63.外へ
一三視点での過去編です。
一三の記憶
私とお母さんは瓦礫の中を探索している。
最初の目的地であった配給施設は既に無いと云う現実を突き付けられた後、私達は瓦礫の中から無事な状態の食料を探していた。
お母さんは施設の残骸を一瞥した後、私の方を向いて膝を曲げて私と目線を合わせてから微笑みかけて言った。
「『 』・・・、食べ物や飲み物、探そっか?」
私はお母さんの言葉に一つ頷いた。
私に微笑みかけたお母さんのその顔に力は無く、明らかに疲弊していたからだ。
ここに来る迄の道程は決して楽なものでは無く、常に周囲への警戒もしていた事もあって、その疲労は確実にお母さんの身体を蝕んでいる。
更にそこへ追い討ちをかける様に目的地の無惨な光景が広がっている。
それでも自分で考えて前を向こうと行動するお母さんの姿は、眩しく映ると同時にとても儚げで弱々しくもあった。
私はそんなお母さんに対して・・・ただ頷く事しか出来なかった。
私とお母さんはここに到着した日の次の日から一日掛けて配給施設の周囲を探索した。
私は目に見える範囲で、お母さんは除けられる瓦礫を除けながら・・・時々真っ赤な絵の具の下も確認しながら探した。
見付けられた物は多くは無かったけども持ち運べる量としては多い程だった。
だからその日の夕食は少しだけ豪華になった。
それに温かい。
見付けた物の中に炭やマッチもあって、それを使ってお母さんが食べ物を温めてくれた。
・・・火を使っても良いのかな?
私とお母さんは今迄周りを警戒しながら移動していた。
それは、彼等に見付からない様にしていたからだ。
けれども、移動を開始してから既に二日は経過しているけれど、その間何も起こらなかった。
遭遇どころか私達以外に動いている音すらも聞こえなかった。
だからお母さんはもう彼等は近くには居ないと考えて火を点けたのだろうか?
・・・私はその事をお母さんに尋ねる事はしなかった。
目の前の暖かな食べ物が私の疑問を妨げる程魅力的だった事もあるけど・・・、それ以上にお母さんの心身が擦り減っていく様が、“問う”と云った行為を私に選択させなかったのかもしれない。
それに久方ぶりの暖かな食事は、消耗していた私とお母さんの心身を確実に癒してくれた。
次の日、私とお母さんはその場を発った。
見付けた食料の内、持てない分は隠して目印を付けた。
周囲には彼等の影も形も無い。
だから真っ直ぐと進む事にした。
お母さんは私の手を引いて、私はお母さんの手掴んでまた歩き始めた。
お父さんと『 』お兄ちゃんが行った、この都市の玄関口の搬入路に向かって。
此処まで読んで頂きありがとうございます!
中々過去編が収束しない・・・(実力不足)。
でもめげませんっ!!
次回は一視点でのお話になる・・・予定です!
それでは次回も宜しくお願いします!
ではっ!




