第十話
セルク諸島沿岸
空母 大鳳 CLC 12時40分
「艦長、アンノウンが引き返して行きます。」
「司令、作戦成功です。」
「よし、白い館に報告だ。」
「艦長、笠置より連絡です。レーダーに反応、機数15機、友軍反応あり富嶽と思われます。
「到着するのはいつだ。」「はい、14時20分頃かと。」(予定より少し早いな。)
「F-22、発艦用意迎えに行くぞ。」
白い館 16時
「そうか、よかった。」
赤城は報告を聞くとイスに座る。
「総理、この作戦でわかったことはたくさんあります。
まず、彼らが日本語を喋れること。これは潜水艦の艦橋の盗聴器で確認しました。
他にも会話でわかったことが多数あります。」
「ほう、日本語を喋っているだと、何のイタズラだ。」赤城は純粋に驚いていた。
「赤城大臣、接触は可能か?」
「はい、この前と違い十分に接触は可能だと思います。」
「使節団を送る。赤城君は人選をしてくれ、後藤君は使節団を安全かつ迅速に送迎するプランをたててくれ。」
赤城と後藤はそう言われるとすぐに仕事に取り掛かるべく白い館を出ていった。
ペンタゴン 16時30分
画面が沢山ある部屋に後藤はいた。
ここには世界中の日本軍の情報が集まっている。
「私だ。急だが予定が早まった。政府専用機「富士」は動かせるか?」
「テスト飛行は終えましたが、今すぐは無理です。」
「どれくらいかかる?」
「準備に半日…いえ、1日は必要です。」
「遅い、半半日で終わらせろ。」
そう言うと後藤は受話器をおく、間を置くことなく受話器をとり電話する。
「私だ。今すぐノーフォーク軍港に行ける奴を向かわしてくれ、人手が足りない。……では頼んだ。」
後藤はまた電話をかける。
「総理、後藤です。使節団を送迎する機体が決まりました。今日の10時頃に準備が整います。………………はい、わかりました。」
そして、後藤は電話する。
「ペンタゴンの後藤准将だ。赤城外務大臣はいるか……わかった。では、伝言を頼む。使節団はノーフォーク軍港にとだけ……では。」
そして最後、後藤はメールをする。
「輝の任務は少なくとも四日後。」
そう打つとメールを送信し、ほくそ笑んだ。
セルク諸島 14時10分
空母 大鳳 CLC
「富嶽目視圏に入りました。」
「乗員、そのままで聞け、現在艦隊上空に富嶽が15機いる。手が空いている者は出迎えてくれ。」
「「うぉー~い」」飛行甲板では手をふる乗員が多く見られた。それに答えるように富嶽もバンクをする。
富嶽一番機
「静司令、目的地に着きました。」
「……ん…」
「は、機長着陸は可能か?」
「はい、出来ます。2500m級の滑走路でギリギリなので。」今回急ピッチでできたのは3000m級の滑走路である。
これは富嶽の卓越した能力である。普通、富嶽程の飛行機なら4500m級の滑走路が必要になるが富嶽はその半分でできるのだ。
富嶽はタイヤを出し着陸体勢に入る。
そして、富嶽のもうひとつの能力が人知れず発動していた。通常飛行機が着陸するには、空港等にある離着陸援助システムがある。風向風速計、計器着陸装置、進入角指示灯等があって初めて安全かつ確実に着陸ができるのだ。しかし、富嶽はそれらが無くとも機体に取り付けてある計器やセンサー等を駆使し離着陸が可能なのだ。
ドスン!!タイヤが地面をとらえ機体は滑走する。
「フラップオン、逆噴射、ブレーキオン。」
次々と富嶽は着陸していき、着陸順な積み荷を下ろしていく。積み荷は此島を開拓するのに必要な重機類である。(これで少しは楽ができるな。)と思う海兵隊の面々であった。
ノーフォーク海軍基地 21時
日本バージニア県にある。日本海軍の中で最大の大きさを誇る軍港である。
基地には16の桟橋、13の格納庫がある。
日本海軍の第二艦隊の母港でもある。
「ほう、これが「富士」か…」
初老を過ぎたぐらいの男性の前には白い機体に赤いラインぎはいった機体があった。
「富嶽の派生型だけあって余計にでかいな。」
そう、この政府専用機「富士」は富嶽B型の派生型である。飛行艇だけあって普通の機体とは随分異なる。エンジンは翼の上に取り付けられていたり、収納可能なフロート、富嶽の名残のタイヤの配置、救命のために作られたUS-2譲りの機首等、この機体がいかに異色なのかがわかる。
「たかだか、一使節団には少し勿体ないな…」
「何を言ってるんですか、異世界に来て初めての外国への訪問ですよ。これぐらいあってもバチは当たりませんよ。」
「……昔、この国は鎖国をしていた。ペリーが開国をしたとよく思われているが実際のところそうでもない。当時、鎖国をしていた日本は当然ながら国際ルールというものがわからなかった。ほとんど何もわからず世界という名のプールに叩き込まれ、その深さ、広さ、そして泳ぎ方を知らなかった日本は溺れそうだった。」
「……今の日本も同じだと。」
「似たようなものだ。今は非常に便利にな物を使えるからプールの広さや泳ぎ方は多少はわかる。が、深さまではわからん。そして今の泳ぎ方をしていたら溺れるかもわからん。」
「…………」
「そんな固い顔をせんでくれ、今の状況がわかればそれでいいんだ。」
「はい、岩倉代表、及ばないところもあると思いますが一生懸命に頑張ります。」
「…そうか、頼んだぞ。……着いたようだな。」
岩倉の視線の先には20人ぐらいの人がいた。
彼らこそ、日本が異世界に来て初めて送り出す使節団のメンバーである。
(………何の因果かね。)使節団代表岩倉は一人そう呟く。音は周りに掻き消えていった。




