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少女

「改めて、君の名前はエヴァ・シュミットで間違いないだろうか?もし差し支えなければ、君のことを、教えてくれないか?」

真人の穏やかな問いかけに、エヴァは小さく身を縮めた。彼女の猫耳がぴくぴくと動いた。その沈黙を破ったのは、他でもないアレックスだった。

「その前にさ、まずは俺らの自己紹介じゃね?」アレックスは、いつもの調子で明るく言った。「俺はアレックス!見ての通り盗賊だぜ!クールだろ?」

続いて、サラが淡々と自己紹介をした。「私はサラ。弓を使う。ギフトは【直感】。よろしくね。」

リーは、一言だけ告げた。「リー。戦士だ。」

その潔さに、エヴァは少しだけ安心したように見えた。真人は、改めてエヴァに向き直る。

「俺は真人。このパーティーのリーダーだ。天職は魔法士で、ギフトは【鑑定】。頼りないかもしれないが、よろしく頼む

。」

四人の自己紹介を聞き終え、エヴァはゆっくりと、震えるような声で話し始めた。

「私……地球では、中学生でした。」

その言葉から、真人もアレックスも、そしてサラもリーも、彼女の幼さを改めて実感した。

「私...家にも、学校にも、居場所がなくて……毎日が、とても辛くて……」エヴァの瞳に、うっすらと涙が浮かんだ。「それで……屋上に行って…後ろから風が吹いて…」

馬車の中が、重い沈黙に包まれた。真人の胸には、言いようのない痛みが広がった。自ら命を絶とうとするほどの絶望。それは、彼には想像しがたい苦しみだった。

「でも、その時……目の前に、綺麗な、おねぇさんが現れたの」エヴァは、まるで夢を見ているかのように、遠い目をした。「そのおねぇさんが、私に言ったの。『貴女の願いを叶えてあげましょう。周りの人から、貴女が見えなくなる、すごい力をあげます』って。それと、『新しい、丈夫な体もあげましょう』って……」

真人は、ゴルダインでリーが語った言葉を思い出した。リーもまた、地球で病に苦しみ、この世界で新たな身体を得た。地球での何かが転生者の共通点にあるかもしれない。真人は頭の片隅でそんな事を思っていた。

「あとね、傷を治す力もくれるって言ったの……『痛がってる人がいたら、この力を使ってあげてね』って……」エヴァは、自分の手のひらをそっと見つめた。「おねぇさんは、ふわって、消えてっちゃった。で、気がついたら、あの森にいたの。人が...いっぱい倒れてて......血が...」

エヴァは膝を抱え震えだしてしまった。

サラは震えるエヴァの身体を、そっと抱きしめた。普段は感情を表に出さないサラの行動に、アレックスも真人も驚きを隠せなかった。しかし、リーもまた、無言でエヴァに近づき、大きな手で、彼女の小さな頭を優しく撫でた。

エヴァは、二人の温もりに、小さく嗚咽を漏らした。

真人は、重い空気を振り払うように、口を開いた。

「エヴァ、君の力は、とても役に立つ。君の回復魔法は、多くの命を救うだろ。」真人は、言葉を選びながら続けた。「王都に着いたら、騎士団に君の身の安全と、今後の生活について相談しよう。きっと、君が安心して暮らせる場所を用意してくれるはずだ。」

真人の提案に、エヴァはサラの腕の中で顔を上げた。その瞳には、再び戸惑いの色が浮かぶ。

「それは……ダメなの。」エヴァは、首を横に振った。「あの綺麗な、おねぇさんが言ってたの。『貴女の姿が見える人がいたら、その人に、着いていくように』って……。」

そして、エヴァの小さな指が、アレックスを指差した。

「だから……アレックスに、着いていく……。」

真人は、思わず頭を抱えた。サラもリーも、同じように深い溜息をついた。

「いや、危険な目に遭うかもしれないし……。」真人が言葉を紡ごうとするが、エヴァは首を振り続けた。

「だって、見えたんだもん……アレックスだけ。」

「そうだな…。」サラは困ったように呟いた。リーも、眉間にしわを寄せていた。

馬車の中に、重い空気が流れた。真人は、この幼い少女をどうすれば良いのか、頭を抱えるばかりだった。

その時、アレックスが、馬車の窓から外の景色を見て、突然叫んだ。

「うおおお!海だ!海が見えてきたぜ、ブラザー!海入ろうぜ!」

アレックスの能天気な声が、それまでの重苦しい空気を一変させた。



【本日の残業報告】

・新たな転生者を保護

・対象個体:13-16歳 女児

・自己紹介フェーズ発動

・転生時の共通因子に仮説進展

・アレックス:フラグ所持者に任命される

・責任者:おねぇさん(未確認)

・アレックス:目の前の状況認識不可


#本日の残業報告#修復系主人公#回復ヒロイン小動物型#このPTに未成年預けるのどうなん?#おねぇさん誰なんだよ問題#癒されないのはこっちの胃袋#神託でアレックス指名#王都の案は採用されませんでした#空気の読める海#何があっても海には入りそう

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