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転生幼女のわくわくスローライフ! ~変換スキルで異世界の開拓村を豊かにします  作者: 武蔵野純平@9/18マンガ蛮族転生3巻発
第二章 キャロライン村の大改革!(二歳)

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第18話 父さまと二人旅

 ――翌日。


 父さまと私は、ニューゲートの町へ幌馬車で向かう。

 母さまは妊娠中なので留守番だ。

 マーサおばさんとヨーナスが、母さまのサポートを請け負ってくれた。

 村人たち全員が見送りに来てくれた。


 母さまが私に注意をする。


「キャリー。お父様の言うことを聞いて良い子にするのですよ」


「あい!」


「あと……お父様がいっぱいお酒を買おうとしたら止めてちょうだい」


「まかせて!」


 私は胸をドンと叩き、フンスと鼻息を荒くする。

 マーサおばさんが父さまにお小言を言う。


「本当に領主様。無駄遣いはなりませんよ。お子様が生まれるのですから、塩、布、食用の油をお願いしますね」


「ああ、マーサ。わかっているよ」


 マーサおばさんのお小言を聞いて、村の男性陣が首をすくめる。

 私も村の男性をジロリと見る。


 なぜ、こんな風なのかというと……。

 父さまは前回の取り引きでお酒を買ってきたのだ。

 それも大量に。


 父さまは三月に一回、つまり季節ごとにニューゲートの町へ取り引きに行っている。

 私と母さまも一緒だ。


 しかし、前回は母さまが体調不良で――今思うと、母さまは妊娠初期で体調を崩したのだと思う――私と母さまは留守番した。


 そこで父さまは一人でニューゲートの町へ行った。

 そしたら桃とリンゴを売ったお金でお酒を買ってきたのだ。

 エールと呼ばれるビールみたいなお酒にワインとウイスキーを大量にね。

 それも結構良い酒が混じっていて、お金を全部使い切ったらしい。


 いや、お酒を買うなとは言わない。

 村人だってストレスもあるだろう。

 ようやく食うや食わずの生活から抜け出しつつあるのだ。

 お酒が飲みたい気持ちもわかる。

 村人の不満解消、ガス抜きにもなるだろうし、領主として領民に酒を振る舞うのは、ダメじゃない。


 けどね。

 取り引きしたお金を全額酒に回すのはやりすぎだよ。

 父さまもお金が手元にあったので、気が大きくなっちゃったんだろうね。

 母さまに叱られていた。


 だから、お目付役として私が一緒に行くことになったの。

 もちろん、ベルも一緒だ。


 私としては好都合。

 色々聞きたいこともあるし、開拓村の発展について話し合いたいこともある。

 正直、父さまの方が母さまより鈍感だから話しやすい。

 私が転生者であることを気付かれたくないから。


 それに父さまと二人で旅行するのは嬉しい。

 前世ではひどい父親だったから、一緒に旅行なんてしたことがない。


 父さまを独占だ!


