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44.囲んだ釜の飯は未だ冷え切らず

 お今晩は!

 今回も他人称視点(三人称視点)での進行になります。

 前回を見てしまった方々はご安心下さい。

 おじ(30歳 女装)×じじ(64歳)は展開もハッテンもしていません!

 それでは本編をどうぞ!


「・・・ふむ、つまりこの者は医療棟にて三人もの人間を殺害し、司祭殿は無理矢理こちらに連れて来られた。っと」


 地下牢から救出された司祭に経緯を聴いたベンジェフは、その内容を反芻する様に呟いた。

 呟きながらもベンジェフは件の殺人犯であるミリスの方を見遣った。

 現状の彼女からは地下牢で新たな聖女を再召喚しようとしていた様な厚かましく、身の程を知らない性分が剥き出しであった態度から一変し、何もかもを諦めた様な抜け殻であった。

 とは言うものの、この女をこの場所で放置して更なる被害者が出る可能性もあった。

 さてどうするかと考えていたところ、外から声がした。


「パース騎士団長!儀式の間の門が開いていますっ!」


 ベンジェフにとって、聞き覚えのある名前が聴こえて来て思わずフッとした笑みが零れてしまった。

 外から入って来たのは彼が少し前まで共に働いていた部下達であった。


「よしっ!突入後は各自三人一組になって散開っ!必ずあの女をみつけ・・・」


 走りながら指示を出していたパースの言葉が途切れた。

 なぜなら殺人を犯した女を追っていたら、門に入ってしばらくの所で件の女は放心してその場に居るは、聖女付きの女官らと見知らぬ女性、そして地下牢にいるはずの囚人服を着た自分の元上司が屯っていたのだからである。

 すると、どこか柔らかみのある声でベンジェフがパースに話し掛けた。


「パース・・・、様になっているじゃないか。安心したよ」


「ベンジェフ騎士団長・・・」


「おいおい・・・俺はもう騎士団長じゃないだろう。パース、お前が騎士団長だろう?」


 咄嗟にパースから出た言葉に呆れながらも可笑しそうにして、ベンジェフは答えたのだった。


「私の中では・・・何時までも・・貴方が騎士団長です」


 悔しさや悲しみがパースの言葉の端々から漏れ出していた。 

 その様にベンジェフは自分を未だに想ってくれる元部下を、叱責するべきかどうか少しだけ悩んでしまった。 

 

「・・・それでベンジェフ騎士団長これからどうするのですか?」


 パースはベンジェフにそう尋ねた。

 その言葉にベンジェフは・・・はぁ、とため息を吐きながらも少しだけ笑みを含ませた。

 その後一息ついてから背筋を伸ばし、身なりを整えて話し始めた。


「俺達は儀式の間へ行く」


「・・・それは何故でしょうか?」


 パースもまたベンジェフに倣い、佇まいを正してから尋ねた。

 ベンジェフは騎士団が来るまでに一三とマリー達からここ居た理由を聴いていた。

 騎士団は自分の古巣であり、一三が何かを成すにしても信頼できる協力者は必要だと判断し、マリー達に目配せをして向こうからも了承を得たので正直に話したのだった。


「聖女様がそれを望んでおられるからだ」


「・・・聖女様が?」


 パースはベンジェフの言葉を聞いて周囲を見回した。

 件の虫の様な見た目だった聖女を探す為に。


「・・・ベンジェフ騎士団長。聖女様はどちらに・・・?」


 訝しむ様に出た言葉にベンジェフは、そうだよなぁ。と言いたげな表情をしていた。


「パース、あちらにいらっしゃるのが今代の聖女様であるヒトミ様だ」


 ベンジェフはそう言うと女官達に守られる様に囲まれている一三の方を見遣った。

 それに倣ってそちらのの方に目を向けるパース。

 彼の眼には黄色み掛かった肌に、長い赤毛が光を反射してキラキラと輝いて見える女性が立って此方を見ていた。


「・・・え?」


 パースは呆けている。


「え・・・あ、・・・え?」


 パースは混乱している。


「え、ええええぇぇぇぇぇぇっ!?」


 パースは発狂した。

 ベンジェフはパースの顎を的確に弾いて黙らせた。


 今回もここまで読んで頂きありがとうございます!


 今回のサブタイトルですが、「同じ釜の飯を食べる」を独自解釈してもじったものになります。

 意味は察して頂けてると幸いです。


 本文では書いていませんが、騎士団が遅くなった理由が召喚の儀式の間に踏み込むには司祭の方(司祭長を含む)からの許可が無いとみだりに踏み込んではいけないという事と、司祭への説明等に時間を食ってしまったために遅れたのですん。

 ですから決してパース君が無能という訳では無いのです。

 

 それでは次回もよろしくお願いします!

 ではっ!!

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