったバッグと手提げ袋を持って部屋を出る。
階段を駆け降りる私の足は軽い。
どうしてだろう?
早く克慈の家に行きたくて仕方がない。
蒔邑寺社に行ってから、私はおかしい。
克慈に早く会いたい。
克慈の顔が見たい!
克慈の声を聞きたい!!
玄関を出で鍵を掛け、元あった場所に鍵を隠す。
門を出て鍵を掛けて──、いざ、克慈の家へ。




