寺社5 利樹
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「おい、黙って聞いてれば言いたい放題だな、キッド」
開いた襖から男性の声が聞こえた。
目を向けると木土さんの頭に誰かの足が乗っていた。
克慈
「先輩、久し振りです」
木土さんの体勢を気にしないで、克慈は足の主に声を掛ける。
惠美
「先輩? この足の人が克ちゃんの先輩なの?」
克慈
「そう、さっき話した利樹先輩。この蒔邑寺社の跡取り」
利樹
「セット、久し振りだな。元気そうで何よりだ。よく来てくれたな。可愛い彼女を連れて……、自慢しに来たのか?」
克慈
「違いますよ。相談したい事があって来たんです」
利樹
「へぇ、セットが俺に相談ね。いいぞ、聞こう」
惠美
「あの、初めまして。薗野惠美です」
利樹
「初めまして。俺はセットの先輩、蒔邑利樹だ、宜しくな。オノちゃん」
惠美
「オノちゃん?」
克慈
「先輩の癖。渾名を付けて呼ぶんだよ」
惠美
「セットとかキッドとか? 私はオノちゃん?」
利樹
「薗野だからな。因に瀬戸瀬はセット、木土はキッドだ」
惠美
「はあ、そうなんですか? 宜しくお願いします、利樹さん……でいいんですか?」
利樹
「ああ、いいよ」
利樹
「オノちゃんは幾つかな?」
惠美
「えと、一九歳です」
利樹
「一九だって? 美彩と理彩より年上だな。……見えないな」
惠美
「えぇっ?! 私ってそんなに老けて見えますか!?」
────ガーン、同性からは『幼く見えるね』って言われるくらいなのに〜。
異性から見たら老けて見えるのかな……。
利樹
「違う違う、その逆だよ。双子より年下と思ったんだ。セットがロリコンに目覚めたかと本気で思ったよ、ハハハ」
克慈
「先輩、俺はキッドと違って年下は対象外ですから」
利樹
「そうだったか? セットがロリコンに走ったら面白いのにな」
克慈
「先輩、俺はなりませんよ」
利樹
「ノリが悪いのも相変わらずだな」
礼仁
「……先輩、そろそろ、足を退けてくれませんか? 首が痛いんすけど……」
利樹
「ん? ああ、悪かったな。いいかキッド、茜はお前が思ってるような男じゃないぞ。礼節も節操もある誠実でいい奴だ。俺の従弟を変に言うなよ」
惠美
「従弟? 茜さんって人は利樹さんの従弟なんですか?」
利樹
「ああ、四歳下のな。会いたいなら時間を作って会わせてやるよ」
惠美
「はいっ! 是非、会ってみたいです♪」
利樹
「おっ、オノちゃんはノリがいいな。今度、喫茶店に連れてってあげるよ」
惠美
「有難う御座います! 楽しみです♪」
克慈
「……先輩、惠美は俺のですから」
利樹
「そうなのか? ハハッ、取らないから安心しろよ!」
礼仁
「でもなぁ、やっぱり納得出来ないっすよ。出会って一年も経たないのに瀬名ちゃんと結婚なんて……」
利樹
「キッド、いい加減、空音ちゃんの事は諦めろよ」
惠美
「ソラネ? えっ、セナが名前じゃないんですか?」
利樹
「ん? ああ、瀬名空音だよ。籍を入れたら蒔邑空音になる。式は家の寺社で挙げるんだ。三人共、招待するから来いよ」
惠美
「わあっ、此処で結婚式するんですか。凄い~! 絶対に来ようね、克ちゃん♪」
克慈
「惠美、話を戻すから黙って」
惠美
「戻すって? 何の話を?」
克慈
「惠美は黙ってていいから。先輩、いいですか」
利樹
「あぁ、相談があるんだったな。いいぞ」
利樹さんと向かい合った克慈は真剣な表情で、利樹さんに話し出したの。
克慈の相談って何だろう??
あっ、メールだ!
蓉子と善朋、どっちからだろう?




