第14話 人生最大のピンチ! なお二歳。
父さまと母さまは、私が変換スキルで生み出したぶどうを見て不思議そうにした。
「ぶどうだね……」
「ええ。ぶどうだわ。キャリーが出したの?」
「そう!」
「桃やリンゴみたいに?」
「うん!」
私は凄いでしょう! と胸をはる。
なぜか父さまと母さまは困惑している。
父さまが、てん菜を指さした。
「キャリー、これはカブ……?」
「てん菜だよ」
「てん菜?」
「お砂糖の材料」
「「えっ!?」」
「母さま、手伝って」
「え? ええ、いいわよ……」
何だろう?
二人とも困惑を深めている。
お砂糖が出来るのに喜ばないのかな?
「あの……キャリー、これは木? 苗?」
「父さま、それはぶどうの苗木。隣に落ちているのはぶどうの種」
「おっ……、そ、そうか……」
なんだろう?
ノリが悪いというか……。
初めて桃やリンゴを出した時のビックリ喜び感がないなぁ。
母さまがすっと屈んで私と目を合わせた。
「ねえ、キャリー。ぶどうやてん菜をどこで知ったの?」
「え?」
「だってこの村には、ぶどうもてん菜もないでしょう? ニューゲートの町へ行った時もなかったと思うわ。それに、桃とリンゴもどうやって知ったの?」
「……」
ま、不味い!
不味い! 不味い! 不味い! 不味い! 不味い! 不味い! 不味い! 不味い! 不味い! 不味い! 不味い!
母さまの言う通りだ!
私は日本から転生したから、リンゴも桃もぶどうもてん菜も知っている。
けれど、もしも、私が転生者でなかったら、私はこのキャロライン村にある物しか知らない。
キャロライン村に存在しないリンゴ、桃、ぶどう、てん菜、そうだ砂糖も知らないはずだ!
貧しいからか家には本もないので、色々な知識を得る手段が存在しないのだ。
私は父さまと母さまに、私が転生者であることを言っていない。
だから、父さまと母さまからすれば、私が知らないはずの物を生み出しているように見えるのだ。
それは不思議だろうし、怪しいだろうし、不気味だろう。
これは不味い……。
私はとっさに言い訳を思いついた。
さっと妖精のベルを指さす。
そして子供らしいたどたどしい口調で答える。
「べ……ベルにおしえてもらったの!」
「え? ベルちゃんに?」
「そう! ベルは木の精霊だから植物について詳しいんだよ!」
「そうなの?」
ベルがこちらを見て『はあ?』という顔をしている。
私は速攻で念話を送る。
『ベル! お願い! 話を合わせて!』
『えっ? どういうことなの?』
『とっ……とにかく、ベルが教えてくれたことにして! ベルは植物について詳しいでしょう?』
『そりゃ樹木の精霊だから何でもござれよ』
『さすが!』
『エッヘン!』
『じゃあ、そういうことでよろしく!』
私は念話の中で土下座アンド絶叫モードで、全てベルに押しつけた。
優しいベルは私の希望を受け入れてくれた。
父さまと母さまのそばをクルクルと飛び回りながら事情説明をする。
「アラン、マリー。私がキャリーに教えたの。村の役に立つよ~。お父さんとお母さんの役に立つよ~ってね!」
「まあ、そうなの? ありがとう」
「そうか、ベルちゃんがキャリーに教えてくれたんだ。ありがとう。すごい助かってるよ!」
「そうでしょう! そうでしょう!」
よっしゃー! 乗り切ったぁー!
人生最大のピンチをしのいだー!
『ありがとう! ベル!』
『もう~、いきなりでビックリしたよ~』
『今後も何かあったらベルに聞いたって言うからよろしく』
『え~!』
とにかくこれで前進できるね!
レッツ! ポジティブ!
私は前向きな提案を父さまと母さまにした。
「では、お砂糖を作りましょう!」





