■第29話 コースケの真実
リュータ・リカコ・ナチの3人は、保育園を離れ道路向かいの公園に来た。
三人共が俯いて思い詰めた感じで、誰も口を開こうとしない。
重く苦しい空気が体中をまとい、嫌味なほどに鈍く留まる。
『・・・どうゆう事なんですか・・・?』
ついにナチが、沈黙を破った。
その声色はもう既に泣き出しそうに震え、少しの夕風にもすぐ掻き消され
そうなそれで。
リカコが小さく溜息をついた。
足元の小石を爪先で弄び少し考えあぐね、少しずつひとつずつ話し始めた。
『コースケにはね・・・
4つ上にお兄さんがいるのよ。 ケイタさん、ていう。
すっごい仲がいい兄弟でねぇ・・・
ケイタさんは頭も良くて、運動も何でも出来て。
コースケ、出来のいいお兄さんを本当、心の底から自慢に思ってた・・・
ケイタさんには、マリさんていう彼女がいてね。
すごく・・・
こう、なんてゆうか・・・ 悲しい感じがするキレイな人で・・・
コースケとケイタさん・マリさんは、いっつも一緒にいたらしいわ。
私達が知り合う、もうずっと前から・・・
でも4年前のある日、
突然ケイタさんが誰にも、何も言わずに何処かに消えてしまったの。
大学にも、勝手に退学届が出されてた。
そして、残されたマリさんのお腹には新しい命が宿ってた・・・
さっきのあの子・・・ たっくんが。
マリさんに子供が出来た事を知って、ケイタさんは逃げたのよ。
将来有望のまだ若い自分が、子供なんか出来ちゃって
これから先の、輝かしい将来に傷でもつくと思ったんじゃない・・・?
その日以来、コースケはずぅっとマリさんを支えながら生きてるの。
それが ”愛情 ”なのか ”家族愛 ”なのか、
ケイタさんの罪を代わりに償っているのかは私達には分からない。
でも、コースケは何よりも誰よりも、マリさんを優先するの・・・
マリさんしか・・・
・・・マリさんの事しか・・・ 見えてないのよ・・・・・・・・。』
ナチは黙って俯いて聞いていた。
きつく握り締めた手の甲に、涙の雫がこぼれ落ちる。
行き場を亡くした遣り切れない思いに襲われ、一言も発することが出来ない。
(リコ・・・・・・。)
ただただ、リコを思って涙が落ちた。




