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☀ イストリゲ~ム  作者: 雪*苺
   【 寺社 】
79/156

寺社7 電車

 

 利樹さんに駅まで送って貰った克慈と私は電車の中。

 

 ガタゴト揺られながら、私はウトウト……。

 

 本当なら寝ちゃ駄目なのに、善朋に返信しないといけないのに……私は酷く眠い。

 

 近々、御葬式がある。

 

 ……行きたくない。

 

 行ってしまったら、現実を受け入れなければいけなくなるから……。

 

 克慈や利樹さんの言う通り、お祓いは気休めでしか無いのだろうか?

 

 支払ったお祓い代を返してもらう事は出来ないのだろうか?

 

 神主さんや巫女さんを詐欺罪で訴えるとか出来ないのだろうか?

 

 ……神主さんや巫女さんが悪くない事は、私だって一応は分かってる。

 

 訴えて、仮に逮捕されたって──、死んでしまった人間が生き返ってくれない事だって、私はちゃんと分かってる……。

 

 それでも、誰かや何かの所為にしないと気持ちを保てない弱い私は、本当に嫌な奴だ。


 人って、そうなんだろう……。

 

 受け入れたくない事が起こったら、取敢ず誰かや何かの所為にしないと気が済まないんだ……。

 

 それを心の拠り所にして……。


 

克慈

「……同じだな」

 

惠美

「──へ? 何が? 克ちゃんどうしたの?」

 

克慈

「ん、別に……」


 

 何なのさ急に、気になるんですけど!

  

 明後日の方向を見たまま(明後日の方向って何処?)呟いた克慈は私以上に眠たそう。


 

惠美

「もう〜、気になるじゃんか〜。言い掛けて終わらないでよ〜」

 

克慈

「順番が同じだって言ったの」

 

惠美

「順番?? 何の順番? お祓いを受けた順番?」

 

克慈

「違う、椅子取りゲームの順番。覚えてないの?」

 

惠美

「椅子取りゲーム? ああ、あれね。意外と楽しかったよね」

 

克慈

「惠美には期待してなかったけどね……」

 

惠美

「期待って何の?」

 

克慈

「覚えてないだろうなって事だけど」

 

惠美

「覚えてるよ〜、ちゃんと! 参加したの一二人でしょ。意味の無い雰囲気作りまでさせられてさ、皆で◯ンパンマン◯ーチを歌いながら──」

 

克慈

「そこはどうでもいいよ。敗者の順番は覚えてる?」

 

惠美

「……負けた人の順番? ……別に覚えてないけど?」

 

克慈

「そう言うだろうと思ってた」

 

惠美

「そんなの誰だって覚えてないよ! 私だって何番目に抜けたかなんて、いちいち覚えてないもん。克っちゃんは覚えてるの?」

 

克慈

「そう言ってる。酉頭だね、惠美は」

 

惠美

「はあっ?! 酉頭って酷いっ! 鶏冠なんて付いてないのに!!」

 

克慈

「中身が酉並って事だよ。酉年なだけあるよ」

 

惠美

「ちょっ、酉年だから中身が酉並って──、やっぱり酷いよ!! 克ちゃんは今、日本中の酉年の人を敵に回したからね!!」

 

克慈

「俺は惠美だけに言ったつもりだけど」

 

惠美

「ちょっ、『だけ』って! 強調して言わないでよ!!」

 

克慈

「惠美と話してると全然先に進まないな。俺が話終わるまで黙ってなよ」

 

惠美

「ムッ、克ちゃんが失礼な事を言うからでしょ!」

 

克慈

「いいから黙って。一抜けしたのはT男、原因不明の飛行機墜落事故で亡くなった。二抜けしたのはO子、大型トラックと衝突したバスの事故で亡くなった」

 

惠美

「あっ!」

 

克慈

「三抜けしたのは誰だったか覚えてる?」

 

惠美

「ええっ……三抜けした人?? えーと……、誰だっけ??」

 

克慈

「覚えて貰えてないとか不憫だな」

 

惠美

「あっ、そうだよ! アナちゃんだよ、克ちゃん!! ほら〜私、ちゃんと覚えてたでしょ?」

 

