三人目の仲間
ちょうど正午を迎えた頃、俺たちは小休止をしていた。
あれからずっと訓練しているが、流石にちょっと疲れてしまったので、昼飯も兼ねて小休止をとることにしたのだ。
「なぁなぁ、ところでさ」
さっきから気になった事があって、近くでお茶を飲んでいるウズメに話しかけた。
「なに?どうしたの?」
「他のみんなも、ウズメみたいに電気とかそういうの力を操れるのか?超能力みたいな」
そう、昨日のあの姿が頭から離れなかった。
「そうだね〜、基本的にはみんなそれぞれが何かしらの力を持っているかな。もちろん一個だけとは限らないけどね!」
「やっぱり神話や伝説に所縁のある能力なのか?」
「そうなんだけど、逆だねぇ」
逆?どういう意味だろう。
「逆って言うのはね、私達が神話や伝説に合わせるんじゃなくて、私達の力を見た普通の人たちがそれを神話や伝説として語り継いだの」
あぁ、成る程。起源はあくまでそっちということか。
「だってさ、冷静に考えても見てよ。雷とか火とかを普通の人が自由に操れるわけないじゃない?それこそ北欧系とか凄いでしょ?」
確かに....
ゼウスやオーディンとかの話は桁が違うもんなぁ...
「人で言うなら、アーサー王も凄かったですよ」
フィーネが話に混ざってきた。
「あ〜、アーサーさんか!あの人も凄かったね!あの、なんでも切れる剣!」
「あれ?ウズメも知っているのか?転生を繰り返してたんじゃ....」
「基本的にはそうだね!だけど、死んだらすぐに転生ってわけじゃないんだよ」
そうなのか?っていうか転生のシステムすら知らないからなぁ
「私達は魂が器に入った状態なんだけど、新しく器を用意されても、魂が磨耗したままなんだよね。だから基本的には死んだ時の年齢と同じ時間を天界で過ごして休息するの」
ややこしいな。まぁ、つまり経験を積んだ分休めということか。
「んで、天界にいる間は暇だから下界の様子を観察してるってわけ。その時の記憶も全部戻ったってお話だよ」
「へ〜、そういう感じなのか!俺はそういうのなかったけどな!」
「それは貴方がまだその時ではないと言うだけです。いずれ何かを思い出す時が来ます。それだけは断言しておきます」
フィーネは妙に含みのある言い方で説明してきた。
「それにしても、有名な伝説をその目で見てきたって言うのが未だに信じられないなぁ。そんな人達とこうして話をしているってのも実感がわかないよ」
それは本音だった。何というか畏れ多いと言うか、自分がえらく場違いな様な気になる。
「だろうね!だけど、後世の人達はみんなそんな感想を持つよ。多分50年もしたら「あの人のライブに行ったとか信じられねぇ!」とか言う人も大勢いるだろうね!」
まぁ、そんなもんなんだろうな。
とは言っても、話のスケールが全然違うけど。
「ところでこれからはどうするんだ?目的のウズメは仲間になってもらったし、他の場所にでも行くか?」
そういえば、ウズメを仲間にした後の予定を聞いていなかった。
「あぁ、それでしたらこの土地にもう一人仲間になって欲しい方がいます。」
フィーネがそう答える。
「もう一人?誰なんだ?」
「ニニギノミコトです」
あぁ、観光している時にやたら目にした神様だ。確か天孫降臨の主役だったな!
「ニニギノミコトは祖母がアマテラスと言う、超重要人物です。絶対仲間になって頂きます!」
フィーネが珍しく興奮している。
が、ここでウズメから思いもよらない一言が告げられる。
「ニッちゃん?ニッちゃんなら、記憶が戻って直ぐに福岡に行ったよ?」
「「......はい?」」
俺とフィーネがハモって聞き返す。
「いや、だから福岡に行ったよ?問題児を説得するとかで」
「え?いや、説得?何の為に?」
フィーネがさらに聞く。
「いやさ、私達は記憶を取り戻した時点でやるべき事はわかってたからねぇ。神からの使者が来て、仲間を集めながら敵に対抗するっていう事がね」
「それでどうして福岡に?」
「フィーネさんも何となく気が付いているんでしょ?問題児の正体に。これはスピード勝負なところがあるから、ニッちゃん慌てて旅立ったよ。私は二人か来るから一緒には行かなかったけどね」
俺一人が話についていけなかった。
問題児って誰の話をしているんだろう?
「では、ニニギノミコトは仲間になってくれていると言う認識で良いんですか?」
フィーネがウズメに確認を取っているところで、俺は聞いてみた。
「なぁ、さっきから誰の事を話しているんだ?」
すると今度はフィーネとウズメがハモりながら
「卑弥呼です!」「卑弥呼だよ♪」
と答えてくれた。
いつも読んでくださっている方々、本当にありがとうございます!
まだまだ実力不足ですが、精進していきます!




