38.狂気は形を変え、形を見失った
今晩は。
今回はミリス・ネイバー視点で進行します。
一部気持ちの悪いもしくは猟奇的に感じる部分が有ります。
苦手な方はご遠慮した方がと愚考します。
それでもという方は是非お楽しみください。
湿気を含んだ空気にカビや汚物、血肉が腐って混じった様な饐えた臭い、そして外からの光が殆ど遮断され閉塞感のある狭い石畳の通路。
私は腕を縛って抵抗できないようにした老齢の司祭を連れて医療棟から続いている地下牢を進んでいる。
この先にある召喚の儀式の間へ行くために。
・・・さっきから左目が疼いて、鈍痛が残った右目の視界を歪めてくる。
ここの空気が悪いから・・・だと思う。
それ程体力は消耗していない筈なのに時たま意識が飛びそうになる。
鼻を殴打するような強烈な臭気に私の中の何かが語り掛けてくる。
『何をやっているの?』
うるさい。
『何で殺したの?』
黙れ。
『・・・どうしてこんな事になったの?』
そんなのっ!・・・そんなの・・・私が知りたいわよ・・・。
あの時に、バークライドが死んでしまってから私の中で何かが壊れた。
・・・違う。
もっと昔から私は壊れていた。
だってあの時、自分の父親を殺す時に私は・・・。
幸福感と達成感に心が満たされていって、私は笑っていたのだから。
その後・・・、実家から逃げる様に出て行った。
疑われるのが怖かったから・・・?
・・・違う。
他者の死をもっと見たかったから・・・?
刃を立てた時、ぷつっという感触の後にスルスルと裂ける皮膚。
その奥に刃を進ませると、わずかな抵抗の後に血が持つ独特な臭いを撒き散らされていく。
脂肪と肉と血管をまるで蹂躙する様に、ブツッブツッと不規則に凶器を持った手がその感覚を感じ取っていきながら、そこに命だったモノの残滓を感じる事が出来た。
そうだ、残滓だった。
それが私の心を満たしていっていた。
・・・でも、私はバークライドと出会った。
他者の為に怒れる人間。
私達の家族には決して生まれなかった考え。
私の為にアーネストへ怒りを向けてくれた瞬間
それが私に一瞬だけ向いた時に私は・・・惹かれたんだと思う。
だから化け物だった私が、この人の横にいたいがために人間のフリをすることが出来た。
・・・でもバークライドはいなくなってしまった。
彼の死後にフッと何かが消えていた。
それが未来永劫戻る事が無いと知った時絶望した。
そして絶望は叫びへと変わり、それに応える様に手を差し伸べに来た人間を私は殺してしまった・・・。
埋まらない・・・。
消えた何かを埋める事が出来ない。
あの時、父親を殺した時の幸福感もが無い、達成感も無い。
私は化け物だった、それが人間のフリをしてみたが人間にはなれなかった。
人間のフリを続けた化け物は、人間のフリが出来なくなって、化け物に戻ろうとしたが化け物にすら戻れなかった。
・・・私は一体何になってしまったのだろう。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
この作品を書いてる筆者として・・・御免ミリスさん。
君の人生も精神もぐちゃぐちゃに僕なんや・・・。
正直な話、もっとマイルドに可哀想な人物を想定していたのです・・・が、筆が乗ってしまって・・・スマヌ。
次回こそはベンジェフ騎士団長を~・・・出したいっ!!
ではっ!!




