第12話 それ行け! 現金収入!
――翌日。
私はいつもの場所――畑の脇に立つ守り木のふもとにちょこんと座り、妖精のベルと念話で会話している。
妹か弟が出来ると聞いて、私はとても嬉しい。
生まれてくる妹か弟のために、キャロライン村を豊かにしようと張り切っている。
生まれてくる子には、お腹いっぱいごはんを食べさせてあげたい。
そのために、村の食料生産力をアップして、作物の種類を増やしたい。
とはいえ、私は農業に詳しくない。
前世日本では普通の会社員だったのだ。
家庭菜園すらやったことがない。
そこで私は思いついた。
ベルが知ってるんじゃない?
ベルは木の精霊だから植物について詳しいんじゃないかと思う。
『ねえ。ベルは植物に詳しい?』
『もっちろん! 植物のことは何でもわかるわ!』
ベルは自信満々に答える。
よし、よし。植物アドバイザーをゲット!
『あのね。このキャロライン村にあった農作物を知りたいの』
『そうねえ~。この辺りは小麦、大麦、ジャガイモ、キャベツ、玉ねぎ、大豆、かぼちゃ、にんじんがおすすめだよ!』
ふむ、ふむ。
小麦、大麦、ジャガイモ、キャベツは生産しているよね。
とすると、次は玉ねぎ、大豆、かぼちゃ、にんじん……。
大豆は植物性タンパクがあるから欲しいな。
あと、かぼちゃも食べたい。
『果物は?』
『桃でしょ。リンゴでしょ。いちごやブルーベリー、スイカ、メロン、チェリー、ぶどう』
どれも美味しそう!
私も食べたいし、生まれてくる子にも食べさせてあげたい。
『バナナやカカオは無理かな?』
『あの子たちは、もっと南の暖かい地域じゃないと無理だよ』
『了解。ありがとう』
植生は地球と同じみたい。
だったら、アレがいけるんじゃないかしら?
『ねえ。ベル。てん菜はどう?』
『よく知ってるね! てん菜もいいよ。けど、食べても美味しくないかも』
『大丈夫! お砂糖を作るの!』
前世日本でてん菜糖がちょっと流行したんだよね。
普通のお砂糖より健康に良いとか何とか。
それで自宅でお砂糖が作れるっていう動画をネットで見たことがある。
今のキャロライン村に必要なのは現金収入だと思う。
農具と守り木効果で領民が食べて行ける量は確保出来た。
村を豊かにするためには、次の投資が必要だ。
例えば、馬耕。
馬をもう一頭買って、馬を使って新しい畑を増やす。
例えば、養鶏。
鶏さんに卵を生んでもらえば、村人の栄養状態が向上するし、料理にバリエーションが増える。
例えば、乳牛。
牛乳が飲みたいし、お菓子の材料にもなる。
それから家も建て直したい。
雪はそれほど積もらないけど、冬は結構寒いのだ。
ニューゲートの町から大工さんに来てもらって、ちゃんとした家を建ててもらいたい。
何をするにも先立つも――現金のが必要だ。
今は私が変換スキルで毎日せっせと桃を生みだしている。
それから桃とリンゴの果樹園が、キャロライン村の現金収入の柱だ。
村を事業ととらえると、私のスキル頼りは不健全だ。
私のスキルに頼らずに村の収入が増える方向にしたい。
砂糖なら高く売れそうだし、リンゴをジャムに加工しても良い。
何より生まれてくる子に美味しいお菓子を食べさせたい。
クッキーとか、ケーキとか。
お砂糖は全てを解決するのよ。
変換スキルを使い続けたので、スキルレベルが上がっている。
レベル3とレベル4が空いている。
■―― 神からのギフト ――■
変換スキル:物質を違う物質に変換する。魔力が必要。
レベル1:リンゴ
レベル2:桃
レベル3:未設定
レベル4:未設定
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レベル3をてん菜にして……。
レベル4はちょっと試してみたいことがある……。
私は、まずレベル3にてん菜を設定した。





