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35.ミリスは知らない

 皆様お今晩は。


 今回は・・・退場したはずのミリスさんにピントを合わせた物語になっています。

 ・・・はい、彼女の物語はまだ終わっていませんでした。


「ぐ・・・があぁ・・・っ!」


 ラーゼント王国城内にある医療棟。

 その一室のベッドの上で彼女は痛みと共に目を覚ました。

 その痛みは自身の左目から広がり、まるで脳まで痛みに侵されていくようだった。

 

「私は・・・何故・・・ここは・・・?」


 彼女が痛みに耐える中、徐々に記憶が鮮明になっていく。

 自分が所属していた分隊の事、カーバイエット盆地での撤退、武器を操る人型の≪魔獣≫そしてその弓矢に左目を貫かれた事、同僚が三名戦死した事・・・。

 そして・・・、バークライドの死。


「あ・・・ああ・・・ああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


 彼女は叫んだ。

 自らの迂闊さ、弱さ、そして無力を嘆いて。

 

 ミリスの絶叫に気が付いた医療棟の職員が慌てて室内に入って、叫んでいる彼女の姿を確認した。

 そして発狂したように叫んでいる彼女を落ち着かせるために話掛けようと近付いた。

 

 それがいけなかった。


 彼女は人殺しであった。


 戦争で自国の民を護る為でも、襲われそうな民間人を助ける為でも、自分を護る為でも無く。

 復讐の為に実の父親を殺し、その際に一切の情も感じずにそれを成した。

 そのような人物である。


 更に、今の彼女にはせっかく出来たバークライドという安全装置(おもいびと)が完全に無くなっている状態なのだ。

 そして兵士団の中で鍛えられたその身体は、たとえ無手であっても一般人程度の筋力、技術しかない人間等・・・


 ゴキリっ!!


 間合いに入れるだけでも十分に殺害可能なのだ。

 

 ミリスは濁って虚ろになった右眼で自身が今しがた殺してしまった職員を見ている・・・否、彼女の眼には職員の死体はおろか何も映っていなかった。

 自分の目に映っていたもの、映していたかった者が失われてしまった。

 彼女の心は喪失感が支配していた。

 しかし、それでも救いを求める様に彼女はフラフラと立ち上がった。


 立ち上がりながら彼女は考える。


 自身の大事な者を奪った存在。

 その存在を滅する方法。

 その方法を持つモノ(・・)の現状。

 ・・・現状を打開するため、新たに喚ぼうと言う声が高官の中でも上がっていた。


 それらの自分が持っている情報によって、彼女の中で一つの考えが現出する。


 その考えにとって、この場所は御誂え向きと言える。

 この医療棟では平時には司祭達がここで働いているのだ。


 司祭になるには医療に関する学問も学ばなければならない。

 それは聖女が召喚された際、身体的に怪我や病気等が有った場合直ぐに対処できるようにするためである。

 

 ミリスは動き始めた。

 大事な者を奪った存在である≪魔獣≫を滅ぼす為に。

 自身で導き出した考えの赴くままに。


 新たな聖女を召喚する。


 だが、彼女は大事な事を知らなかった。


 

 既に聖女である一三が目覚めている事を。



 今回もここまで読んで頂きありがとうございます。

 

 ん~・・・ドジっ子ってやつですねっ!(違います)


 さぁ、彼女の行動は聖女様達にとってどんな風な影響があるのでしょうか・・・?


 次回をお待ちください!


 では!!


 PS:ブックマークも乾燥も随時お待ちしております!(血涙)

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