28.ラーゼント王国第一防衛線・カーバイエット盆地
お今晩は。
今回から1,2話程、主要キャラ以外のキャラクターに焦点を当てて進行します。
すんません!
そしてやっぱり今回も性懲りも無く三人称視点での進行です
―ラーゼント王国西側領 カーバイエット盆地-
ラーゼント王国は北~東側を囲む様に山脈が存在し、南側は平野と広範囲の森林を挟んで海洋が存在する。
≪瘴気≫と≪魔獣≫被害があったオールデン領の場所はラーゼント王国と山脈の間の平野である。
そして、この大陸に存在する他国との玄関口の様に盆地で構成されているのが西側である。カーバイエット盆地は湿地によって構成され、植生等も高くても膝下程度の植物が存在しているだけで見通しもよく、その悪路は獣であれ人であれ、進撃してくる全ての者の進行を遅らせる。
故にラーゼント王国兵はこのカーバイエットの地を所謂「大物見」の意味合いも含めた第一防衛線としたのだ。
カーバイエット盆地からラーゼント王国の入り口でもあり、盆地全体を望める位置にある丘の上に本陣は設営されていた。
「ふわぁぁ・・・、眠い。」
「バークライド分隊長、しゃんとして下さい!」
本陣周囲に設営されている野営テント、その前で無精髭にいかにも中年です。と言った風体のバークライド分隊長が眠そうに欠伸を上げた。
そこに仏頂面でポニーテイルを揺らしながら一人の女性が近づき、バークライドに声を荒げて注意した。彼の分隊に所属している女性兵士のミリスだ
「今回の出撃は他の分隊どころか、ウチが所属している師団を含めて三個師団規模の兵が投入されているんですよ?どこの誰が見ているか・・・、分隊長の評価がそのまま分隊の評価に繋がりかねないってわかってますか!?」
「ん~、ンな事言われてもなぁ。正規の軍属である兵士はウチの師団だけで残りは義勇軍の連中じゃないかぁ・・・」
バークライドは部下のミリスの注意に顔を明後日の方に向け、しかめっ面で気怠そうに文句を言ってから、徐にミリスに顔を向けて・・・。
「やる気がな・・・、出ないんだよ♪」
とミリスに笑顔で伝えた。
その後一拍置いて放たれたミリスの拳はバークライドの鳩尾に見事に入ったのだった。
バークライドだった屍を後にしてミリスは同僚達が待機している野営テントに戻っていく。
ミリスが去った後、息を吹き返したバークライドはゆっくりと立ち上がり伸びをしてから彼女の向かった方に目をやった。
「ちったぁ、肩の力は抜けたかな・・・?」
とバークライド呟いた。
彼の名はバークライド・ファーリン。
王国資料室室長の兄にあたる人物で、ファーリン男爵家の次男だ。
バークライドは三年前まで近衛騎士団に所属していた。
対人戦においては近衛騎士団の中でも五本の指に入るほどの実績を持つ人間だった。
そんな彼は現在、ラーゼント王国兵士団に所属し、カーバイエット盆地の近くにあるガンバット砦の防衛を担っていた。
バークライドがここにいる理由は至極単純なもので、自身の見合いから逃れる為に出家したからである。
間違ってはいけないのは決して彼が男色家では無いという点である。
彼も人並みに女性は好きであり、給料日に娼館へ足を運ぶ程度には女好きである。
では何故バークライドは見合いから逃げたかと言うと、彼曰く「家の都合なんかであんな筋骨隆々で女と呼べるか怪しいヤツと婚約なんざ出来るかっ!」とのことである。
尚、この筋骨隆々な女性とはマリー・カーライルの事であり、この見合い話もカーライル家現当主夫人、つまりベンジェフとマリーの姉がマリーにラーゼント王国に里帰りして欲しいがためにセッティングしたものである、なので別に婚約自体は断ってくれてもカーライル家としては問題無く、その事は彼の実家であるファーリン家も了解していたので、彼が出家する必要はそもそも無かったのだ。
尤も、出家した彼は貴族から離れた事で人並みの自由を手にし、それを謳歌していたのである。
近衛騎士団に所属していた時から抜きんでた実力を持っていた彼は、兵士団において教官役も兼任している。
彼が指揮している分隊は彼に手解きを受けている女性兵士達で構成されていた。
何故女性兵士なのかと言うと、女性ながら兵士団に入れたは良いもののやはり女性に前線に立って死なれでもしたら、一兵士としても寝覚めが悪いという意見が現場の兵士から上がり、兵士団上層部としても同様な考えであった。
そこで、最も腕の立つ教官による指揮の下で経験の浅い女性兵士の練度を上げるための分隊。
という名目でこの分隊は造られ、敵との遭遇率を下げるために少しでも後方での活動をという事で補給部隊の護衛用分隊として運用されている。
そしてその女性兵士達の護衛兼お目付け役としてバークライドが抜擢されたのだ。
彼はミリスが歩いていった方角からカーバイエット盆地の向こう側、バクランズ連邦国の方角に目をやった。
≪魔獣≫共との会敵予想は明日の昼過ぎ。
それまでにこの場から分隊の皆を離さなければならないと思考を巡らせていた。
しかし、運命はそんな甘い考え等を簡単に踏み躙っていくのである。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございます!
・・・ネタが・・・結構前から・・・尽きました!
次回もお楽しみに!
では!




