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終末の飛来  作者:
第一章:胎動編
16/26

世界の神々

「そんなのいきなり言われても無理だよ!」


フィーネの言い分はわかるが、俺にも事情はある。


「そもそも何で今なんだよ⁉︎前回は数百年後に攻めてきたんだろ⁉︎」


そう問いただすと、


「昨日、鐘の音を聞いたでしょう?あれは()()()なんです。敵が近づいたら音が鳴るように神が作ったのです。前回は何の前触れもなかったので、何も出来ずに負けました。今回はあらかじめ分かるようにという、神の判断です。」


鐘の音...そういえば聞いたな...


「あれは...そうですね..レーダーのような物だと言ったら良いのでしょうか。太陽系の各惑星が敵を感知するようにしてあります。各惑星の公転軌道に敵が接触すると知らせが来て分かるようになってるんです。」


天界の話から急にSFチックな話になったな...


「現在敵は冥王星の公転軌道を越えました。いつやってくるかは正確にはまだわかりませんが、時は近いと思います。」


「受け入れなかったらどうするんだ?」


思わず聞いた。


「別にどうもしませんよ。ただ、貴方の意志とは関係無しに防衛の力は働きます。その時に貴方が合意していなければ、意識を封じて身体を動かし戦うでしょう。操り人形の様に」


実質上、選択肢なんてないじゃないか...

それでもやっぱり直ぐには判断なんて出来ない。


「少し考える時間をくれないか?」


フィーネに頼む。


「申し訳ありません...それも無理なんです。先程言ったように、もうあまり時間が無いのです。それは何も修練だけの理由ではありません。」


「...他の理由って何?」


「仲間を集める必要があります。」


フィーネはそう言った。


「仲間なら、大勢いるって言ってなかったか?」


先程フィーネが言っていた。

貴方()()と。それは俺以外にも同じように守護の力を宿した人間がいるという事だ。


「仲間といっても、天使や守護者だけではありません。天使には精神力、人間には経験値が足りません。」


「なら仲間ってどんな奴らだよ?悪魔とか言わないだろうな?」


天使でも人間でもないのなら、それくらいしか思いつかない。


そしてフィーネはまたも予想外の答えを口にする。


「人間界の偉人・英雄たちや、()()()()です。」


「は?」


純粋に変な声が出た。

偉人?英雄?死んでるのにどうやって仲間にするんだ?それに擬似の神って...


恐らく、俺はよっぽど怪訝な顔をしていたのであろう、フィーネはクスと笑いながら教えてくれた。


「偉人や英雄は戦いの多い人間界で、あらゆる偉業を成し遂げました。そしてそれは敵と戦うに当たって、とても重要な能力だと言えます。なので、神はそのような人間達の記憶をアカシックレコードに残した上で記憶を消して転生させたのです。そしてその時が来たら、記憶を戻すのです。そして()()()()()()()()なのです」


「言っている意味がよく分からない。

なら、最初っから記憶を消す必要が無いんじゃ無いか?」


「偉人達は概ね野心家の方が多いです。なので記憶を残したままだと、世界を混乱させる可能性がありました。しかし記憶を戻すという形であれば、元の記憶も保有します。なので...まぁ...常識や良識が残るというわけです。」


最後の方はなんとも歯切れの悪い説明だった。必ずしもそうとは限らないということか?


「とにかく、人間界の英雄達は既に記憶が戻っているでしょう。多くの者が戸惑っているでしょう。一応、天使がついてはいますが、果たして説得に応じてくれるかどうか...そこで同じ人間の貴方に説得して欲しいのです。他の者達にも同じように行動してもらいます。」


「もし、説得に失敗したら?」


「その時は...()()()もらいます。」


「殺す⁉︎よくわからない宇宙人ならともかく、俺に人殺しになれってのか⁉︎」


世界の為なら何をしても良いわけじゃ無いだろう!


フィーネはハッとして謝ってきた。


「すみません...言葉足らずでした。殺すというのは、前世の記憶を殺すという意味です。聖光(アーク)を使えば、記憶のみを抹消出来るのです。」


「先にそう言えよ!ビックリしたじゃねぇか!」


「すみません...。もう一つ言うと、それが修練にもなるのです。偉人と聖光(アーク)を使って戦い、そしてそれを倒す。これは凄まじい経験値になります。」


成る程、そういう魂胆か...。


「ちなみに擬似の神って何だ?」


擬似の神って本当に何だよ...


「それは世界中で信仰されている神のことです。イエスキリストや北欧神話のゼウス、インド神話のシヴァ、そして()()()()()()()()()、世界中まざまな神のことです。」


.......?


「それは擬似じゃなくて、神、だろ?」


当然の疑念。


「いえ、擬似です。神は創造主たる唯一神のみです。」


「意味がわからないんだが、もう少し詳しく教えてくれ。なら、俺が信仰していた神って何だ?」


理解が全く追いつかず、説明を求めた。


「ですから、それは神が作った擬似の神です。...わかりにくいので、本物の神を一旦唯一神と言いましょうか。これは、唯一神の新たな試みと言えるでしょう。」


フィーネも言い方で混乱しているようだった。


「世界を一度滅亡させた後、神は二つの事を考えました。一つは何とか天使を戦力に出来ないものか。二つ目は人間達は自分をなかなか信仰しないので、世界を作り直す際に何とか出来ないかと。そして二つの事を解決する策として、擬似の神という方法を思いつきました。」


説明はなおも続く。


「それは天使の力を持った天使ではない者の創造でした。世界中にその様な者を遣わし、一定期間は人々の信仰を集め、そして同時にそのまま転生出来るようにする事で、人間としての経験も身につく。世界中で自分だけを信仰させるのは無理かもしれないが、その地域の神を作り、信仰することで秩序が生まれ、保たれるかもしれない。唯一神はそのように考えたのです。」


......?わかるような....?ダメだ混乱する。


「そして神の考えは実行に移されました。結果は今のところは神の期待通りです。後は戦力になり得るかどうか。」


「ちょっと待ってくれ、でもイエスキリストは神の子だよな?日本だって神が作ったんだよな?」


「神の子といえばそうですが、それは世界中の神々全てに言えます。全員が唯一神の子であると。冷静に考えてください。海をこねて日本を作るなんて、不可能です。涙から人は産まれません。全て唯一神のシナリオです。信仰されやすいようにという。」


不敬にも程がある程の衝撃発言だった。

しかし、だからこそ納得もできた。フィーネは神が唯一神だけだと知っているからこそこんな発言が出来るのだろう。


「ちなみに..」


フィーネはそろりと言った。


「イエスキリストのみが神の子と言われているのは、ミカエル様のせいなんです。あの方は自らが守護するイスラエルに擬似の神が作られることが相当に嬉しかったようで、ガブリエル様に命令して、知らせに行かせたのです。結果、世界で神の子といえばイエスキリストという風潮が出来上がりました。」


成る程、大体はわかった。出来れば信じたくはないが...。


そしてフィーネは俺が完全に忘れていた事を再度口にする。


「貴方はその()()()()()()()()のです」



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