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終末の飛来  作者:
第二章:ウズメノミコト編
20/26

調和

「神々の体系?」


「はい。日本では主神であるアマテラスを中心とした八百万の神で形成されています。神道と言うものですね」


 フィーネはなおも続ける。


「しかしウズメノミコトはその体系から外れるのです。どちらかというと我々天使に近い存在だと言えます」


「どういう事だ?」


「もともと日本の神々の体系は実験的な意味合いが強いのです」


 実験?

 言っている意味がわからない。


「不思議に思ったことはありませんか?他の国では万能ともいえる絶対的な神がいるにもかかわらず、日本には主神にアマテラスを据えて、多くの神々が存在しています。なぜこのような体系になったのだと思いますか?」


 ....確かにそうだ。

 でも、理由はあったと思う。


「確か、(あえて完全な存在でなくする事でお互いが支え合えるように)という理由だったと思う」


「その通りです。そして支え合うようにしたのにもやはり理由があるのです」


「理由?俺はてっきり日本人の奥ゆかしさと言うか、そんな美意識から来ているのだと思っていたのだが...」


 神々の体系、神道の意味なんて考えたこともなかった。


「もちろん、日本人の奥ゆかしさなどはあったでしょう。しかしそれ以前に、唯一神によって定められていたのです。そして実験とは、(頂点がいなくなったとしても動ける組織)を作ることです」


「頂点がいなくなっても?主神がいなくなってもということか?」


「その通りです。絶対的な頂点を決めてしまうと、それを失った時に総崩れになる可能性があります。唯一神はそれを恐れました。なので日本神話は主神こそ決めてはいましたが、基本的に相互理解と支え合いの体系にしたのです」


 なるほど、確かに大将を失えば軍は崩れる。

 とはいえ急に全てを変えるわけにはいかないから、言わば保険のような形で八百万の神という体系にしたということか。


「それで、ウズメノミコトが異例とどう関係あるんだ?そんな話は聞いたことがないんだが」


「それは、この体系の場合は相互理解が必要不可欠になるからです。自分の主張ばかりでは話になりません。なので唯一神は体系に組み込まれない神を、いわば補助のような形で創造したのです。それがウズメノミコトです。」


調和(ハーモニア)の能力か...」


「はい。それにより神々がお互いに理解し合うことができるのです。そのため、調和(ハーモニア)の力はいかに主神のアマテラスが強かろうと逆らうことが出来ないのです。まぁ、恐らく本人達はそんな事には気がついてもいないでしょうけど」


「だろうな。気が付かれたら調和(ハーモニア)という力が破綻するだろうし、そもそもその力に逆らおうとするって事は起きてはいけない事なんだろ?」


「えぇ、逆らうという事は言い換えれば争乱を起こす事と同意になりますから」


 最強の(平和の使者)といったところか。

 ......!

 俺はそこまで聞いて閃いた。


「なぁ、ならその調和(ハーモニア)の力を敵には使えないのか?通用するならもう、戦う必要もないだろ⁉︎」


「通用するかは試してみないことにはわかりませんが、恐らくは無理でしょう。何せ相手はこの世界の者では無いのですから。もちろん、通用すれば良いんですが楽観的な期待は持たない方が良いと思います」


 そっか....。

 まぁ、ダメ元で試して見る価値はありそうだな。


 終末回避の一縷の望みを見つけたところで、前方に旅館が見えてきた。


個人的には日本神話の中ではアマテラス大御神、ウズメノミコト、ヒルコノミコト(恵比寿様)が好きです。

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