寺社1 電車
蒔邑寺社
克慈と私は蒔邑寺社へ向かう為に電車に乗っている。
克慈が通路側で、私は窓側に座っている。
そうそう、昨夜、蓉子と善朋に連絡しようと思っていたのに、すっかり忘れてしまっていたの。
お父さんが作ってくれたアイスクリームに気が向いてしまったから……。
食べ物に負け、後回しになり、そのまま忘れてしまうなんて……私ってなんて情けないんだろうか。
お父さんの趣味に関しては、お母さんも私も良く分かっていない。
食べ物を作るのが好きな事だけは分かるけど、料理をする訳じゃない。
お父さんが作ってくれたのを三人で食べるのが我が家の楽しみの一つ。
今、克慈が食べているアイスクリームも、お父さんが作ったものなんだよね。
惠美
「克ちゃん、お父さんのアイスクリームどう?」
克慈
「……うん? 美味しいね。惠美は食べないの?」
惠美
「私は昨日、食べたから(////)」
克慈
「あぁ、それで。顔が丸く見えるのは、コレが原因か」
克慈は未だアイスクリームの入っている容器をマジマジと見ながら言う。
惠美
「違うし! アイスクリームの所為じゃないし! 顔も丸くないし!!」
克慈
「それで友達と連絡は取れたの?」
惠美
「ううん、未だ……」
克慈
「昼頃には来るんじゃないの? 心配するならそれからでも遅くないよ」
惠美
「そう、なのかな?」
克慈
「ほら、次の駅で乗り換えるよ」
惠美
「また乗り換え? 乗り換えばっかりじゃん」
克慈
「仕方無いでしょ、場所が場所なんだから」
惠美
「ねぇ、あと何回乗り換えが続くの?」
克慈
「何回だと思う?」
惠美
「意地悪言わないで教えてよ〜」
克慈
「ほら、着くよ」
克慈に荷物を持たれ電車を降りる。
次の電車に乗る為に別の ホームへ移動する。
惠美
「え〜っ、次の電車まで四〇分も待つの〜?! ……ゲームしてていい?」
克慈
「駄目だね」
惠美
「えぇっ、何で駄目なの?! 折角持って来たのにぃ!」
克慈
「惠美、視力は一生モノだから、大事にしないと」
惠美
「だって、四〇分も待つんだよ!」
克慈
「俺と話せばいいでしょ」
惠美
「……、何を話せばいいの?」
克慈
「じゃあ、お説教でもしようか?」
惠美
「お説教っ?! 何で私が克ちゃんにお説教されないといけないの?」
克慈と平行線な言い合いをしていたら何時の間にか4四〇分になり、電車に乗った。
克慈
「次の次の駅で降りるから」
惠美
「は〜い……」
克慈が教えてくれた駅で降りる。
電車の次はバスに乗って五〇分、漸く蒔邑寺社近くのバス停に着いた。
克慈
「このバス停から二〇分歩けば蒔邑寺社に着くから」
惠美
「ええっ?! 二〇分も歩くの?!」
嫌だ~~~、勘弁して欲しい……。




