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第一話 「とある超能力者の日常」

2/22 編集しました

 これは一般人の目から隠れて日々を過ごす超能力者の物語である。

 だが超能力者の少年は、一人の少女と出会い変わっていく。その変革が世界にどんな影響をするのか、誰も知る由はないだろう。





    *****





「あーめんどくせぇ」

 夏休みを目の前にしたある日少年は、照りつける太陽と肌に感じる湿気に嫌気を感じながらSHRを受けていた。クラスを見回してみると全員が同じことを思っているようで暑そうにしている。

 ふと一人の女子と目が合った。その瞬間に心の中で一言バーカ、悪態をつく。もちろん顔には出さずに、だ。だがその女子はその悪態が聞こえているか(・・・・・・・)のように眉間にしわを寄せてこちらに向けて舌を見せる。俗に言うあかんべぇだ。

 こんなことは日常茶飯事なので特に気にせず流した。そんなことをして過ごしているとSHRが終わりを告げる。帰ろうと鞄を持ち立ち上がると先ほどの女子がかばんを持ってこちらに向かってくる。その様子を気にすることなく青年は歩き始めた。そのあとにつくように歩く女子は明るい声で青年に向かって声をかける。

「ね、大地。一緒に帰ろうよ」

 その言葉を予想していたように大地、と呼ばれた青年はため息をつくといつもどおりに答えを返す。

「いつも言っているだろう、ついて来たければ勝手にしろ。おれは特にお前を強制する気はないとな」

「そう言わないでよ。たまには一緒に帰ってもいいぜ、ぐらいはいってほしいのに」

「まあそういうなよ、穂香。一緒に帰ってやるから」

 穂香が不機嫌そうな雰囲気を放つと大地は即座にフォローする。それで幾分か気分を良くしたのか穂香はしかめていた顔を無表情にまで戻した。

「じゃあまあ、さっさと帰ろうぜ」

 大地がそう促し二人揃って歩き出した。



校門まで歩くと誰かを待っている人影を見つけた。その顔を見てみると見覚えのあるものだったので大地は声をかける。

「よう、鉄。誰かと待ち合わせか?」

「ああ。お前たちを待っていた」

「俺たちを?」

 大地は約束していたかと考えてみたが身に覚えがなく、穂香のほうを見ても首を横に振っていて身に覚えはないようだ。勘違いを訂正するために鉄と呼ばれた青年、本名虎田鉄雄は話を進めていく。

「ああ。ちなみに約束はしていないから安心しろ。記憶にないのは当然だ」

「お前もか。だから人の考えを勝手に読むなっての」

「そういう顔をしているだけだよ、大ちゃん」

 急に愛称で呼ばれた大地は驚いて呼んだ張本人を見る。そのあと周りを見回して誰もいないことを確認すると安堵のため息をついた。

「穂香、外ではその名前では呼ぶなっていっただろ」

「でもさ、周りにだれもいないからいいかなって」

「いてもいなくても変わらん。気配で俺も周りに人がいるかいないかは分かるけどな、できるだけ外ではその名前で呼ばんでくれ」

 大地が心底嫌そうにいうと、穂香は渋々分かったといった感じで頷いた。その様子にどこか不安を感じながらも話が脱線していることに気付いた大地は、軌道修正し鉄雄に話を促す。

「ああそうだった。俺の用だがな、特にはない。今日はたまたまバイトが休みだから一緒に帰ろうかなと思っただけだ」

 今日は何の厄日だと感じながらも渋々頷いた大地は穂香、鉄雄と一緒に学校を後にするのだった。





*****





「ねえ大地、あの本屋によっていってもいいかな?」

 住んでいる孤児院に向けて歩いていると、突然道沿いにある本屋を指さして穂香がいいだした。

「ああ?別に俺は構わねえよ。鉄は?」

「俺のほうも問題ないな。よっていこう」

 大地と鉄雄が構わないというと穂香は駆け足で本屋へ向かっていく。大地は穂香に転ぶなよ、と声をかけながらゆっくりと本屋へと向かった。

 

 それは二人が目を離した隙に起こった。二人は談笑していて気がつかなかったのだ。穂香が黒づくめの男たちに連れ去られていくのを二人は見ていなかった。依然として気付かないまま穂香は連れて行かれ、大地と鉄雄は話しつつ本屋へと入って行く。


 誰一人として黒づくめの男たちが車で走り去っていくのを見ていたものはいなかった。

とりあえず投稿しました。


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