克慈

「……惠美。残念だけど、杏菜ちゃんが抜けたのは俺の後だよ」

 

惠美

「ええっ?! ちょっと待ってよ! だってアナちゃんは自殺未遂で──!!」

 

克慈

「でも未だ“生きてる”でしょ? 例え意識不明でも生きている事には変わり無いよ」

 

惠美

「……そう、か。そうだよね。三人目がアナちゃんじゃないなら、誰が三人目なんだろう? ……ねぇ、克ちゃん、おかしくない?」

 

克慈

「何がおかしいの?」

 

惠美

「O子さんが亡くなる前に……、もしかしたらT男さんが亡くなる前かもしれないけど──、アナちゃんが自殺未遂したのはどうしてなのかな?」

 

克慈

「俺が知るわけないでしょ。意識が戻ったら聞いてみたらいいよ。真相は本人しか知らないんだから」

 

惠美

「……うん。アナちゃん、話してくれるかな?」

 

克慈

「俺が分かるわけ無いでしょ。──三抜けしたのは季喜君だった。三番目に亡くなったのもね」

 

惠美

「あっ、そう言えばトッキーの御葬式に行ったもんね。その後に、舜也さんだったね。……遺さんも……」

 

克慈

「……惠美。……五抜けしたのは蓉子ちゃんだったでしょ」

 

惠美

「……うん、……御葬式に行かなくちゃだよね……」

 

克慈

「此処まで抜けた順番通りとはね。……気味が悪いな」

 

惠美

「……じゃあさ、蓉子の次は誰なの? 誰が犠牲者になるの?」

 

克慈

「誰って──、順番通りなら智沙ちゃんでしょ。その次はD男,善朋君,惠美,俺,杏菜ちゃん,U子──」

 

惠美

「克ちゃん……、偶然だよ! 全部偶然っ!! 今迄が順番通りだったってだけでさ、これから先は判らないよ? 抜けた順とか関係無くなるかも知れないし!」

 

克慈

「……惠美、この世に偶然なんて無いんだよ。あるのは必然だけ。順番通りに亡くなってるのは偶然なんかじゃない。必然だよ」

 

惠美

「……克ちゃん! 何でそんなこと言うの?! 見も蓋も無いこと言わないでよ!! 克ちゃんの言う通りなら、皆が抜けた順に死んでくって事なんだよ! 認めちゃうの?! お祓い迄してもらったのにだよっ!!」

 

克慈

「……惠美も善朋君もお祓いしてもらってないでしょ。俺もだけどさ」

 

惠美

「でもっ、智沙,U子さん,D男さんはお祓いしてもらってたよ! お祓いしてもらったのに死んじゃうの?? 神主さんを信じてお祓い迄してもらったのに、それってあんまりなんじゃないの?」

 

克慈

「惠美、お祓いは絶対じゃないんだよ。どんなに大金をはたいてお祓いしてもらってもね。“気休めだ”って言ったでしょ?」

 

惠美

「順番通りに智沙が死んじゃったら、私、神主さんを訴える!!」

 

克慈

「惠美、馬鹿なこと言わないの。神主にも巫女にも罪は無いよ。例えあっても詐欺じゃなければ裁かれないから……。神主と巫女の所為にしたら駄目でしょ」

 

惠美

「……それは、そうだけど……。ねぇ、皆が死ななくて済む方法ってないのかな? このまま何もしないで黙って死んでくなんて嫌だよ!! 生きてる間に抵抗したいよ!!」

 

克慈

「そんな方法があるなら皆とっくに実行して──、そうか!」

 

惠美

「克ちゃん? どうしたの急に?」

 

克慈

「惠美、帰ったらノーパソ持って俺の家に来なよ」

 

惠美

「えっ、何で??」

 

克慈

「俺は先輩と木土に理由わけを話して協力してもらえないか話してみる。惠美は未だ無事な四人に連絡しなよ」

 

惠美

「四人? アナちゃんはどうしたらいいの?」

 

克慈

「杏菜ちゃんには目覚めてから話せばいいでしょ」

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