ゴブリン
北へ進めば進むほど
竜の被害は大きくなってきている。
無事な家と道が
ほとんどなくなってきた。
もう暗くなっていた。
それでも休まないのは......。
「ねえ、暗いし危ないよー。
この辺りでもう休まない?」
「馬ももう疲れているので
休みたい所ではあるのですが......」
「ここでは休まない方がいいわ。
さっきチラッとモンスターが見えたの。
緑色だったわ。
もしかしたらゴブリンかもしれない」
「 「 「 ゴブリン!? 」 」 」
本で読んだことがある。
ゴブリンは悪戯好きな緑色の小鬼で
体は小さいが凶暴だという。
スライムすら討伐できない俺たちに
ゴブリンなんて......。
「ゴブリンは人を見つけると襲いかかってくるわ。
それに単独行動しないはずだから
近くに仲間がいるかも......」
驚きを押し殺し、
ゴブリンに見つからないように、
決して音を出さないように、
休まず、歩みを進める。
ズス地区はもう近い。
はずだ。
交代で馬車の荷台で仮眠をとりながら
黙って歩き続けた。
歩きながら俺はミラさんが話してくれたことを
思い出していた。
「冒険者の仕事は
自分でつくること」
あれって
どういう意味だったんだろう。
幸い、
ゴブリンに出会うことなく、
歩みを進めることができた。
ロトの町
最北のズス地区へ到着したのは
夜明け前だった。




