異変6 連行
未だに私は今のこの状況を把握出来ないでいた。
惠美
「……あ、あ、駄目っ! 私、遺さんを待ってないといけないの!」
危ない危ない、忘れてしまう所だった!
遺さんが私の為にアイスクリーム屋に並んでくれているんだった。
惠美
「私、戻らないと! 克ちゃん、手、離して」
克慈
「離さないよ」
惠美
「なっなんで?! 何処まで行くつもり? 私、本当に戻らないといけないの! お願いだから離して、克ちゃん!」
克慈は一向に私の腕を離してくれない。
非力な私が克慈に抵抗しても力で敵う筈もなく━━。
抵抗も虚しく、私はサービスエリアの駐車場まで引っ張られる事になった。
惠美
「克ちゃん、私、本当に━━」
克慈
「乗って」
有無を言わせない克慈の声。
惠美
「え? の、乗らないよ! 遺さんの所に戻っ━━きゃっ!?」
車のロックを解除し、後部座席のドアを開けた克慈に無理矢理押し込まれ、ドアは再びロックされてしまった。
車内から窓を叩いても、どんなに頼んでも、克慈はロックを外してくれない。
私は車の免許を持っていないし、車に詳しくないから、車内の何処を当たたったらロックが解除されるのか分からない。
克慈は携帯電話で誰かと話している。
━━ってか、それ!
私の携帯電話じゃんかっ!!
まさか克慈は私の携帯電話から遺さんの携帯電話に掛けてるんじゃ……!!
し、信じられない!
私の携帯電話から遺さんに掛けるとか━━酷い!
遺さんと何、話してるの!?
車内からじゃ、外で話す克慈の声は分からない。
遺さんとは、いい感じになってるって思ってたのに……。
まさかの克慈の登場で台無しです!!
惠美
「遺さ〜ん……ごめんなさい……。明後日、職場で謝らなくちゃ……。ふえぇ〜〜〜ん……」
話を終えた克慈はロックを解除し、運転席に乗り込んで来た。
携帯電話を返してくれる気は無いみたい。
泣いている私には目も向けず、克慈はハンドル横の鍵穴にキーを差し込み回した。
嗚呼っ、車が出てしまうよ。
サービスエリアの中には遺さんが居るのに━━。
えっ?
何だろ、見間違いかな。
━━今、何かがサービスエリアに落ちた?




