表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/9

帰り道にて①

いわゆるボーイミーツガール物の作品でございます。

夢見がちなヘタレ高校生・早良さわら 汰郎たろうと、可愛いケド手が付けられない程ジャジャ馬な小学生・祇園ぎおんの 円袴まるこの心温まる物語……になる予定です(汗)

気ままに連載を続ける予定ですので、可能であれば最後までお付き合い頂ければと思います。

この作品を読んで人間が成長する事に、その快感にちょっとでも酔いしれて頂けたら幸いです。


登場人物


早良さわら 汰郎たろう:主人公。並外れて低い身体能力しかないのにボクサーを志す夢見がちで坊ちゃん気質な高校一年生。

祇園ぎおんの 円袴まるこ:小学生の女子。本来は元気で明るい女の子。だが様々な問題を抱えており苦悩が耐えない。美少女。

御木本みきもと まがね:小学校時代からの腐れ縁。中学は別々の学校に進み同じ晴櫻学園に入学して再開を果たす。よく部活の帰りに汰郎と一緒に帰る。

・西山:ボクシング部の同期。落ちこぼれの汰郎を迷惑視して退部させようと色々画策する。

・祇園 信近のぶちか有紗ありさ:円袴のパパ&ママ。昔は仲が良かったが今はすこぶる悪い。円袴の悩みの種の1つ。

颯波さっぱミナト:ボク部の先輩。高2。人当たりが良い。

六色むついろ 碧ル(へきる):ボク部のマネージャー。高2。エネルギッシュで人望も厚い美人。汰郎の憧れの人

賑やかな談笑が一区切りしたタイミングで、おれ達は颯波先輩と六色先輩に挨拶し、ファーストフード店を出た。

「ん、」

「ほぇ?」

おれが円袴に手を差し出すと、彼女はよくわからないといった顔をしておれを見上げた。

「兄妹ってのはフツーこれくらいするだろ」

そういいながら、おれは強引に円袴の手を握った。

もしかしたらキモイ!って言われて鉄拳が飛んでくるかもと内心腹を括ったが、しかしそうはならなかった。円袴は目を輝かせて、彼女の手を握るおれの手を「えへへぇ~」と嬉しそうに笑って自分の頬をくっつけた。

「さ、帰るぞ」

「うん!」

嬉しそうな円袴を見てると、なんだかコッチまで嬉しくなって心が温かくなった。

そうしておれ達は心地良い気分を噛みしめる様にゆっくりと帰り道を歩いていった。


では――そろそろ聞き出してみようか。

そう。おれが最も気になっているコト。

さっき部活の練習中におれの身体に起こったアノ現象について!

「――なあ、円袴」

おれは一つ咳払いをしてから円袴に尋ねた。

「なに?」

「そろそろ教えてくれよ。ホラ、さっき練習中におれの身体に起きた異変のコトだよ。あれはその……本当に……魔法――なのか?」

さあ、果たして円袴なんて答えるのか――。

「うん!そーだよ」

間髪入れずに答えやがった。

しかも肯定してるじゃんか。

まさかこうもハッキリ答えるなんて……そ、そうか。やっぱり魔法なのか。

「へへーっスゴイっしょ!」

「う、うん……」

「しつもん終わり?」

「う、うん」

……じゃねーだろ!

ちょっと待ってくれ!

なんだよ魔法って?

そんなのあるわけねーじゃん!い、イヤでも。もしかしたらひょっとしたらまさかホントは……あ、あるかもしれないけどサ?

でもそんないともカンタンに、アッサリと「魔法出しましたーっ♪」て具合にできちゃうモンなワケ?

どこが気になるんだと言われると何も言えないんだけど、とにかく全てが釈然としない。ううぅ~、スッゲーモヤモヤする!

「お、オマエさあ、一体いつからそんなコトが出来るようになったワケ?」

すると円袴は突然おれの手を解いて、その場でジャンプした。

「え?」

おれは思わず自分の目を疑ってしまった。

円袴の跳躍は“ジャンプ”したというよりも、“フワァッと浮き上がった”といった方が正しかった。

おれよりも数十センチも高い壁の塀にいともカンタンに飛び移った彼女は、その場でおれを見下ろしながらさっきの質問に答えた。

「昨日だよ」

「き、昨日……?」

「ああ!」

円袴はニカァ!と笑った。

「昨日の部活の後……汰郎と鉄と別れてウチに帰った後でアタシ、ウチを飛び出したんだ。

――その後で魔法に目覚めたの」

おれは今円袴の言った言葉をすぐには理解できなかった。

とりあえあず一番驚いた事がクチをついて出た。

「ウチを飛び出しただって?一体なんでだよ?」

おれが尋ねると、円袴は突然おれに飛び掛った。

「うわ!」

いや、単におれに抱きついただけだった。

でもとっさの事だったので、おれはそのままコンクリの地面に叩きつけられてしまった。

「イッテ~。なにすんだよオマエ!」

怒ってるのに、円袴は少しも悪びれずニコニコ笑っていた。

「あのなァ。さっきから随分幸せそうに笑ってらっしゃいますが、何がそんなに嬉しいんだよ?」

すると円袴は急に顔を真っ赤にして、俯いてしまった。

何かモゴモゴと小声で喋っているので耳をそばだてた。

「あ、アリガトな汰郎……」

「えっ」

「アタシがもうダメだってあきらめた時、空からさ!汰郎がアタシを呼ぶ声が聞こえたんだよ。そのおかげでアタシは助かったんだ!」

「??? どーいうコトだよ?」

その時だ。

突然目の前の景色が変わった。

おれの視界ではなく、頭の中に突然全く関係ない映像が差し込まれた……そんな感じ。

それは全く見たこともない風景だ。

瓦礫だらけの、いわゆる廃墟が辺り一面に広がっていた。

全てが死んだような静寂と、見渡す限りの空が一気に落ちてきそうな重苦しい圧迫感。

ただその場にいるだけなのに無性に不安を掻きたてられる。

そして、すぐに気が狂いそうになった。

「ぐっ!」

おれは思わず頭をおさえた――。

「だいじょうぶ?汰郎!」

頭を振って目を開けると、さっきまでの映像は消えて、目の前には心配そうな表情でおれを見ている円袴がいた。

そしてピンと来たのだ。

そうか……。今、おれが見たモノ――。

それは彼女の、心がきしむ様な灰色の記憶だったのだと。

そして思い出した。

おれは円袴と初めて出会ったあの日よりも前に、実は一度だけ出会っていたんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