第五話 「孤児」
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「そのハンバーグ貰ったぁぁぁ!」
「あげないよ、龍王!!」
「スタン、おまえが俺に勝つなど十年早いわぁぁぁああ!!」
「十年って、今龍王と僕は同い年だろうが!!」
「うるさいわね、朝ご飯ぐらい静かに食べさせてよ!!春菜からもなんか言って!」
「あ、あの。彩花ちゃんもこういってるし、静かに食べようよ」
騒がしいな、朝から。っていうかノアに関して何も突っ込まれないんだがどうすればいいんだ?と大地が考えていると横から制裁が入った。
「みんな騒ぐのはいいけど、喧嘩はしないように!!」
「「「「はーい」」」」
「うん、よろしい」
いつ見てもすごいよな、この光景は。
あいつら全員、穂香だけには従うんだよな。と心の中で考えているとようやくノアのことに気付いたようで龍王と呼ばれていた少年が質問をしてきた。
「ところでそいつは誰なんだ?」
「今さらかよ。まあいいか。こいつはノア、昨日からこの院に住み始めたやつだ」
「へぇー、それはまた急だな」
あ、龍王がぼーっと話を聞きながらも無意識にスタンのところからハンバーグを奪っている。スタンの方を見てみるとこちらの話を聞いていてどうにも気づいていないようだった。さすがに無意識中にまで人のものをもらう龍王に対して苦笑いが漏れてしまった。
スタンが俺の方を見てなん首をかしげているのでハンバーグの方を指してやった。一瞬驚いたような顔をするがすぐに原因が何なのか理解し、犯人であろう少年へ向けて怒りをあらわにした。
「龍王!
僕のハンバーグを食べただろう!?返せ!!」
「バーか。もう食っちまってあるわけねぇだろ!」
「何だとこのバカ龍!!」
「うるせぇ、早いもん勝ちだぜ、バカスタン!」
「なんだと?」
「なんだよ?」
「「やるかこの野郎!!」」
俺とノア以外の全員で二人をなだめにかかっているが一向に収まる気配がなかった。しょうがないなぁと呟き、右手で頭をかきながら妥協策を提案した。
「じゃあ飯食い終わって一休みしたら久々に模擬戦でもするか。
それでいいだろ?龍王、スタン」
「大地がそう言うならいいけどさ」
「覚悟しとけよ、龍王」
「そっちこそ、俺に勝ったことないくせに」
「負けたこともないけどね」
「「今日こそ決着付けてやる!!」」
朝から元気だなぁ、でも元気っていいよな。と若干現実逃避していると穂香が質問してくる。
「でも、いいの?今日学校だよ?」
「今日は休むよ。理由は適当に孤児院の方の事情でとかでいいからさ、言っといてくれ」
「まあ明日から夏休みだからな。一日程度なら問題なかろう」
「分かった、言っとくね」
穂香、鉄雄の二人から了承を得られた大地は、今日のメニューはどうしてやろうかなぁと考えていた。
そしてやがて朝食も終わり大地が後片付けをしていると、穂香たちは学校へと出かけていった。洗い物を終わらせてから龍王たちの集まっているリビングの方へと歩いて向かっていった。今日のメニューが決まり、あいつらどんな反応するかなとにやにやと笑いながら。
「よしそれじゃお前ら、模擬戦を始めるぞ」
「っしゃあ!」
「よし!!」
大地の声に元気よく反応する二人。よほど待ち遠しかったのかスタンの体を中心に炎が、龍王の体を中心に風が吹き出している。
この孤児院にいるのは普通の人は持たない異能力をもつものばかりだ。
何らかの形で周りにばれて、いじめを受け、親に気味悪がられ、そうして心が傷ついた少年少女たちを引き取り世話しているのがここの孤児院の院長だった。
いつしか親自身が子供を気味悪がって自分たちでこの孤児院に子供を置いて行くようになっていた。もちろん俺もその一人なわけだが。
ここであがってくるのが、なぜ俺と鉄雄、穂香の三人が学校に行っているのかという問題だ。ここの院長にいわれたから行っているだけなんだが、今通っている学校のクラスメイト達は意外にも超能力者である俺たちをかっこいいとか、すごいとか言って受け入れてくれた。
理由は知らないが、この町では超能力者など瑣末な問題らしい。必然的に友達は増え、今では楽しく学校に行けている。
いろいろなことを考えていたが、スタンの言葉で意識を戻した。
「すまん、少し考え事をしていた。それじゃ始めるか」
「「待ってました!!(たぜ!!)」」
俺の言葉に反応する二人。
今か今かと体を震わせて、その時を待っている。そんな二人に苦笑いしながらなだめる。
「まあ少し落ち着けよ二人とも。
とりあえずルール確認だ。どちらかが先に降参するか、俺が戦闘不可能と判断した場合のみ模擬戦は終了とする。質問は?」
二人は特にないと首を横に振った。
「はじめ!!」
首を振るのを確認した俺は、手を上にかざし振り下ろすと同時に開始の合図を出した。
お久しぶりです!
いろいろ忙しくて、すいません。
ではまた次回お会いしましょう