 幌馬車がニューゲートの町へ向かう。

 幌馬車を引くのは村に一頭の赤毛馬で、ベルはお馬さんのお尻にチョコンと座っている。


 私はといえば、御者台に設えられた藁で編んだ籠が定位置だ。

 お尻がいたくならないように、マーサおばさんが籠を用意してくれて、籠の持ち手と御者台を上手い具合にロープで固定してくれた。


 父さまが御者台で馬の手綱を握り、幌馬車はテコテコと進む。

 草原と丘陵地帯が続き、轍だけが続く道が地平線の向こうへ続いている。


 私は父さまに昨日の戦闘のこと、森のこと、魔銃のことを聞いてみることにした。


「父さま、昨日のホーンラビットは怖くなかったの?」


「大丈夫だよ。キャリーは怖かったかい?」


「父さまがいたから怖くなかった」


「うんうん! そうか! そうか!」


 チョロッとご機嫌を取ったら、父さまはご機嫌で親バカモードを発動した。

 娘としては、ちょっとかわいく感じる。


「いつもあんな感じ?」


「うーん、森の中ではもっと難しいね。森の木に隠れて見えないことがあるからね」


「そうなんだ」


「でも、広い場所なら難しくないよ。ホーンラビットは、ジグザグに走った後に真っ直ぐ突っ込んで来る習性があるんだ。だからジックリ待って引きつけて撃てば大丈夫だよ」


「そうなんだ! 父さまスゴイ!」


「ふふふ、そうかな! スゴイかな!」


 父さまが身振り手振りを交えて説明してくれたので、ホーンラビットの動きがよくわかった。

 でも、あんな大きな魔物が接近してくるのを待つのって、結構怖いと思うんだよね。

 父さまは度胸があると思う。だからスゴイと思ったのは、本当だよ。


「森の木は太かったけど、お家の近くの木はあんなに太くないよね? どうして?」


「昨日の場所は魔の森なんだよ」


「マーの森?」


「魔の森だよ。魔物が住む森だから魔の森さ。魔の森は普通の森よりも木が大きくて太いんだ」


「マー!」


「マー!」


 父さまも、私のマーを真似してくれた。

 ふふ、楽しい。


 私は前から疑問に思っていたことを聞いてみた。


「どうして魔法で戦わないの? どうして魔銃で戦うの?」


「魔銃の方が早いんだ」


「早い?」


「魔銃は構えて、魔銃に魔力を通して、引き金を引けば魔弾が発射される」


「魔弾?」


「小さな魔力の固まりだよ。魔法を発動するには、意識を集中して、必要な魔力を練り上げ、発動するイメージを思い描かないといけない。時間が掛かるんだ。やってみせよう……」


 父さまは、真剣な表情になった。

 私は『イチ、ニイ……』と秒数を数えた。


 七まで数えたところで、父さまが右手を道ばたに向けた。


「ファイヤーボール!」


 父さまの右手から炎が飛び出した。


「わっ! スゴーイ! スゴーイ! 」


「ははは! 凄いだろう? けれど魔銃の方が早いからね」


 七秒……。

 どうなんだろう?


 私は前世で格闘技の経験はないし、興味もなかった。

 けれどTVで中継していた柔道やレスリングを見たことがある。

 技を仕掛けるスピードは物凄い早い。

 スロー再生を見ないと何が起こったのかわからないほどだ。

 きっと魔法発動までの七秒は、実戦では相当ながい時間なのだろう。

 だから魔銃を使うのか。


「父さまは魔法が使えるよね。火の魔法。母さまは?」


「マリーは風の魔法だね。あとは生活魔法が使えるよ。僕もね」


 生活魔法は、飲み水を出したり、火種を出したりする魔法だ。

 少ない魔力ですぐ発動する。

 クリーンという呪文で体や物をきれいにすることも出来る。

 とても便利だ。

 魔力がある人なら生活魔法は誰でも使えるらしい。


「じゃあ……えーと……。魔銃を撃てる人は、父さまと母さまと……」


「あとはマーサが魔力を持ってるよ。ただ、あまり魔力量が多くないから、生活魔法を使うくらいだね。一応、魔銃も撃てるよ」


「そっか。ねえ、父さま。私も魔法を使ったり魔銃を撃ったり出来ないかな?」


「えっ!? キャリーが!?」


 父さまは私の言葉に驚いている。

 けれどねぇ~、魔物の出る魔の森なんて物騒な場所が村の近くにあるんだよ。

 身を守る術は必要だと思うの。


 それに……。


「父さま。キャリーは村を守りたいし、生まれてくる子を守りたいの」


 私はシッカリと答えた。

 父さまは、しばらく驚いて私を見ていたが、フッと笑って私の頭をなでた。


「ニューゲートの町へ着いたら、魔法が使えるようにしよう。魔銃についても商会で聞いてみるよ」

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