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第六話 「模擬戦~スタンと龍王の実力~」

2/22 編集しました

「ほんと、あいつらもよくやるわよね~。ばっかみたい」

「彩花ちゃん、そういうこと言っちゃだめだよ」

「実際春菜だって思っているんでしょ?ばかだなぁって。実際あいつら脳筋なんだってば」

「あはは……」

 彩花と呼ばれた少女のやまない悪口に春菜と呼ばれた少女は苦笑いだった。苦笑いしている春菜のことなど頭にないのか、未だに悪口を言い続けていた。



 Side スタン


「はじめ!!」

 その大地さんの掛け声と同時に僕と龍王は駆け出した。僕の右手は炎に包まれ、龍王の右手は風を纏っている。

どちらからともなく振りかぶり、そして相手へめがけて拳を伸ばす。案の定互いの拳はぶつかり合い、あたりに熱風と火の粉をまき散らした。その衝撃で僕と龍王は最初の位置よりも少し遠くへと弾き飛ばされた。

(やっぱり龍王は強い)

 今まで何度も闘ってきたけれど、ただの一度も油断なんてできるわけがなかった。龍王は単純でバカだから、本能に従って戦うタイプだ。でもそれを補って余りある戦闘センスがこの状況を作っている。

 何度もどういう風にすれば勝てるのか、弱点を突く作戦などを立てて挑んでいるのだが、ことごとく失敗している。龍王は戦闘中に自分の弱点に気付き、そして克服するのだ。戦いの中で急激な速度で成長を遂げている。いくら論理的に作戦を立てたって龍王には意味をなさないことを知った僕は落胆した。

 結局自分のやっていることは無駄なんじゃないかって。

 でも違った。大地さんは言ってくれた。僕の作戦は決して無駄なものなんかじゃないって、作戦を立てられるのだって立派な才能だと、大地さんはほめてくれた。だからその大地さんに応えられるように僕は僕のやり方で龍王に挑むことを決めた。

 だから――――

「――負けるわけにはいかないんだ!!」

「絶対に勝つ!!」

 互いに想いと力をぶつけあう。

 結局能力

ちから

を操れるかどうかは本人の精神力、つまりは想いの力だ。想いの強さで僕は生み出せる炎の量が増えるし、龍王は操れる風の量が増える。

 だから勝負だ龍王!今日こそ決着をつけてやる!!



 Side end


 Side 龍王


 もう何度目か分からない交差に全力で挑む。何度ぶつかっても強い意志で挑んでくるスタンを相手にするのは楽しかった。

 何度勝っても諦めずに挑んでくる。そんなスタンを俺は無意識にだが尊敬していた。今のところ99戦49勝49敗1引き分け。だから今回も―――

「――負けるわけにはいかないんだ!!」

「――絶対に勝つ!!」

 それは今までで一番巨大な炎だった。

 炎を拳に纏わせるのではない、炎の身で出来た拳。スタンはこの状況で新しい技を出してきたのだ。自身の限界である全力を使って。

 だからこそこちらも全力で応えなければならない。前回負けてから編み出した俺の新しい必殺技。

 見せてやるよスタン、これが俺の全力だ!!



 Side end


 Side 大地

 

 目の前には巨大な炎の拳を打ち出すスタンの姿、そしてそれを真正面から受け止める龍王の姿があった。龍王の体から風がこちら側に流れてくるところを見ると、大気を圧縮して身に纏っているのだろうと推測できる。それにしても―――

「龍王は大気の圧縮率が確実に上がっているし、スタンの方も炎の形状制御が大分うまくなってきたじゃないか。これからの修業内容を少し考えてかないとな」

 いまだに互いを倒そうと競り合っている二人を見ながら、今後の修業内容を思案する。

 普段彼らは基礎的な勉強のほか、能力の制御の特訓をしている。その内容は基本的に大地が考えていた。余談だが穂香と鉄雄、彼らが今能力をうまく扱えているのは大地の特訓を受けたからに他ならない。

「大地さん、決着がつきそうですよ」

「ん?」

 少し深く考えすぎたようだな、と反省しながら声をかけてくれた春菜に礼を言う。

 見ると龍王とスタンは互いに限界のようで少しずつだが能力による競り合いが弱くなりつつある。春菜の言うとおり限界が近いなと思い、彩花と春菜に指示を出す。

「彩花、春菜。いつも通りに頼むぞ」

「分かったわ、春菜準備はいい?」

「もちろんだよ、彩花ちゃん」

 二人の準備が整ったと同時に龍王とスタンは倒れ、お互いの放った能力

ちから

がお互いに襲いかかった。すなわち龍王にはスタンの放った炎の拳が、スタンには龍王が圧縮していた大気の塊が。

「行くぞ!!」

「「了解

です

!!」」

 俺の合図とともに彩花は能力を発動させる。瞬間移動能力、それが彼女、藤原彩花の持つ異能の力だった。俺は彩花と一緒にスタン達の元へ跳ぶ。俺はスタン側へ彩花は龍王側へと。

 彩花は龍王に触れると同時に能力を発動し、元の位置である春菜の隣へと飛んだ。

 俺にはそんな能力はないのでテレキネシスで壁を作りあげ、風から自分の身とスタンを守った。

 ぎりぎりではあるが何とか無傷で防ぎきることには成功した。

「ふう」

「大丈夫ですか?大地さん」

「ああ、問題ないよ」

 駆け寄ってきた春菜に軽く答えて、龍王の状態を確認する。そして驚いた。

 先ほどまでやけどとかで体のあちこちが黒くなっていたのに、今はもう戦闘前の状態となんら変わらなかったからだ。しかし驚いたのは傷が治っていることではなく、その速さだ。彼女、火野宮春菜の能力、自己治癒能力の応用で他人の傷を癒す力があるのは知っていたのだが、昔見た時はこれほどまでに早くはなかった。

 その当人は首を傾げているので、その頭を撫でながら気づかれないように溜息をついた。

「お前らの修業に関しても少し考えなきゃならないな」

「えっと、あはは……」

 俺の考えていることが分かったのか春菜は苦笑いだった。

 全く本当に聡い子だったな、春菜は。

内心そんなことを考えながら春菜がスタンの傷を癒している姿を眺めていた。

だから本当に驚いた、急に来たものだから。彼女は、そうノアは俺の背後から急にその無機質な声で口にした。

「大地、来て。セブンズシードが発動した」

できれば毎週水曜日に投稿を考えています。


これからもよろしくお願いします。

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