47.造られた物語
皆様お今晩は。
今回も前回に引き続き説明回です。
特に前書きで言う事も無い(思いつかない)ので、本編をどうぞ!
「送還られる前・・・?ヒトミ様、送還られる前と仰いましたか?こちらから喚ばれる前では無く?」
言葉の中に僅かな違和感を感じてグレイルは一三に問いかけた。
「・・・はい、そう言いました。・・・皆さんが≪召喚陣≫と呼んでいるあれはこちら側から誰かを喚ぶ為の物ではなく、私が居た世界から送り込む為の物なんです」
今まで考えもしなかった情報が一三の口から飛び出した。
閣議室に居る者は、口を押えたり頭を抱えたり等それぞれが困惑していた。
そんな中、グレイルは相手が侵略者と想定して最も聞かなければならない事を質問した。
「そいつら、・・・インセクタスですか?・・・彼等の目的は何なのですか・・・?」
グレイルの質問に一三は彼の眼を真っ直ぐに見返して答えた。
「・・・この世界にある≪魔素≫と呼ばれる物です。そして、≪魔素溜り≫とは彼らが≪召喚陣≫を介して送還られる際に出来た淀みの事です。・・・聖女とは、彼らの為にその淀みを解決する道具に過ぎないのです」
先程から立て続けに放り込まれる爆弾発言に、その場に居る誰もが耳を塞いでいたい気持ちになった。
自分達が最初にこの情報を聴かされているのだ、その後どこかの国の誰かに聞かせるために。
誰かにこのどうしようもない情報を伝える。
それがどれほどまでのプレッシャーになるか。
これから先を考えるだけでも胃が痛くなる。
「・・・ヒトミ様ぁ、お尋ねしたい事が在りますぅ。よろしいですかぁ?」
重苦しい空気の中、一人が声を上げて一三に質問の許可を伺った。
資料室室長のクレストだ。
「はい、構いません。私が知り得る内容でしたらお答えできます」
「・・・≪魔素≫とはぁ、結局の所いったい何なのですかぁ?私共は≪魔素溜り≫と言う名前すらぁ、初代聖女の一様からぁ、聴かされているだけなのですぅ」
「・・・膨大な力、それこそ他者の傷を瞬時に癒す事も可能な奇跡の様な力としか知りません。その正体については私達地球人も分かっていないんです。私達の居た世界がインセクタスに狙われた理由になりましたが、そもそも私達の文明ではそれを彼等から得た情報でしか認識する事が出来ませんでした」
クレストは一三の話を聴き、その内容を自身の頭の中で咀嚼するように目を伏せて、暫しの間沈黙した。
・・・自身の中で整理が付いたのか、伏せていた目を再び一三の方に向け、次の質問をした。
「ではぁ、≪魔獣≫ぅ・・・そしてぇ、彼等を生み出す≪瘴気≫とはぁ、何なのでしょうかぁ?」
一三は彼の質問を受けて説明するのが難しいのか、暫し逡巡して説明を始めた。
「こちらの言葉でちゃんと説明できるか自身は有りませんが、≪瘴気≫はインセクタスが造った最小の兵器です。≪瘴気≫は現地の植物に寄生し、大気に薄く広がっている≪魔素≫を糧に動き、生き物の体内に侵入してその生き物の情報を記録し、それを各≪瘴気≫に伝達して更に取りついた生物を強化及び狂暴化させ≪魔獣≫へと造り替えます。そして、記録した情報を元に周辺の有機物と無機物を利用してそれらを複製するのです・・・通じてます・・か?」
クレストは顎に手を当て、脂汗を浮かべながら真剣な表情をしていた。
彼なりに何とか自分達が理解できるように頭の中で咀嚼しているのだろう。
「・・・説明下手で済みません」
一三は何とも言えない気持ちになり、思わず謝罪してしまった。
それを見てグレイルは慌てる様に一三に話した。
「あっ、いやっ!ゴホンっ・・・ヒトミ様には何も悪い事等ございません。どうか彼の事はお気になさらないで下さい」
その言葉を聞いて一三は益々申し訳なくなってしまった。
それを感じ取った他の大臣も何とか空気を変えようと質問を始めたのだった。
最初に厄災対策部門を指揮している大臣が質問した。
「ヒトミ様、彼らは何故≪瘴気≫を使用したのでしょうか?それに最初から≪瘴気≫を使用しなかった事も気になります」
「・・・そうですね。・・・これは私達の予想なのですが、≪瘴気≫を使用し始めたのは私を送還り込むからで、≪瘴気≫を今まで使用しなかったのも私がまだ送還られる段階では無かった為だと思います」
「・・・?それは一体・・・」
「マッチポンプ。インセクタスと同じ姿をした私が、突如現れた直接的な脅威である≪瘴気≫と≪魔獣≫、そして≪魔素溜り≫の三つの脅威を退かせる。恐らくですが、そこから出来る信用を利用しようとしたのではないでしょうか?」
「インセクタスという存在を信用させる理由・・・!もしや彼等はっ」
「はい。私達の星を侵略したように、確実にこの世界も侵略しに来ると思います。そして現地の人間に少しでも信用を作ることで自分達がこの世界で動きやすくするようにする為だと思います」
「・・・そして、今までの≪後遺症≫を持たせた聖女によって我々に罪悪感を植付け、インセクタスに似せられた貴方を受け入れられるようにした、と」
話を聴いていたグレイルが出した補足の言葉に一三は静かに頷いたのだった。
それを確認したグレイルは更に言葉を続けた。
「もう一つ確認したいのですが先程“私達の予想”と仰いましたが私達とは誰の事ですか?」
一同が顔見合わせ、その言葉の意味を理解するとすかさず一三の方を見た。
そして、一三は・・・。
少し寂しそうな、苦笑いを浮かべていた。
今回もここまで読んで頂きありがとうございます!
そしてすみません。
説明回、後一話作る予定なんです。
申し訳ありませんがお付き合いお願いします。
質問等もtwitterや感想でも受け付けておりますので宜しければお願いします。
ではっ!!




