43.恐怖は悪心を叩き潰す
お今晩は。
今回は他人称視点(三人称視点)での進行になります。
最後らへんに関してですが先に謝らせて下さい。
本っ当に申し訳ございませんっ!
「聖女・・・?あ・・・あれが?」
ミリスの口から声が漏れた。
それは小さな声で、近くに居た二人の女性にしか聞こえない程だ。
「あ・・・のはね、ただの化っ!」
ミリスの口から漏れ出た声が唐突に途切れた。
何故なら近くに居る二人の女性から、尋常では無い程に鋭利な殺意がミリスの身体中に突き刺された様に感じ、その先の言葉が出なかったからだ。
先程、ベンジェフから発せられていた押し潰さんとする殺気とは全く異質のもの。
恐らく、先程言おうとしていた言葉を続けようものなら瞬時にこの二人によりその命を絶たれていただろう。
「お嬢さん、忠告しておくわ」
二人の女性の内、老齢の女性・・・エノール女官長が言葉を発した。
「我々は聖女ヒトミ様の女官・・・ヒトミ様の為ならどんな事だって出来てしまうのよ。あなたの命等我々にとっては路傍の小石程の価値すらも無いのよ」
冷ややかな眼でミリスを見下ろし、薄い唇からはおどろおどろしい気配を纏った言葉が衝き付けられた。
その言葉はまるで地獄の底から聞こえてくるような、奈落の様に暗く、時間すらも凍らせてしまう程冷たい、そんな声で紡ぎ出された。
そしてそれを補足するようにもう一人の女性・・・バイセも話し出した。
「だから憶えておきなさい。・・・あなたがヒトミ様に危害とまでは行かずとも、あの御方を傷付けてしまう様な言葉を吐いただけでも・・・。我々は貴方の命も尊厳も何もかもを叩き潰しましょう」
彼女もまたミリスを見下ろす様に見ていた。
彼女は可能な限り丁寧に話しているのだが、その口調に荒々しさが見え隠れしており、さながら表面だけが薄く冷え固まりはしているが、所々にある亀裂から炎が見え隠れする溶岩の様だった。
そしてその溶岩は相対する物の何から何まで一切合切を焼き消さんとするほどのマグマを内包しているであった。
二人の言葉を只聴いている事しか出来なかったミリス。
もはや人間の範疇に入っているか定かではない存在達に翻弄され、たちまちの内に彼女の心は完璧にへし折られてしまっていた。
ベンジェフと化け物に相対し、その妹である化け物のマリーに片足を叩き潰され、聖女と称されている人外に情けを掛けられ、ほぼゼロ距離で相反する性質の殺意に晒されたのだ。
恐怖により心が擦り減れるだけ擦り減ったのだろう。
抵抗どころか身体を動かそうという意志すら消え失せていた。
ミリスがまるで糸の切れた人形の様に呆けた時、ドリーが地下牢の方から咳き込みながらフラフラと出ようとしている者がいる事に気付いた。
彼・・・彼女はその者が何者であるか確かめる為に地下牢への扉へと歩いていった。
「ゴホっゴホっ!・・・ハァ・・・やっと出・・・ヒっ!!」
地下牢から出て来ようとしていたのはミリスが無理やり連れて来ていた司祭であった。
彼は何とか一人で出入り口まで来たのだが、目の前に巨か・・・自分よりもはるかに体格の大きい女性に遭遇したため悲め・・・驚いて声が出てしまったのである。
「!・・・司祭様ですわね?・・・このような所で何を?」
幸運にもドリーは司祭の咄嗟に口から出た声は聴こえていなかった様で、そっと手を出したのだった。
「さぁ、司祭様御手をどうぞ」
司祭は先程迄殺人犯のミリスに無理矢理連れ回され、解放されたと思いきやその場所は途轍もなく悪環境下であり、体力的にもボロボロで満身創痍だった。
そんな惨めな気分の中に在った彼にドリーは手を差し出してくれたのである。
咄嗟とは言え自分が失礼な態度をとってしまったにも拘らずである。
そんなドリーの春の日差しの様に暖かな心遣いに司祭(年齢:64歳、性別:男性)は胸をキュンっと締め付けられるものを感じつつも、枯れ木の様な細腕を差し出し、鍛え抜かれた剛腕を以って司祭は地下牢から出ることが出来たのだった。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
はい・・・。
魔が差したんです・・・おじ(30歳 女装)×じじ(64歳)など作ってしまって。
※両方既婚者
次回はちゃんとします!
だから見捨てないで下さい!
・・・では!!




