第31話 検討
ご無沙汰してます。
再開記念で、夜中にもう一話投稿できるかも…。
聖騎士ジルベールは王国を出て帝国へ向かう途上であった。
教国の聖騎士であるジルベールは、帝国の使者であるラズリーからの依頼で王国から帝都へ密書を届けるために向かっている。
王国から帝都に向かう道にも魔物が跋扈するが、それ程脅威となる魔物は現れずジルベールにとってはさほど問題となる相手ではなかった。
王国を出てしばらくは商人や冒険者なども同じ道を使うためにジルベールの周囲にいたが、単騎で馬を駆るジルベールの速度に付いて来れるものもおらず、次第に人影もまばらとなっていく。
そして周辺に人影が無くなった頃ジルベールは懐から預かった密書を取り出し、蜜蝋で押された封印を気にすることもなく乱暴に破り開ける。
(ふっ、帝国の使者はダンジョンが攻略済みなのも未だ知らないと見える。
これでは何のために王国に居座っているかわからんな。
それに勇者を帝国に引き抜く算段を今頃行っているようでは話にならん、ダンジョン攻略前でなければ帝国の戦略が破綻するだろうに。
まあ所詮背教者どもだ、この程度の知恵があるだけましな方なのだろうな。
司教様にはこの情報もお知らせすべきであろう、王国のダンジョンコアの件とオズボーン女侯爵の件に比べればどうでもいいような情報だがな)
ジルベールは密書を読み終わると元の形に戻していく、もちろん乱暴に破られた密書はそのままだが。
そして何やら詠唱を始めるジルベール。その手元が輝くと乱暴に破られた密書は元の通りに復元されていた。
(この程度の内容なら破棄しても良いが、勇者の引き抜きで帝国がもたつく可能性もある。
今は愚かな背教者にかける時間が惜しいからな、せいぜい帝国には無駄な時間を送ってもらうとするか)
ジルベールはにやりと口元をゆがませると、帝都に向け馬を駆るのだった。
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ダンジョン攻略の依頼がフィアから伝えられて数日、いまだ依頼の条件が決まらず俺達はまったり過ごしていた。
そんなある晩、
「ねえ仁? 今更言うのもなんだけど私達って避妊してないよね」
「…そうだよな」
「もちろん仁のことは信用してるよ、でもこのタイミングで子供が出来るといろいろマズいんじゃない?」
「ああ、王国から脱出するにしても妊娠しているといろいろ問題があるだろうな…。しばらく控えるか?」
「えー、それは無理っていうか嫌! そうじゃなくてこないだ世奈ちゃんと書庫に行ったときに避妊の魔法を見つけたのよ」
「その魔法を使えば子供はできないってことか? でもこの先も出来なくなるとか危険は無いのか?」
「それは大丈夫みたい、3カ月程度しか効果が無くて継続的にかける必要があるらしいわ」
「まあ、その手の魔法なら一般的にも使われてるだろうし大丈夫なのかな」
「そうね、いちおう侍女さんたちにも確認したけど問題なさそうよ」
「じゃあ穂乃華お願いできるか? 将来的には子供は欲しいが今はもう少しこうやっていたいからな」
「ふふふ、そうね。まだまだ仁にいっぱいして欲しいからみんなにも魔法をかけておくね」
「ああ頼む。この世界はどうか知らないがまだ俺達は高校生の年だもんな」
「そうね元の世界なら女子高生を孕ませたら、色々叩かれたでしょうね」
「そういう意味では異世界様様だな。こうやって3人も女子高生を侍らせても問題ないんだからな」
「3人だけじゃなくって、王女様も侍らせてるのよ。元の世界なら週刊誌に載るレベルよ」
「違いない。とりあえず子供はもう少し落ち着いてから考えたいよな」
俺は順番だった穂乃華とふたり、のんびりと寝室で語らう。すでに一戦以上終えているのはいつものことだ。
翌朝穂乃華が世奈たちに昨夜の話を伝え魔法をかけていた。
話の経緯やその前後を根掘り葉掘り尋ねるガールズトークにグレースも加えた四人は顔を赤くしながらも嬉しそうにしていた。
ドアがノックされフィアが戻って来たのは、まさにそんな最中であった。
「ジン様、バレンストを襲っていた魔物が討伐されたよう…、皆さん私もお話に混ぜてください!」
「おいフィア…」
「いいわよぉ、昨日の晩ね穂乃華が…」
「まだ子供は早いよね…」
「安心して出来ますわね…」
「私は子供が欲しいかも…」
フィアは用事も忘れガールズトークに混ざってしまう。
「はぁ…、ちょっと待つことにするか」
結局フィアから話が聞けたのは、それからしばらく経ってのことだった。
「それでダンジョンから溢れた魔物は討伐されたのはいいけど、ダンジョンの活性化は収まったのか?」
「いえ…そこはまだ未確認とのことですわ」
「その報告内容だと溢れた魔物は討伐されたけど、ダンジョンは未着手っぽいよな」
「それじゃあ、しばらくしたらまた魔物があふれるんじゃない?」
「それよりシンヤがぁ、そんなすっごい魔法使える方が驚きだよねぇ」
「その件ですが、報告では黒い全身鎧の兵たちがその魔法を一斉に放ったとのことですので聖様ではないようですね」
「なぁんだ、結局シンヤは使えないままってことなのねぇ」
「あのね、気になったんだけどまた溢れてくる魔物って今回と同じなのかな?強くなってたりしないかな?」
「世奈ちゃん冴えてる。そうよね後から出てくるってことはより深いところの魔物でしょ?じゃあ次に溢れたらやばいんじゃない?」
「そうだよな、また聖がやって来るとも限らないし対応はどうなってるんだ?」
「はい、今のところは討伐されたことで一安心しているだけで、今後の対策は検討されていないかもしれませんわ」
「はあ…、それでまた溢れたら俺達に泣きついてくるってのか?」
「申し訳ありません…」
「いやフィアを責めてるんじゃなくて、この国の上層部のお粗末さにあきれてるだけだよ」
「そうよね、こういうのってもっといろんな対策が打たれて解決するまでは気を抜かないイメージよね」
「うんうん、作戦本部!みたいのがあってみんな寝ずに頑張ってるみたいなやつだよね」
「そういう意味じゃこの国はお気楽すぎるよねぇ」
「まあ俺達にはまだ正式に依頼があったわけじゃないし、今後のことは王国の偉いさんに考えてもらえばいいだろ?
