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☀ イストリゲ~ム  作者: 雪*苺
   【 克慈宅 】
125/156

克慈宅4 御褒美

 

克慈

「明日の夕方、先輩が来るから」

 

惠美

「へ? 先輩? えーと……なんの先輩だっけ??」

 

克慈

「……酉頭。蒔邑寺社で会ったでしょ。まきむらつき先輩。此方こっちで片付ける仕事が来たって連絡があったの」

 

惠美

「そうなんだ? ……そう言えば、そんな話をしたような……」

 

克慈

「明日から五日間、俺の家に泊まるから。惠美は家に帰って寝なよ」

 

惠美

「え……。う、うん。……そっか、そうだよね? 利樹さんが泊まるなら寝室……使うもんね?」

 

克慈

「そういう事。ああ、夕飯は三人前ね。朝食は──」

 

惠美

一寸ちょっと待ってよ! 朝食も私に作らせる気なの?! 克ちゃんが作ればいいじゃん! 克ちゃんだって料理が出来るんだから!」

 

克慈

「朝っぱらから先輩が男飯(おとこめし/男の手料理)を食べたがると思うの? 惠美は男心が解ってないね。しょうがないか、惠美だし」

 

惠美

「馬鹿にされてる? 私、馬鹿にされてるの?? 酷い!!」

 

克慈

「酷くないでしょ。兎に角、先輩は朝から男飯なんて食べないから。ちゃんと作りに来てよ。七時に食べれるようにね」

 

惠美

「私になん起きしろって言うのよ! 酷い仕打ちだよ!!」

 

克慈

「何処が? 早起きは三文の得って言われるでしょ。美加さんは毎朝四時起でしょ。見習って早起きしなよ」

 

惠美

「──お母さんは主婦だもん!! 私は主婦じゃ無いんだよ」

 

克慈

「惠美もいつかは永久就職に就くでしょ。その練習を俺の家でさせてあげてるの。感謝しなよ」

 

惠美

「嘘だっ!! 巧いこと言って都合よく、コキ使ってるだけじゃんか!!」

 

克慈

「後々判るよ。──俺が妹思いのお兄ちゃんで良かったって感謝する日が来るよ」

 

惠美

「そんな日なんか来ないもんね!!」

 

克慈

「──ふはっ。言ってなよ」


 

 もう〜〜〜っ!!

 

 余裕ぶっこいた顔して、ムカつくぅぅぅうううう〜〜〜!!!!

 

 克慈は詐欺師になれるよ!!

 

 あっ、御褒美を貰わなくちゃだよ!

 

 克慈めぇ、利樹さんの話題を持ち出して、御褒美をなかった事にする作戦みたいだけど、そうは問屋が卸さないんだからね!!

 

 フフンっだ。

 

 私は酉頭じゃないもんね!!


 

惠美

「克ちゃん、ほら、大事なモノを忘れてるよ!」

 

克慈

「は? 何を忘れてるって言うの?」

 

惠美

「もうっ! 私は誤魔化されないんだからね! アイスコーヒーを淹れてあげたんだからね、ちゃんと御褒美を頂戴!」


 

 私は克慈の前に手を出して、御褒美を催促した。

 

 さっさと私に御褒美を寄越せってんだよ、こんちくしょうめ!


 

克慈

「……ああ、それね。今、あげたでしょ」

 

惠美

「何も貰ってないよ?」

 

克慈

「俺の優しさ」


 

 ふざけるなァァァァアアアアアアア!!!!

 

 誰が克慈の優しさが欲しいなんて言ったかァァァアアアアアアア!!!!


 

惠美

「そんなの御褒美じゃないよ!! 目に見えない御褒美なんか貰ってもお腹は膨れないの!!」

 

克慈

「……。誰も食べ物をあげるなんて言ってないでしょ」

 

惠美

「御褒美って言われたら普通はお菓子とかだって思うでしょ!」

 

克慈

「……惠美、それは惠美だけ。今時の幼稚園児も、御褒美=お菓子だなんて思わない」

 

惠美

「そんなことないもん。御褒美=お菓子だもん!! 定番だもん! お約束だもん!!」

 

克慈

「あー……はいはい。分かった、分かった。惠美は年齢の割に幼稚園児よりもお子ちゃまだったね」

 

惠美

「お、お子ちゃま?! 子供扱いならまだしも、可愛い妹ちゃんをお子ちゃま扱い?! 酷いっ、最低だよ!!」

 

克慈

「可愛い妹……ねぇ。自分で言って恥ずかしくないの? まあ、惠美だし」


 

 『まあ、惠美だし』とか、ムカつくわァァァアアアアアアア!!!!


 

惠美

「納得するなあっ!! そして笑うなあっ!!」


 

 もうっ、アッタマ来たんだからね!!

 

 私は両手を拳に変えて、TVに向き直った克慈の背中を思いっきり叩きまくってやった。

 

 番組を見終わった克慈から何故か一〇〇円玉を貰っちゃったけど、意味が分かんない。

 

 一〇〇円玉より、お腹を満たしてくれるお菓子の方が嬉しいんですけど……。

 

 まあ、でも、くれた一〇〇円玉は貰ってあげる。 

 

 ちゃんと私の財布に入れて、私の一〇〇円玉にしちゃうんだからね。 

 

 返さないんだからね!!

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