第九話
ダイナ王国 王都 ディアゴ 9月18日 5時
ダイナ王国は建国以来、王政をとっている国である。現在の王政は300年続いている。国民は今の王政に不満はなかった。ここ最近は人口が増加傾向にあり、経済のまわりもよく王都はかつてない賑わいを見せていた。ゴシック建築で造られている家々は地球の中世を思わせる。朝日が山から姿をチラチラ見え始めた朝方、王都の中心にある見事なゴシック建築の城の一角から竜が人を乗せて飛ぼうとしていた。そしてそれを止めようとする人。
「い、いけません姫様。」初老をとっくに越しているであろう男性は必死に少女を説得している。
「大丈夫よ。セルク諸島までだいたい9時間あれば行けるわ。」金色の髪を後ろで纏めた少女は自信満々に答える。
「姫様はまだ子供でございます。もしも姫様に何かあったらどうするのです。」
「だ~か~ら~、私は大人だって認めてもらえるようにセルク諸島まで行くんじゃない。」
「な?!そ、それは男性だけに限ったことでございます。それに今は戦争中です。何が起こるか。」
「はい、時間切れ後よろしく。」
そう言うと少女は馴れた手つきで竜の手綱をひき上空に上がっていく。
「ひ、姫様ーーーーー。こ、近衛隊姫様の護衛をー」
下があわただしく動くなか、少女は遠足にでもいくかのような顔つきで前を見据えていた。すると朝日が顔を出してきた。
(キレイ…)少女はその光景をしばし見た後目的地に向けて出発した。(目指すは海の向こう。セルク諸島。)
セルク諸島沿岸 12時
空母大鳳 CLC
「アンノウンが目視圏に入るまで後60㎞。」
CLC内は何時にもまして張りつめた空気が支配していた。
「潜水艦部隊、所定の位置に着きました。接触まで後10分を切りました。」
そういった後CLC内は再び静かになる。
(これが失敗したらどうするかな。)
艦長の堀はそんなことを考えていた。
白い館
「第三艦隊指令部は本隊から60㎞の場所を最終作戦ポイントに設定しました。」
後藤はパネルを使い説明する。
「これが失敗した場合どうなる?」伊部は作戦が成功してほしいと思っているがもしものことはやはり考えてしまう。
「…恐らく、本隊は発見され偵察をされて本国に報告されるでしょう。そうなると最悪戦争です。がそうなった場合、第三艦隊は迷わず撃墜命令をだすでしょう。もちろん独断で…」
「軍はそんなことを黙認しているのか。」
赤城は冷たく凍りつくような声で言う。
「……………。」後藤は黙りである。
「…ち、解ってるよ。あいつらの仕業だな。」
赤城は矛先を潔くしまう。
「国の光あるところに闇があるか…。」
伊部はそう言うとイスを回転させ窓の外を見る。
その日の空は光があった。
とある海の上 12時20分
「もう、なんで着いてきたのよ。」
「「「「姫様一人じゃ危険だからですよ。」」」」
ダイナ王国の姫、ダイアナは怒っていた。無論後から追い掛けてきた6人にである。彼らはダイナ王国近衛隊のメンバーである。
「だから、私はもう大人なの。」
「「「「姫様はまだ子供でしょ?」」」」
「…………だそうだ。」
(全くなんでこんなに過保護なのかしら。)
それは彼女が幼い頃から危険なことをやるため周りがハラハラしてしまうため……とは知らないダイアナ姫である。
「わかったわ、一緒に行きましょ。」
「「「「はい、姫様。」」」」
(まぁ、早々危険なことはないでしょう。)
……が彼女の予測は海の下から砕かれる。
セルク諸島まで残り55㎞ 12時30分
「はぁ~。」ダイアナは疲れていた。
「それでね~。」「こんどさぁ~。」さっきから近衛隊のメンバーに囲まれ話を聞くダイアナはうんざりしていた。
(それに比べて…、ウィン隊長は…)
ダイアナは周囲を警戒しながら先頭を行く近衛隊隊長ウィンを見る。彼とはあまり話したことはないが少なからず好意を持っていた。
「………!!何か来るぞ、散開しろ。」突然先頭を行くウィンは上昇する。ダイアナは少女らしからぬ反応で上昇し始める。近衛隊のメンバーも一瞬遅れたがついていく。すると海面が急に押し上がる。そして、次の瞬間黒い塊が海水を押し退け表れた。
「な、なんだあれ。」「あんなの見たことないよ。」
近衛隊の面々はやたら何か言っていた。
「今すぐ引き返して知らせに行くぞ。」
ウィンはそう言うと引き返すよううながす。
「こいつの進路は王都のディアゴだ。」
まだ気付かない近衛隊に対しウィンが言う。
「隊長、今すぐここで仕留めましょう。あんなやつすぐに倒して見せます。」近衛隊の若い3人はそういうが、「駄目だ、相手の正体もわからないまま攻撃すると思わぬ反撃来るかもしれん。それに今は姫の護衛だ。」ウィンはそう言うが若手の一人が攻撃に向かう。
「うぉーー。」彼は竜の上で抜剣をし伊807に向かう。(先ずは首。)
彼はまず艦首を狙い、剣をはしらせるが
バッキィーン
鈍い音がなり剣が折れた。
「………な、!?」彼は一瞬何が起きたかわからなかったが自分の得物を見て驚愕した。
「そ、そんなミスリルでできた剣が…。」
彼はぼーぜんとしたが次の瞬間、
ボーーーーーーーー
黒い塊が遠吠えをする。
「う、うぁ。」恐怖で動けなくなった彼を救ったのは隊長だった。
「何をしている。早く逃げるぞ。」
ウィンは無理矢理彼の乗っている竜を動かす。
「あ、ありがとうございます。」
「お礼言う前にちゃんと自分の竜を動かせ。」
「は、はい。」
ウィンと彼は速やかに離れていった。
深度20m
伊808
「よし、引き返していったか。」潜望鏡を見ながら伊807の艦長がそう言うと
「早く帰れ。」伊808の艦長が言う。
「何や久しぶりに会ったのに冷たいぞ。」
「定数の約二倍はいるんだぞこれくらい冷たい方がちょうどいい。」
「お、うまいこと言うな~。」
「どうでもいい。早く帰れ。」
何故こんなことになったかというと、万が一伊807が攻撃され撃沈されてもいいようにである。
というわけで伊807はあらかじめ総員退艦をし伊808に乗り込んだのだ。伊807はあらかじめうたれたプログラム通り動き今に至る。
何はともあれ作戦は一応の成功をおさめる。




