第25話 きれいなジャ○アン魔法
――生活魔法。
父さまや母さまが生活魔法を使っていて便利そうだなぁと私は常々思っていた。
生活魔法は魔力持ちで祝福の儀式を済ませると使えるようになるという。
私は祝福の儀式を済ませたので生活魔法も使えるはずだ。
「じゃあ、やってみせるから見ていてね。最初は火からね。ファイヤー!」
まず、母さまは生活魔法のお手本を見せてくれた。
母さまの人差し指の上にライターほどの小さな火が現れた。
母さまは竈に火をつける時やパンをあぶる時に使っている。
「次は水ね。ウォーター!」
母さまの指先から水がチョロチョロと流れ出て地面に水たまりを作った。
喉が渇いた時や料理の時に使う生活魔法だ。
「最後はお掃除よ。クリーン!」
母さまが私にクリーンをかけてくれた。
汚れていた服がきれいになり、私自身もシャワーを浴びたようにスッキリして気分爽快!
「火と水とお掃除の三つが生活魔法よ。便利でしょう?」
「すごい!」
「神様が作ってくれた魔法ですよ。神様に感謝しましょうね」
「あい! 神様ありがとうございます!」
私は神に感謝を捧げた。
本当にありたいよ。
特にクリーン。
私はまだ二歳でおしめとれてないから。
乙女としては、本当にありがたいの。
今までは母さまが私にクリーンをかけてくれた。
ただ、今回の旅で父さまにクリーンをかけてもらうのは、どうにも恥ずかしかった。
これからは自分でクリーン出来る!
やったね!
「母さま、クリーンはどうやるのですか? 呪文? クリーンって言うの?」
「きれいになあれって強く思いながらクリーンと言えばきれいになりますよ。練習でそこの石をきれいにしてみましょう。では、クリーン!」
地面に落ちているちょっと大きめの石に母さまはクリーンをかけた。
すると大きめの石は土埃が落ちて水洗いしたようにきれいになった。
「じゃあ、キャリーもやってみて」
「あい!」
私は人が腰掛けられるほどの岩に向かってクリーンをかけてみることにした。
きれいになあれと念じて、私は右手をピッと岩に向かって伸ばす。
「クリーン!」
ゴウウ! と魔力の風が吹いた。
「きゃっ!」
「キャリー!」
私が悲鳴を上げ、母さまが私を抱いて守る。
魔力の風が吹いたのは一瞬だった。
ただ……岩が……。
「岩がカッコよくなってりゅ……」
「きれいといえば、きれいね……」
私と母は呆然とした。
私の生活魔法は発動したが、対象にした岩はツルッとした大理石のテーブルのように姿を変えていた。
母は私を抱いたまま、ウーンとうなっている。
「どうしてこなったのかしら……?」
「母さま。私、魔力の蓋が開いたら、魔力が増えてしまって……」
「ああ、魔力の調整が難しいのね。それにしてもクリーンでこんな風になるなんて聞いたことがないわ」
岩はキラリン☆と黒光りしている。
岩がドヤってるみたいだ。
「ヨーナスにクリーンをかけたら、カッコよくなるかにゃ?」
きれいなジャ○アンみたいな感じで、きれいなヨーナスになるかもしれない。
それはそれでちょっとキモイけど。
「キャリー。慣れるまでは人にクリーンをかけてはいけませんよ」
「はあい」
その後、ウォーターでは大量の水をまき散らし、ファイヤーでは危うく火事を起こすところだった。
私の生活魔法は、まだまだ練習が必要だ。





