第24話 魔銃の扱い方
帰り道は六日かかった。
行きの倍の日数だ。
歩くのが遅い牛さんがいたので仕方ない。
私と父は牛、馬、ニワトリの世話をして大変だった。
え? ベル?
あの子はやらないから。(苦笑)
マイペースだし、体が小さいから作業系は苦手なんだよ。
馬のお尻に乗って足をパタパタさせてたよ。
キャロライン村に到着すると村人総出で出迎えてくれた。
「いや~帰りが遅いから心配しましたよ!」
「何かあったのかと思った!」
「すまん、すまん。牛の足が遅くて帰りは時間がかかった」
いつもより帰路で時間がかかったことを父が詫びる。
猟の手伝いをしてくれるヨーナスと家の手伝いをしてくれるマーサおばさんが、馬、牛、ニワトリを見て喜んでいる。
「すげえ! 馬が一頭増えた! 畑がはかどるぞ!」
「牛とニワトリも良いですね! これで牛乳と卵が手に入りますよ!」
うん、うん、そうだよね。
出来ることが増えるよね。
私はヨーナスとマーサおばさんのリアクションを見て、がんばって連れてきて良かったと達成感を得た。
「キャリー、アラン」
「母さま!」
母さまが迎えに来てくれた!
私はうんしょ、うんしょと幌馬車の御者台から降りて、母さまに駆け出した。
でも、近づいたら母さまのお腹に赤ちゃんがいることを思いだし、そっと母さまに抱きついた。
「母さま、ただいま戻りました」
「おかえりなさい」
母さまが優しく頭をなでてくれる。
母さまの匂いをかいで、私は家に帰ってきたのだと実感した。
「キャリー、魔銃を手に入れたのですね」
「あい、メゾン・グラディスにありました」
「そう、良かったわね。その型は使ったことがあるので、今度使い方を教えてあげるわ」
「母さま、ありがとう! でも、牛さんやニワトリさんの世話を先にしないと」
「そうね。家畜が増えたのは良いけど、誰か経験あったかしらぁ?」
母さまは、『困ったわ』という感じでコテンと首を倒した。
こういうノンビリしたことを言うところは、貴族のお嬢さん育ちなんだなと私は実感した。
幸い村人の中に乳牛やニワトリの飼育経験者がいた。
父さまが彼らと相談して、飼育方法を進めることになった。
私は母さまに魔銃の使い方を教わることになった。
私と母さまは、家の近くの見通しの良い場所に移動した。
母さまは自分の魔銃を持っている。
「じゃあ、キャリーの魔銃の使い方を教えるわ。まず、こうして安全装置を解除する」
母さまは私のピストル型の魔銃――拳銃の撃鉄に当たる部分を起こした。
撃鉄が安全装置なんだ。
「この安全装置を解除すると、魔力が流れるようになるから気をつけてね」
「あい!」
「魔力はこの握る部分に金属の模様があるでしょう? ここはミスリルで細工が施されているの。だからここに手を触れて魔力を流すのよ」
「ミスリル?」
「ミスリルという金属があるのよ。魔力と馴染みやすい金属なの」
私は母さまの握りを見て、ミスリルが使われている部分を確認する。
ここを触っていればOKなのね。
「そして構える」
母さまは片手で拳銃を構えた。
「引き金を引いて発射!」
パシュッと空気を切り裂く音がして、銃口から緑色の光が発射された。
「さあ、やってご覧なさい」
「あい!」
私は母さまがやったように拳銃を操作する。
まず、安全装置、撃鉄を起こす。
力がないので両手で操作した。
そして右手で持ち、左腕に銃口をのせる。
特に狙いをつけなずに撃鉄を引いた。
パシュッと音がして、金色の光が発射された。
ビームみたいな感じだね。
「よく出来ました!」
母さまに褒められて、私はちょっと得意げに胸を反らした。
それからちょっと疑問がある。
「母さまの時は緑で、私の時は金色なのは、どうちて?」
「魔弾の色ね。キャリーの魔銃は古いタイプだから、魔銃を撃つ人の持つ属性がそのまま魔弾になるの」
「じゃあ、母さまは風属性だから緑色で、私は光属性だから金色?」
「そうですよ」
母さまは、ニッコリ笑った。
父さまと母さまが使っている魔銃は、普及しているタイプで、魔物の弱点属性にあわせて、魔弾の属性をマニュアルで変更出来るそうだ。
私の魔銃は古いタイプなので魔力はそのまま、私の属性――光属性で魔弾を撃ち出す。
「母さま、光属性は弱いの? 魔物を倒せる?」
「大丈夫ですよ。光属性の魔法の場合は、攻撃魔法はないけれど、魔銃を使えば魔弾を撃てるので攻撃出来ますよ。この辺りはホーンラビットしか出ないから、魔弾で十分倒せますよ」
「じゃあ、だいじょうぶ!」
拳銃の使い方は簡単だった。
それに火薬を使う地球の拳銃とは違うので、拳銃自体が軽くて扱いやすい。
これなら私でも魔物と戦える。
もちろん、最後の手段だけれど。
母さまは、そっと私の頭をなでた。
「キャリーは偉いですよ。あなたの魔銃で領民を守るのです。領民を守るのは貴族の務めですからね」
「あい! わかりまちた!」
ノブレスオブリージュだね!
頑張る!
続けて私は母さまにお願いした。
「魔法が使えるようになったから、生活魔法をおちえて」





