王宮への招待(逃げられない)
家族とぎこちないながらも普通に話すようになって数日…第一王子の婚約者候補になってから約半年経っても特に音沙汰なかったのですっかり油断していた。
その日はたまたま時間があったからか、家族全員で朝食を食べているときだった。
執事のタイラーが少し慌てた様子で一通の手紙を持ってきた。朝食時に手紙を持ってくるくらいだからよほど重要な手紙だったのだろう。
父は手紙を受け取り、中身を確認するとゆっくり私の方を見つめる。
え、私に関係ある話…?
「アステリア、王宮へ来るようにと通達が来たぞ。3日後に王宮へ行かねばならない。」
父の言葉に家族全員、ついにか…という顔で私を見つめている。
「…かしこまりました。しかし、王宮へ行って何をするのでしょうか?」
「第一王子殿下の婚約者候補が決まったからその顔合わせだろう。アステリアの他に3名の候補者がいるようだ。顔を合わせて少し茶会に参加したら終わりだと思うぞ。」
なるほど、ライバルを確認できる機会ということか!私は第一王子と婚約する気はサラサラないけど、他の候補者についてはそんなことないだろうし…。
「ちなみにですが、他3名の候補者の方はどなたでしょうか?」
「まず、アトライダ公爵家長女のマリーン様、次にラスティン侯爵家次女のサラ様、最後にニルスター侯爵家長女のファリナ様だ。」
なるほど…。授業で聞いたことのある家名ばかりだ。
アトライダ公爵家はずっと前に王家から姫君が嫁いだことで誕生した、歴史ある家柄だ。確か当主は王宮所属の第一騎士団団長だったかな?
ラスティン侯爵家は当主の息子、つまり婚約者候補のマリーン様の兄が現役の宰相をしていたはず。
ニルスター侯爵家はこの国の商業を監査する役割を担っている。
うん、どの家も王家に貢献しているというか…候補に選ばれるのも納得できる。
「本当に、なぜ私が候補に入っているのか不思議ですね…。」
私の言葉に家族全員うんうんと頷いている。執事のタイラーまでも。
「アステリアが第一王子殿下との婚約を望んでいないことは陛下も王妃さまもご承知の上だ。候補として最低限の集まりに来てくれればそれでいいと手紙に明記されている。だから、3日後の登城もそう重く考えなくてもいい。」
「…はい、ありがとうございます。」
「食事を中断してしまったな。さあ、食べようではないか。」
父な言葉にみんな頷き、朝食を食べる。
私は朝食を食べながら3日後の登城のことについて考える。
登城は面倒だけど、少しお茶を飲んで帰るくらいの気持ちでいこう。ついでに他の候補者たちがバチバチにバトルするとかあれば面白いんだけどなあ。




