第十一話
ダイナ王国 14時20分
王城 フォンロック 謁見室
「表を上げ。」謁見室に唯一あるイスに腰掛けたいかにも王様らしい風貌を持った人物がそう言うと
「は、」
近衛隊隊長ウィンは下げた頭をゆっくり上げる。
玉座の横には王妃と姫が控え、ウィンの右側には大臣たちが並んでいた。
「此度は我が娘が迷惑をかけたな。そちの働きはいつも感謝しておる。して、どうした?」
「はい、セルク諸島沖合いにて謎の物体が海から出てきましたゆえ、そのご報告を…」
「ふむ、謎の物体……とな。」王は顎に生えた髭を撫でながらイスにもたれ掛かる。
「ウィン近衛隊長、そのようなことにかまっている程我々は忙しくないのだぞ。」
小馬鹿にしたような調子でそう言ったのは財務大臣のサンテルである。
「……して、それはどの様なものであったか。」
サンテルの言葉を完全に無視をしてウィンに発言を促す王はお前は黙ってろと顔でサンテルを見た。
「は、色は黒く、円柱に突起物が付いたものが横たわった感じのものでした。前は丸みを帯びて後ろは海中の中でした。大きさは一等戦列艦の倍はあったかと。」あまりの内容に謁見室は面をくらったように静になった。いち早く回復したのは王である。
「……むぅ~、そいつの正体はわかるかウィン」
全員がウィンに注目した。彼らもまた同じ疑問を持っていた。
「は、残念ながら私はそのような物を知りません。ただ、私が愚考するに正体不明のそいつは人工的に作られたものだと思います。」
「な、なんだと。そんなバカな!!」
真っ先に反応したのは軍務卿である。が、王はそれも無視する。
「なぜ、そう考えた?」
「は、そいつの表面には四角形や円があったからです。自然ではそんなものは出来ません。」
「一体いつまでそのような狂言を申すのだ!!陛下の御前であるぞ!!」叫んだのは軍務卿。
「……証拠は無いのか。ウィン近衛隊隊長。」そのやり取りを見かね、冷静に具体的なものを出すように促すのは外務大臣。
「は、そいつに接触した際部下がミスリルの剣で攻撃しましたが、ただ一度の攻撃に耐えることなく折れました。鑑定士が鑑定をした結果「ミスリルより固い物体にぶつかり折れた。」と断定しました。これがその剣です。」
ウィンは腰にある二つの剣のうち一つを取り出し王に渡す。王は鞘から剣を出すとそこには真ん中から綺麗に無くなった剣があった。
「そんなものは偽物だ!!仮に本物だったとしてもオリハルコンにぶつければ作れる。」軍務卿はひたすらそれを否定する。
「そんなことをしてなんになる?何処かの木偶の坊は余程経済的に余裕があるらしい。それだから肥え太るのですよ。」外務大臣が呆れた声で軍務卿を挑発し、ほくそ笑む。
「……き、貴様。」軍務卿は目を血走りながら外務大臣と相対する。軍務卿は剣に手を伸ばし握り抜こうとするが、すんでのところで思い止まり大きく息を吐きつつ声を捻り出す。
「貴様、ふぅ…、成り上がりの分際で…ふぅ、この伝統ある貴族…ふぅ、馬鹿にするのかぁー!?」軍務卿は堪えに堪えて言葉を吐きつつものすごい怒気で威圧する。
「止めんか、陛下の御前であるぞ。」そんな二人をたしなめるようにトーンが低く冷たい声を出したのは首席大臣のルノーワである。彼の言葉には何故か逆らえない節が政府にはあった。
「…頭に血が上ってしまい、このような醜態を晒してしまい申し訳ありません。」
「………………。」
外務大臣は素直に頭を下げ元の位置に戻ったが軍務卿は未だに戻らない。
「軍務卿、念には念をだ。すまないが我が国近海に偵察を出してくれ。」
王は退くに退くことが出来なかった軍務卿に退室するように促す。
「……は、陛下の仰せのままに。」
軍務卿は礼をすると退室していった。
ウィンは軍務卿が退室したのを確認すると口を開く「これで報告を終わります。近衛隊はセルク諸島近海を偵察いたします。」
「そうか、わかった。頼んだぞ。」王は満足そうに頷いた。
白い館 9月18日 17時30分
「総理、使節団のリストを作りました。此方になります。」赤城外務大臣は書類を渡す。
「代表は岩倉か。」伊部は一通り目を通した上で気になったことをいってみた。
「はい、彼の外交的手腕は学歴、経歴から見ても優秀であり、外務省の中でも古参なので適任かと。」
「私もそう思うよ…ところで彼らはもう向かったのか?」
「はい、今頃は空の上でしょう。」
「そうか…、さて事後報告にはなるが記者会見をおこなうプレスを待たしておけ。」
「は、わかりました。」
(転移から一週間と少し、驚く程目まぐるしく変化している。日本に住む人はついてこれるだろうか……。)
伊部の懸念は一時間後の記者会見てでることとなる。
誤字脱字があるかもしれません。すみません。
次がいつになるかわかりません。すみません。
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