宿屋
パーティーってみんなで
同じ宿に泊まるもんだと思ってたけど、
現実はそうでもないらしい。
俺とコスケは酒場のある通りから
少し離れた宿屋を訪ねた。
「いらっしゃい。
宿泊ですか?」
優しそうな感じのいいお兄さんが
宿屋の店主だった。
俺はとても安心した。
「はい。
一泊したいんですけど
大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよ。
お仕事か何かですか?」
「えっとお......」
さすがに能天気なコスケも
先程の酒場でのやり取りを思い出し、
竜に襲われたロトの町へ行く
とは言わない方がよいか迷っているのだろう。
「実はロトの町へ行こうと思ってるんです」
俺は意を決して言った。
「ロトの町へ?」
店主の顔が少しだけ曇る。
「はい。
ロトの人たちの力になりたくて
サイマタという町の方から来たんです!」
「サイマタ!?
そんな遠くから!!?」
どうやら宿屋の店主は
知ってくれていたようだ。
店主は俺とコスケの顔を
見比べて言った。
「遠くからありがとう。
町の人も救われると思います。
特別に安くしておきますね」
宿屋の店主は
俺とコスケを受け入れてくれた。
店主の話では、
いまロトの町は壊滅的な状態らしい。
人々はギルドや教会に避難していて、
水や食糧がなく、
困っているとのことだった。
話を聞き終わると、
俺とコスケは部屋へ入った。
疲れていたこともあり
コスケとは特になにも話さない。
心の中で今日1日のことを
思い出す。
今日1日
いろいろな事があった。
初めての場所、
初めての出会い、
初めての感情、
まさか俺が
こんな所にまで来るなんて......。
思いを巡らせるうちに
深い眠りについていた。




