第四話 「孤児院」
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大地が目覚めたのは日が昇り始めてすぐのことだった。床に布団を敷いて眠っていた大地は上ってきた太陽の光を直接受け、暑さのあまり目を覚ました。
時刻は五時三十分。
普段の大地からは考えもつかないような時間の起床だった。それもこれもベッドを陣取っている天使のせいだ、と悪態をついてそちらを見ると姿が見えなかった。ノアの姿形はない。
「嘘だろ…!? あれが夢だったってのか」
「どうしたの?」
「ん?」
反射的に声のした方向、つまり右側へと顔を向けると目を擦りながら体を起こしているノアが視界に入った。予想外の状況に脳は軽く錯乱状態である。
「えーと、なんであなたが俺の布団の中にいるのでしょうか?」
無意識に敬語になってしまったがしょうがないだろう。内心はもっとパニックなのである。
ノアは首をかしげるとさも当然とばかりに答えを返した。
「夜に一度目が覚めてしまって寝ぼけてあなたの布団に入ったみたい」
「オーケーオーケー。つまり俺には一切責任がないわけだな。ふう、良かった」
(危ないな、まったく。無防備にもほどがあるだろ。おれも男なんだ襲わない保証はないのにまったく無防備な美少女ってのは本当に厄介だぜ。みんな穂香みたいに気楽そうなやつばかりならいいのに……。そうすりゃこんなに朝から心臓に悪いことに出会うこともないし我慢する必要もない………わけないだろ!!
オーケー、落ち着こうか俺。あわてるな、隣にいるのはいつの間になったのか分からないけどパジャマ姿のノア……可愛いな。ってそうじゃない!!
オーケー、落ち着こうか俺。ってさっきもやったなこのくだり。いい加減事実を認めようか。)
やはり大地の頭は軽い錯乱状態に陥っているのであった。
「朝から死ぬかと思った、いろんな意味で」
「大丈夫?」
「ああ、問題ないよ。気にするな」
原因はお前なんだけどな、と言おうとも考えるが必死に飲み込んだ。どうせ理解されることもないだろうという推察からだった。
「よし着いた。……院長先生、入ります」
「ああ、入りたまえ」
ノックしてから中世的な声が返ってきたことを確認すると大地はその扉を開き、部屋に入った。中には立派な椅子に腰かけている中世的な顔立ちの美青年。しかし本当は今年で齢60を超えるおばあさんなのだが。
「おはようございます、院長」
「ああ、おはよう。今失礼なことを考えなかったか?」
「いえ、特に何も」
無駄に鋭い院長の指摘を軽くいなし呼び出しの理由を聞くべく話を促した。
「それで今回は何の御用ですか?」
「ああ、その前にそこの子の紹介をしてもらえるか?」
「そうでしたね。こいつはノア。おそらく本物の天使です」
「天使か…。よろしくノアさん」
「こちらこそよろしく」
軽く二人は挨拶をかわし今度こそ本題に入った。大地自身昨夜から一体何がどうなっているのかいまいち分からないほどに色々な事が起こっているのでここで整理するのは好都合でもあった。
大地とノア、説明中…………………。
「というわけなんです、院長」
「なるほどな。要はセブンズシードという至宝を探すのを手伝えばいいということなんだな?」
「はい。そういうことになります」
「ふむ……、許可しよう。だがあまり子供たちは巻き込まないでくれよ?あいつらそういうことには喜んで突っ込んでいくからな」
「善処します」
「そろそろ朝食の時間だな。今日も頼むぞ」
「了解です」
院長の言葉に肯定の意を返すと大地は院長室を後にした。
朝ごはんの準備をするためにキッチンを目指すと、すでに料理は仕上がっていた。人数分のトースト、目玉焼き、牛乳、ベーコン。
今朝はパンらしい。作ったであろう奴がキッチンの方から出てきた。
虎田鉄雄。
結局のところ料理もできるのがこいつのいいところ。文学、運動ともによくできてクラスでも一目置かれている。その上料理もできるのだから申し分ない安定物件だろう。女子にとってはだが……。
「鉄が準備してくれたのか? サンキュー」
「気にするな。院長の呼び出しではしょうがあるまい」
「まあな。当番は一応俺のはずだったんだがな」
一応感謝はしておく、と素直に鉄に感謝して挨拶をしていなかったことに気付いた。
「遅れたが、鉄おはよう」
「ああ、おはよう。大地とノアさん」
「おはよう。それと、ノアでいい」
「分かった。そう呼ばせてもらうよ、ノア」
俺の背後にいたノアとも挨拶をして……、そういえばいたな。すっかり忘れてたが、とか大地は心の中で思ってたりもするが、口に出してないのでノアには聞こえないのだった。
そうこうしているうちに孤児院のちびどもが目を覚まし始めたようだ。騒がしい朝になりそうだ、とか漠然と感じた大地だった。
だいぶ日が開いてしまってすみませんでした!
今回でストックを使い果たしてしまうのでどうなるかは分かりませんが、なるべく早く更新できるよう努力します。
これからもよろしくお願いします。




