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■第13話 リュータとリカコ


 

 

コースケが、特に仲が良く親しいリュータとリカコを二人に紹介した。


気さくなリュータ・リカコに対して、少し緊張してかしこまった挨拶を

交わすリコとナチ。

 

 

手持無沙汰で少し視線を泳がせたリコが、コースケのソースだらけの

エプロンを指差して言った。

 

 

 

 『コーチャン先生が、焼きそば作ってるんですか?』

 

 

 

なんだか大学生男子が着けるにはそぐわない可愛いキャラクターが描かれ

たエプロンの、飛び跳ねたソースの茶色いシミがまるで模様のよう。


すると、『 ”コーチャン先生 ”・・・?』と、リュータとリカコが同時

に声を合わせどこか訝しげに呟いた。

 

 

一瞬できた不思議な ”間 ”。

 

 

なんだか少し重い二人の声色に、リコは先日商店街で園児からそう呼ばれ

ていた話をした。

 

 

『タクヤに会ったんだよ、商店街で。』 コースケはいつもの穏やかな

口調でリュータ・リカコのそれなど何も気にしていない顔で返す。

 

 

 

 『・・・・・・・へぇ。』 

 

 

 

やけに意味ありげな重苦しさを含んだ感じのリュータとリカコ。


再び、言葉に出来ない妙な空気が流れていた。

リコは不安げに二人へ視線を向けると、リュータもリカコもなにか濁して

いるような思い詰めた顔をして目を伏せていた。

 

 

 

 (話しちゃダメなことだったのかな・・・。)

 

 

 

訳も分からぬまま、二人の顔色を伺いリコは俯いて眉根をひそめていた。

 

 

 

 

 

 

するとそんな場の空気など何も気付いていないコースケが、リコとナチに

学祭の案内をかって出た。

 

 

 

 『せっかく来たんだから、見てまわりたいでしょ~?


  昼ごはんは??


  食べてきてないよね??』

 

 

 

コースケの口から出るそれがあまりに呑気で柔らかくて、瞬く間に重かっ

た空気が一変し、なんだかホっとするリコ。

それと同時に、案内してもらえる事に内心素直に喜んでいた。

 

 

ふと、ナチにも同意を求める目を向けると、

 

 

 

 『私、焼きそば焼く方やりたいから。 二人で行って来て!』

 

 

 

あからさまな作戦でリコをコースケと二人にしようとするナチ。


それが ”作戦 ”だという事はすぐさま気付いたリコだったが、恥ずかし

い反面やはり正直嬉しかった。きゅっと口をつぐんでこっそり息をつくと

ナチのそれに気付かないフリをして、コクリと大きく頷いた。

 

 

『じゃ、ちょっとまわって来るわ~。』 リュータ・リカコ・ナチに声を

掛け軽く手を上げて進むコースケの少し後ろを、リコは照れくさそうに頬

を緩め歩き出した。

 

 

その場に残された三人。


ナチは優しく目を細めリコに小さく手を振りながら ”リコ頑張れよぉ!”

と心の中で呟く。

 

 

すると、

 

 

 

 『!!!っ。 うぐぅ・・・ くくく苦しい・・・!!!』

 

 

 

それは、コースケとリコの姿が学祭の喧騒の奥へ消え見えなくなった途端

のこと。背後に立っていたリュータがナチの首元へと腕を回し、ヘッドロ

ックをかまし締め上げた。


突然のそれに目を白黒させてナチはリカコへと助けを求める視線を向ける

もそれを助けるどころか、ナチの両頬をつねって両端へ伸ばしはじめる。

 

 

 

 『ななななナンなんですかぁ~~~、 や~~め~~て~~~』

 

 

 

訳も分からず、されるがままのナチ。


つぶれたカエルのような情けない顔でジタバタと足掻くも、二人掛かりで

攻撃されて為す術も無い。

 

 

すると、終始無言でグリグリとナチを締め上げていたリュータが口を開く。

 

 

 

 『余計なコトすんなっつーの!


  犠牲者を増やすなっ! カシューナッチめっ!!』

 

 

 

そこへ、リカコも続く。


つねっていたナチの頬を今度は手の平でぎゅぅっと押し潰すと、唇がタコ

のように突き出る。

 

 

 

 『コースケとくっ付けよう、なんて思わない方がいいから。


  ・・・ねぇ? ああゆーの、やめときなさい。』

 

 

 

急に強引に詰め寄られて、ナチの頭の中は ”? ”でいっぱいだった。


なぜ、なぜ、なぜ。

何故、リコとコースケを近づけてはいけないのか。何か理由があるのなら

それを知らされないままで納得なんて出来ない。

 

 

 

 『どーゆう意味ですか?


  ちゃんと説明してくんなきゃ、納得出来ませんっ!』

 

 

 

ヘッドロックにもがきながら、ナチが目を眇め強い口調で言った。

 

 

 


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