68.一と一三
今回は久方ぶりの三人称視点で、一三と一の過去話です。
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投稿が遅れてすみませんでした!
暗闇の中を進み続けた少年は遂に、搬入路だった大穴を越えて自身の住んでいた場所でありこの旅の目的地でもある地下都市へと足を踏み入れた。
彼は眼前の光景に言葉を失い、その場に足が縫い合わされた様に身動きが取れなくなってしまった。
彼の目に映る物は崩れて横倒しになり、あらゆる場所にひびの入ったコンクリート。
そしてその中から剥き出しになった鉄筋や鉄骨が剣山の様に上へと伸びた物、コンクリ―トに引っ張られる様に変形した物など様々にそして歪な様相をしていた。
それらが地面に所狭しと散乱し、その所々から地上でも見たシミの様に点々と赤黒く変色した血が広がっていた。
彼は自身の知る地下都市の、その変わり果てたその姿に対して言い知れぬ程の虚脱感に苛まれてしまったのである。
彼がその場で佇んでいると彼の耳が悲鳴にも似た声を聞き取った。
彼はその声に思考を引き戻され、今まで佇んでいただけの身体が周囲を確認する為に急激に動き出した。
声の主がいる方向は何処だ。
ここからどれ程に離れているのか。
声の主はどの様な状況なのか。
急いで探さなければならない。
声の主は自身の妹である『 』なのだから。
思考がばらける様に展開した後、瞬時に収束する。
収束した思考に弾き出される様に彼は走り出した。
この方向だ。
この先に『 』が居る。
彼が走りながら声のする方向に注視すると、地面に横たわっている建物の上の方。
まるで丘を形成する様に鎮座しているその上で、小柄な人影が四つん這いになっている姿が見えた。
彼はその人影を知っている。
彼が生を受けてから八年目に増えた、四人目の家族。
自分を兄と慕ってくれる大事な宝物。
視線のその先に居るのは彼のたった一人の妹だ。
「『 』っ!」
彼は彼女の方へと走りながら、枯れかけている声を振り絞って自身の妹の名前を呼んだ。
すると彼女は、その声に導かれる様に彼の方へとその顔を向けた。
彼女の顔は間違いなく彼の知る妹の顔であった。
服は全体的に汚れ、所々破れている。
服の破れ目から覗く身体には至る所に怪我が見られた。
サラサラとして艶のあった黒髪は、乾燥や砂埃の為か煤けて絡まっている。
そして彼女の双眸はなみなみと涙を湛えており、その目は真っ赤に充血していた。
彼女が彼の姿を確認すると真っ赤な目を見開いて、涙声ながらも叫んだ。
「『 』お兄ちゃんっ!?」
彼女は兄の名を呼びながら彼の方へ身を乗り出した。
それを抱きとめる様に彼は彼女の身体を両手いっぱいを使って包み込んだ。
彼にとっても彼女にとっても久方ぶりの兄妹の温もりをお互いに感じた。
「『 』、こんなに傷だらけになって・・・こんな場所まで・・・頑張ったな、よく頑張ったな」
彼女に対して発せられた彼の声は、感極まっているのか震えていた。
「『 』お兄ちゃんっ・・・『 』お兄ちゃんっ!?」
彼女もまた、彼と同じく枯れた声で兄である彼の名前を呼びながらその胸に顔を埋めた。
彼女を抱き留めてようやく会えた事に安堵した為か、今まで堪えていた感情が爆発したのか彼の眼からも大粒の涙が溢れ出ていた。
彼が妹と会えた喜びを噛み締めようとした時、自身の中である疑問が頭を過った。
『 』は何故こんな所に一人でいるのだろうか?
それにどうやってこんな所まで来たのだろうか?
彼がその事を訊くために彼女に改めて向き直そうとした時、彼女の方から彼の方に顔を見上げてその口から言葉が出て来た。
「『 』お兄ちゃんっ!お母さんが・・・お母さんがっ!」
彼女の焦りと狼狽した言葉に引き摺られて、彼の心から驚きと共に不安が鎌首をもたげ始めていた。
「落ちたのっ・・・あの穴の中に、落ちちゃったのっ!」
彼女はそう言いながら先程迄いた場所の近くに出来ている穴の方へと指を指した。
彼女の言葉を聴いて、彼はあの光景を思い出した。
自身の父の姿を。
瓦礫から腕だけが飛び出ていて、絶命しているその姿を。
此処まで読んで頂きありがとうございます!
それと前書きでも書きましたが投稿が遅れてしまい申し訳ありませんでしたっ!
今後は気を付けたい・・・と言いたい所なのですが、まだ暫くプライベートが安定しない為に今後も中々投稿が出来なかったりするかもしれません・・・(´・ω・`)
ですが、それでも投稿は続けていきたいので宜しければ今後とも閲覧して頂けると有難いです!
内容に関してですが後二話無いし三話程で過去編を纏められたらな・・・と考えております。
それではまたの閲覧お待ちしておりますっ!
ではっ!




