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☀ イストリゲ~ム  作者: 雪*苺
第二週【 異変 】
27/156

異変3 病院

 

 杏菜が入院している病室のドアには確かに【面会謝絶】と書かれた紙が貼られていた。


 

蓉子

「━━っ、本当なんだね。杏ちゃんが……この中に居るんだ……」


 

 名札には確かに“圖倉杏菜”と書かれていた。

 

 杏菜の名字って圖倉とくらなんだ。

 

 名札を見るまで知らなかったわ……。


 

惠美

「{アナちゃんが自殺未遂するなんて信じられないよね……。だってさ……}」

 

蓉子

「{何? 惠美は何か知ってるの?}」

 

惠美

「{……大した事じゃないよ? ただ、アナちゃんさ、楽しみにしてた事があったみたいだから……}」

 

蓉子

「楽しみって?」

 

惠美

「……う、うん……。言っちゃっても良いのか分かんないんだけど……」


 

 杏菜からは『誰にも言わないでね』って口止めされている事だからなぁ……。


 

智沙

「それって、買い物の事じゃないの?」

 

蓉子

「え? 智沙も知ってるの? 私にも教えて!」


 

 蓉子は智沙に詰め寄る。

 

 蓉子、そんなに杏菜の事を……。

 

 ……買い物か。

 

 この際、智沙の話に合わせとこう。


 

智沙

「{御両親に『誕生日プレゼントを買って貰える』って喜んでたの。『すっごく欲しい洋服がある』って電話で言ってた}」

 

蓉子

「……洋服??」


智沙

「{そう、その欲しい洋服は値段が高くて『とても自分じゃ買えない』って言ってたし。でも、両親に話したら『誕生日に買ってもいいよって言われた〜』って喜んでたの}」

 

惠美

「{アナちゃんの誕生日、来月だもんね。誕生日を心待ちにしてたアナちゃんが自殺未遂なんてするのかな?}」


蓉子

「……。

{誕生日を楽しみにしていた杏ちゃんを、自殺未遂させた原因があるって事かしら?}」


惠美

「{そうかも知れないね? だってさ、原因が無ければ結果は出ないもん。……アナちゃんを追い詰めた原因か。……何だろうね?}」

 

蓉子

「{智沙ってO子さん達とはどんな友達なの? O子さんに聞きそびれちゃって……}」

 

智沙

「{何、急に? ……友達じゃないし。ネットで知り合った者同士でつるんでるだけだから}」

 

蓉子

「{ネットで? 今流行りのオンラインゲームみたいな?}」

 

惠美

「{オンライン版◯ンハンとか?}」

 

智沙

「{違うけど、それに近い感じかな}」

 

惠美

「{へぇ、智沙もオンラインゲームとかするんだ? 凄いね、私は駄目なんだよ。続かなくて放置になっちゃうんだ〜}」

 

智沙

「{惠美ちゃんの情報は要らないの!}」


 

 あら〜、ムカつくこと言いやがったよ!!

 

 杏菜以外の事を話す気も聞くきもありませ〜んって感じですかい?

 

 ……嫌な感じぃ〜。

 

 それでも一応は、智沙と連絡先の交換をしとかないとね。

 

 本当は、すっっっごく嫌なんだけど、背に腹は変えられないから、蓉子と私は智沙と連絡先を交換した。

 

 連絡を取る事があるかは分からないけど、心無しか安心した。


 

蓉子

「{智沙、一週間前に起きた飛行機事故の事なんだけど……}」


 

 蓉子が再び、智沙に話し掛ける。


 

智沙

「{……知ってる。生存者は無しの乗客が全員死亡した事故でしょ?}」

 

蓉子

「{うん。その中にね、T男さんの名前が入って━━}」

 

智沙

「{それならU子から聞いて知ってる。T男さんと一番親しかったのU子だからね}」

 

惠美

「U子さん?」


 

 ……あれ、ちょっと待ってよ?

 

 U子さんって確か、舜也さん(蓉子の元彼)の彼女じゃなかったっけ?

 

 仲良く(?)お揃いのペアブレスレットしてたよね?


 

惠美

「{智沙、U子さんってさ舜也さんの彼女さんじゃないの? T男さんと仲が良かったってどう言う……}」

 

智沙

「{U子とT男さんは中学二年の春から高校三年の秋まで付き合ってたの。だから仲がいいのよ}」

 

惠美

「{……そう、なんだ? 詳しいんだね?}」


智沙

「{U子は私の━━って、そんなのいいでしょ! 兎に角、T男さんの事はU子から聞いてたから知ってるの!}」

 

蓉子

「{……出会いがあんなだったし、話しとかしなかったけど……、知ってる人があんな亡くなり方をすると悲しいよね……}」

 

智沙

「{一人で逝くよりは良かったんじゃない?}」

 

蓉子

「{智沙?! 何でそんなこと言うの! そんな言い方って━━!!}」


 

 蓉子は智沙に詰め寄る。

 

 でも、智沙は表情を変えない。


 

惠美

「{智沙、もしかしてT男さんのこと嫌いだったりするの?}」

  

智沙

「{はぁ? 別に。T男さんとは何の関わりも無いし。それに……、兎に角! 私にはどうだっていい事なの!}」


 

 ……智沙??


 

智沙

「{……ごめん、言い過ぎた。……T男さんの御葬式にはU子と行ったよ。惠美ちゃん達にも知らせようと思ったけど、連絡しようにも杏菜と繋がらないから出来なかったの……}」

 

惠美

「{そっか、アナちゃんと音信不通だったから……}」

 

智沙

「{T男さんね、十月に結婚する予定だったらしいの、彼女と}」

 

惠美

「{は、はぃぃぃいいいい?! 彼女、居たの?! ええっ、結婚する予定だったのぉ?!}」

 

智沙

「{そうよ、すっごく意外でしょ?}」

 

智沙

「{U子から聞かされた時、私もそう思ったよ。……『独身最後の旅行に彼女と行って来る』って連絡があったんだって}」

 

蓉子

「{彼女と? それじゃあ、乗客の中にはT男さんの彼女も居たの?}」

 

智沙

「{うん、そうみたい。U子、T男さんの彼女の御葬式にも出たみたいだから……}」

 

惠美

「……そう、なんだ」

 

蓉子

「……。

{T男さん……。残念だよね。……こんな結果になって……}」

 

智沙

「{惠美ちゃん、ちょっといい?}」

 

惠美

「え? あ、うん……」


 

 なんだろう……、蓉子に聞かれたく無い話しとか?

 

 蓉子をその場に残し、私は手招きする智沙の後に続いた。

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