克慈宅1 車庫
克慈
「惠美、着いたよ」
惠美
「ぅう〜……」
克慈
「ほら、起きな」
惠美
「……、……、ふぁ〜い……」
克慈に肩を揺さぶられて目が覚める。
寝ていると本当に『あっ』と言う間に着いちゃうよね。
車で四〇分の距離だから、あんまり関係無いか……。
うう……、これから克慈の夕飯を作らないといけないんだよね〜……。
このまま布団の中に直行したいよぅ。
克慈
「早く降りて。ロックが出来ないでしょ」
惠美
「……は〜い」
助手席のドアを開けて、車から出る。
はぁ、相変わらず広い車庫ですなぁ。
瀬戸瀬家の車庫には、あと四台の車が入るペースがある。
自転車に一台分のペースを使い、バイクに一台分のペースを使っている。
車庫に置いてある二台のバイクの内、一台はおじさんが愛用しているバイクで、もう一台はお父さんが愛用していたバイクらしいの。
おじさんもお父さんも、若かりし頃はバイクに乗って日本中を走っていたみたい。
お父さんがバイクに乗ってツーリングをしていたなんて信じられないよ。
いつだったか、お母さんから兄が生きていたら一緒にツーリングをするのがお父さんの夢だった──って聞いた。
兄が亡くなってから、お父さんはバイクを乗るのをピタリと止めてしまって、克慈にあげちゃった──って、お母さんが言っていた。
克慈は休みになると、お父さんから貰ったバイクの手入れをしたり、たまに走らせたりしてるみたい。
もしかしたら克慈は、ツーリングがてら、彼女に会いに行ってるのかも知れない。
私はバイクに乗せて貰った事は無いけど、彼女は乗せてるのかな?
克慈が運転するバイクの後ろに乗って、克慈と一緒に風を感じる彼女か……。
──べっ別にっ、羨ましくなんかないんだからねっ!!
克慈
「惠美、なに見てるの? 早く家に入って」
惠美
「分かってますぅ〜」
克慈に急かされて、仕方無く家に入ってあげる事にした。
あっ、そうだ!
寝室に置いてあるダンボールに私物を入れちゃわないといけないんだった!!
頑張れば今日中に終わらせれるよね!!




