ルシファーと天界大戦 ②
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「宇宙の全てが詰まっています」
フィーネはそう告げた。
それは世の科学者が聞けば卒倒するであろう一言。この世の真理のとも言える。
「そんなものがあるなら、敵なんてすぐにでも倒せるんじゃないのか?」
素直にそう思った。
そんな知識があれば、大した脅威にはならないのではないかと。
「その説明をする為にも、ルシファー様の話を続けましょうか。」
フィーネはそう言って、話の続きを始めた。
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ルシファーは目の前の光景に打ちひしがれた。敵は一瞬で1つの街を滅ぼした。
それもただ滅ぼすのではなく、もっと酷い状況といえる。塩に覆われたこの街は二度と生物が栄えることは無いだろう。
ルシファーはこの事を神に報告すべく、天界へと戻った。自分一人ではとても対応が出来ないと確信し、神の知性と防衛の為の軍備を行う為に。
しかし天界に戻ったルシファーを待ち受けていたのは、狼狽し衰弱しきった神であった。
ルシファーは嫌な気配を感じた。
天界へと戻る間にアカシックレコードに何度もアクセスし、情報を探すが何も見つからないのだ。
通常ならありない事だが、この事から導き出される答えは、敵の正体が〔別の宇宙〕から来た何か、というものだった。
別の宇宙からならば、神が何も知らないのも頷ける。狼狽するのも納得が出来た。
別の宇宙に関しては、以前に1度だけ神から聞いたことがあった。
上位の存在によってこの宇宙は基礎を作られ、神が現在の形にしたと。
しかし、上位の存在が作り出したのはこの宇宙だけではなかった。多くの宇宙を作り、多くの神が管理していた。神の中には悪い者もいて、いつか攻めてくるかもしれない。
神はそう言っていた。
おそらく今がその時なのだろう。
ルシファーは天使を集めた。
事態に備える為に。
ルシファーからの招集を受けて集まった天使達は、ルシファーの説明を真面目に聞き、時に驚き、時に怒っていた。
最終的に天使達が団結し、敵を倒すということで話はまとまった。というよりそうするより他なかった。
あれから敵の姿が確認できない為、天使達をあらゆる場所へ送り、警備を固めてしばらく経過したある時、地上のイスラエル周辺の守護をしていた弟のミカエルが血相を変えてやってきた。
ミカエルは、自分の守る土地に異形の姿をした集団が攻め込んできたと必死に説明してきた。
それを聞いたルシファーはイスラエル周辺の天使に連絡を行い、自らもその地へ向かった。
イスラエルに到着したルシファーが見たものは、頭から角を生やした者、尻から尻尾を生やす者、果ては生物かどうかさえわからない様な姿をした者など、異形の集団だった。
ミカエルからは攻め込んできたと説明をうけたが、異形の集団は特に何をするでもなかった。
ひとまず話をしようとルシファーは声をかけた。すると異形の者達は急に態度を変え、襲いかかってきた。
ルシファーも応戦したが、どういうわけか触れることができなかった。それは他の天使達を見ても状況は同じだった。
異形の者達はこちらの攻撃が通じない事を悟ったのか、途中からこちらに見向きもせず、地上を襲い始めた。
何とかしたかったが、触れることもできないのだ。どうすることもできず、ただ地上が蹂躙されるのを見ていることしかできなかった。
ルシファー達は涙した。こんな事が起きていいのだろうか。自分達は何と無力なのかと。
やがて異形の者達は姿を消し、そこには蹂躙され変わり果てた大地のみが残されていた。
天界への帰路につく天使達の足取りは重かった。特にミカエルに関しては目も当てられない程に憔悴していた。
自分が守護を任された土地が、蹂躙され尽くされ変わり果ててしまったのだ。無理もないだろう。
天界へと戻ると神が待ち構えていた。
厳しく叱責を受ける。天使達はそう身構えた。当然、ルシファーとミカエルもだ。
しかし、神は相変わらず衰弱している様だが、その表情にはどこか希望を見つけたといった表情をしていた。
ルシファーは事のあらましを説明した。
異形の集団の事や、その集団に触れられず、なすすべも無く、蹂躙された事を。
驚いたことに天使達に対し神は謝ってきた。
対抗する力を与えていなかった事を。
そして対抗する手段を作ったと説明してきた。
それを聞いた瞬間にミカエルが叫んだ。
どうしてもっと早くに作らなかったのかと。
神はミカエルに再び謝った。
神が天に手をかざすと聖なる光が天使を包んだ。そして神はその力の使い方を説明した。
神が言うには、光をイメージしその光で攻撃するという、なんとも要領を得ないアバウトな説明だった。
ミカエルがすぐに試してみると、なんとも朧げな光がミカエルの周りを照らした。
神は言った。
具体的な武器を光で作る様にイメージすると使いやすいと。
今度はルシファーが試した。
光の剣をイメージすると、強烈な光を放つ光剣が出現した。手に持ってみると、ズシリという感じはするが、何故か重さは感じられなかった。
それを見た他の天使達も試してみるが、朧げな光の武器が出来るばかりで、ルシファーの様な光剣を作り出せるものはいなかった。
慣れればそのうち出来ると神は告げた。
ミカエルが再び叫ぶ。
そのうちではダメなのだ!と。
それを聞いた神はミカエルに冷静になる様に伝えた。焦りは身を滅ぼすと。落ち着いて再び今度こそイスラエルを守護する様にと。
ミカエルはハッとした表情で神に謝罪した。
神に対して怒鳴るなどあってはならない。
おこがましいにも程がある。
ミカエルは自らを恥じる様に俯いた。
そんな弟の姿を見ながらルシファーは珍しく全ての天使に命令を出した。いつもなら協力を頼む様な言い方をするのだが、今回は強い口調で命令した。
各自、この力を使いこなせる様に訓練に励む様にと。
敵はまだ本格的には攻めてきていない。全てを塩へと変える光の雷もあの一回きりだ。準備をするなら今しかない。次があるなどと考えてはいけないし、考えられなかった。
こうして全ての天使達は訓練に徹した。
ミカエルにはルシファーがつきっきりで訓練した。もう、二度と弟にあんな思いをさせたくない兄心だったのだろう。
神から与えられた力を天使達は聖光と呼んだ。神は特に名前を決めてはいなかった様だが、あの時天使達を包んだ聖なる光に対し尊敬の念を込めて、いつのまにかそう呼ばれる様になっていた。
それから少しの月日が流れた。
不思議なことにそれからの侵攻は無かった。
しかしルシファーは感じていた。
次の侵略が本命であると。
一度目は偵察と牽制。この世界を確認し、力をまざまざと見せつけた。
二度目は戦力の確認。こちらにどれだけの対抗手段があるのかを確認しにきたのだろう。
その結果、こちらに対抗策は無く、されるがままだった。
敵は油断しているだろう。
苦もなく侵略できると考えているだろう。
そうはさせない。させてなるものか。
ルシファーはその強い思いを心に秘め、心を鬼にして天使達を鍛えた。
そして運命の日は訪れる。




