67.闇の向こうへ
前回に引き続き一視点での過去編です。
一の記憶
不規則な足場に歩みを阻まれながら、僕は暗闇の中をヘッドライトで照らして進んでいる。
只一人、黙々と進み続けている。
周囲にヘッドライト以外の光源は見当たらない。
荷物から消費し続ける食料や飲料、不安と焦りが常に僕へ押し寄せ続けている。
その感情に呼応する様にヘッドライトの光は刻一刻と弱り始めている。
残ったバッテリーは後三つ、消費したバッテリーも三つ。
ヘッドライトに取り付けられているバッテリーも心許無いし、残っているバッテリーに関してもどれぐらいの充電量か一目では分からない。
『戻る』という選択肢も考え無かった訳じゃない。
戻ってどうするというのか?
誰も居ない地上で一人で生きる、・・・そんな事出来る訳が無い。
あの瓦礫の中でやっと見つけた食料や飲み水も直ぐに無くなってしまう。
それに何よりも・・・。
僕は父さんに約束した。
母さんと『 』を見つけて戻ってくると。
だからまだ僕は戻るわけにはいかない。
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一歩又一歩と進んで行くうちにヘッドライトの光はじわじわと薄れていき、代わりに暗闇が視界覆っていった。
もはや足場を照らす事が困難になり暗闇の中に辺りの風景が完全に溶け込んだ時、進行方向に小さな光を確認する事が出来た。
それを見つけた時、僕はある種の確信にも似た高揚感を感じた。
確証は無いけど、あの光は地下都市の天井部から都市全体を照らしている人工太陽の光だと考えた。
光を見ていると無性に早く進みたいという気持ちに捕らわれたが、何とか自分を落ち着かせた。
今の自分の状態は足元も確認出来ない程の視界の上、先程迄歩いていた為にすっかりと疲労してしまった身体、今光を目指して動こうものならどんなアクシデントに見舞われてもおかしくは無い。
何よりも、目的地が見えて来た途端に溢れ出したはやる気持ちが最も危ないと理性が押し止めていた。
自分の気持ちを落ち着ける為に深呼吸した後、僕は大人しく胸ポケットに入れていたペンライトで周囲を確認した。
荷物を置いて座る事が可能か確認した後、ゆっくりと座って身体を安定させてから背負子を下ろした。
そして、背負子の中から周囲や手元を照らす為にランタン型のライトと予備のバッテリーを取り出してヘッドライトのバッテリーと交換作業をした。
交換後にヘッドライトの動作確認を済ませた後、休憩も兼ねて食事と水分も補給をした。
それから、これ以上進むならばしっかりと身体を休ませようと考えて睡眠も取る事にした。
そして改めて周囲を見回して、横になっても問題無い事を確認すると僕は明かりを消してから身を横たえて瞼を閉じ、ゆっくりと意識を手放した。
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どれぐらい時間が経ったのか、徐々に意識が戻り始めた頃に瞼を開けた。僕の視線の先には何処まで続く闇だけ。
その光景に僕はハッとして血の気が引いた。
何故?という疑問と共にもしかして眠る前に見た光が現実では無かったのでは?っと云う考えが瞬時に脳裏を過った。
急いで身体を起こして周囲を確認した。
すると先程迄眠っていた位置の逆方向にポツンと光が在った。
・・・何の事は無い、僕はただ寝返りを打っただけだったんだ。
こんな事になってから心も身体も休まる時なんて無くなった。
睡眠は体力を回復させるが無防備になる瞬間でもある、その為に肉体は無意識に周囲を警戒し、精神的にも体力的にも少しずつ消耗していくだけだった。
そんな時に光を見つけた。
待ち望んでいた故郷の光だ。
傍から見ればただの光だけど、今の僕にとってはその光だけでも無意識の警戒を解いてしまうには十分だった。
・・・気を引き締めないといけない。
此れだけ熟睡していても無事だったのは運が良かっただけだろう。
意識的に周囲を警戒しながら、自分の中で今にも溢れそうな帰郷への興奮を鎮める為にゆっくりと呼吸を行う。
油断してはならない。
確実に一歩一歩と進んで無事にあそこへ到達しなければならない。
僕は手早く食料を胃に納めて水分を補給した。
荷物を背負子に纏めて出発の準備が整うと僕は改めて周囲を警戒しつつ歩き始めた。
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ゆっくりと、確実に光の大きさは大きくなっている。
そしてその大きさや形はヘッドライトや街頭などの小さな光源が発している物でなく、穴の外全体を照す様に光が上方から下りているという事が分かった。
・・・だがここで僕はある違和感を感じた。
通常なら朝、昼、夕そして夜という様に時間毎で光の光量や色彩等を変化させていた。
僕が光を見つけてから取った睡眠の後からは既に半日分の時間が経過している筈だった。
けれど僕の眼には光量は常に一定で、色彩にも変化を感じられなかった。
・・・考えられる理由は人口太陽光を管理しているシステムによって、本来地震等の災害時に働く緊急装置が作動したからだと思う。
地下都市全体の物理的維持に関する危機的状況が発生した場合、浸水等による漏電が起こり得ない状況で、地下都市からの脱出時に視界を確保するため常時人口太陽光を点灯させる安全装置が作動する。
この事は地域毎の避難訓練時に度々説明されたからしっかり覚えている。
その安全装置が起動しているという事は、光の先に在る地下都市は・・・最悪を想定して行動しなければならない。
僕は深呼吸し、改めて自分自身の状況を確認する。
大きな怪我は無い。
休息が必要な程体力は消耗していない。
食料や飲料はもって二日分。
ライトの予備バッテリーはもう無い。
穴の向こうの光の先まで、後20mも無い。
僕に残された選択肢は・・・違う。
僕は最初から選択してここに居る。
だったら後は進むだけだ。
「今いくよ『 』、母さん」
此処まで読んで頂きありがとうございます!
中々話が進まず申し訳ありません!
それもこれも私が持つ文章力?の未熟故の事です。(なんかこの文章も変だな?)
改めまして、もう少しだけ過去編に御付き合いお願いいたします!
それから、ブックマークに評価をまた頂けました、ありがとうございますっ!
これからも頑張りますので宜しくお願いしますっ!
感想やご意見、質問等もお待ちしています!
ではっ!!




