異変5 尾行
惠美
「━━あれ? 今のって……」
私の見間違いじゃなければ、歩いていたのは……。
私はアイスクリーム屋の行列を見て、遺さんが並んでいるのを確認した。
行列は未々長くて、遺さんは当分戻って来そうにない。
私は座っていたソファーから腰を上げ、大事な携帯ストラップをバッグに仕舞う。
どうしても気になる。
こんな所で見掛けるなんて!
先程、見た相手が歩いて行った方向へ、私も歩き出した。
サービスエリアに来て、誰かを尾行するとか思わなかったな……。
別の意味でドキドキする。
探偵とか張り込みしている刑事を思い出しちゃうな。
……やっぱり、どう考えても、私の見間違いなんかじゃない。
あれは━━いや、彼は舜也さんだ!
蓉子の元彼、今はU子さんの彼氏であろうの舜也さん。
間違いないよ、やっぱりだ!!
舜也さんの隣には、蓉子でもU子さんでもない女性が歩いていた。
……、……、……、私は舜也さんの浮気現場を目撃してしまったのかしら?
仲睦まじく二人で歩く後ろ姿。
浮気相手(?)は舜也さんの腕に自分の腕を絡ませて、頭を舜也さんの肩にくっつけている。
他から見たら仲の良い恋人同士に見える。
舜也さんは自分の手を浮気相手(?)の腰に回し、密着したいのか、浮気相手(?)を自分側に引き寄せている。
U子さんは居ないのかな?
U子さんは知っているのだろうか?
━━ハッ、いけない!
驚いて見てるだけじゃ駄目じゃんか!
浮気現場を押さえた証拠を写メに撮っておかなきゃ!!
智沙に舜也さんとU子さんが未だ交際してるのか確認する為にも━━!
?
「……惠美、隠れて何してるの?」
惠美
「今、舜也さんの浮気現場を写メに撮る所なの!」
?
「ふぅん、何時から盗撮が趣味になったの?」
惠美
「と、盗撮って?! 違うよっ、誰が盗撮なんて犯罪めいた事するとか━━!!!!」
?
「何?」
『盗撮』と言った相手に『違う!』と言い返して振り向いた私の目の前には、腰に手を当て、呆れた顔をした克慈が立っていた。
惠美
「━━えっ、嘘、えっ、なんで、克ちゃん?! 克ちゃんって家で二度寝してたんじゃないの?!」
克慈
「してたけど?」
惠美
「は? えっ、二度寝してたのに此処にいるの? 此処で二度寝してたの?!」
克慈
「惠美、落ち着いたら。取敢ず、携帯はしまおうか」
惠美
「……えと、え??」
頭が追い付かない私は、克慈に携帯電話を取られる。
惠美
「あっ、もしかして克慈もデートなの? 彼女と来てるとか?」
克慈
「……惠美はさ、俺を怒らせたいの?」
途端に険しい表情をした克慈に腕を掴まれる。
掴まれた腕が痛い。
私は克慈に強引に引っ張られたまま歩く羽目になった。