芹那、念のためにその溢れたダンジョンをピーちゃんに一度見に行ってもらってもいいか?」
「いいよぉ、ピーちゃんも空を飛びまわってる方が機嫌がいいからねぇ」
「出来れば定期的に様子を見てもらえれば、報告が回るよりも早く状況が確認できるな」
「えへへぇ、じゃあ仁がいっぱいご褒美くれるなら頑張っちゃうよぉ」
「あっ、芹那が抜け駆けするなんて」
「芹那ちゃんだめだよぉ、ご褒美はみんなで一緒に貰わないとね」
「えぇーどうしよっけなぁ、ピーちゃんに偵察してもらうんだから私を一番かわいがってくれるならみんな一緒でもいいよぉ」
「仕方ないわね、それでいきましょう」
「うんうん、芹那ちゃんのご褒美だからね。私たちはおすそ分け程度で大丈夫だよ」
「…俺の意見は聞いてくれないんだな…」
「ちょっと気になったんだが、その黒い全身鎧って魔法を使ったんだよな?」
「はい、その様に報告は上がってきておりますわ」
「俺達がダンジョン攻略したときに感じたんだが、ダンジョン付近は魔力が非常に薄くなっているんだ。
つまり普通に魔法を使うのは不可能とは言わないが、非常に難しいんだ。実際穂乃華の協力が無ければ充分な魔力を集めて魔法を使う事はできなかったからな」
「つまり、黒い全身鎧が強力な魔法を使ったことが、ダンジョン周囲の魔力が薄くなっていることと矛盾しているという事ですね」
「そういうことだ。実際聖は大した活躍はしてないんだろ?」
「シンヤが口だけでへぼいのは、今に始まった事じゃないでしょ?」
「俺様キャラなのにぃ、自分では何も出来ないのよねぇ」
「聖君の評価が暴落しすぎだね」
「まあ、聖が大した魔法を使えない可能性もあるんだが、その黒い全身鎧が魔法を使えたのが気になるんだ」
「えーっと、たしか魔法を使うには周囲の魔力と魔法制御が必要だったのよね」
「そうそう、魔力を集める能力とそれを制御する能力がそろって魔法が発動するんだよね」
「じゃぁ魔力が周りにないのにぃ魔法を使ったんなら、その魔力はどこからきたんだろぉ?」
「聖って、なんとか言う女侯爵に攫われたんだったよな?」
「そういえばそんな事あったよねぇ、奇麗に忘れてたわぁ」
「芹那ちゃん酷すぎ。まあ私も忘れてたけどね」
「あんたたち…、でも攫われたのにその女侯爵に従ってるのってシンヤらしくないわよね」
「あいつの性格からして、誰かの下に付くなんて想像できないよな」
「聖なる勇者である俺様が!っていってたもんね」
「くくくっ、世奈ちゃんそれ止めて…お腹が痛い」
「でもぉ、奴隷にする首輪かなんかも一緒に盗まれたとか言ってたからぁ、それでじゃないのぉ?」
「まあプライドが高いわりに打たれ弱い、ヘタレな性格だからな。ちょっと痛めつけられてビビってる可能性もあるか。
どっちにしても、女侯爵の手駒になっているのは間違いなさそうだよな」
「そうね、やくざの手口とかにある暴力を振るった後に優しくするってやつ? シンヤならすっぽりはまりそう」
「ああ、女侯爵ってぐらいだから聖君を甘えさせてペット扱いしてるかも」
「ママぁってシンヤが呼んでたら、絶対に耐えれないわぁ。ぷふふふ」
「聖の話はどうでもいいんだが、その女侯爵がダンジョンコアを持っているのと黒い全身鎧が関係するのかが気になるんだ」
「どうでもいいって…まあシンヤの扱いはそんなもんよね。で、たしかダンジョンコアから闇の何とかってスキルが取りついたんだったよね?」
「"闇の種子"ね。あれ?ダンジョンコアからうつるんだったら王太子君は何でうつったのかな?」
「セナ様ステファンのことを気にかけていただけるのは大変うれしいのですが、今はステファンのことよりもジン様が気にかけておられる黒い全身鎧の話を先にお願いしますわ」
「なんかぁその黒いのは闇の関係者って仁はいいたいのぉ?」
「ああ、このタイミングで無関係な新しい魔法の技術が見つかったというよりも、闇、ダンジョンコアに絡んでいるという方が納得できるからな」
「じゃあ、地下に捕らえてるっていうマシューだっけ?に聞いてみたら?あいつってそんな事ばっかり研究してたんじゃなかったっけ?」
「おお、穂乃華ちゃん冴えてる! 穂乃華ちゃんの言う通り、わからないことは聞くのが良いと思うよ。でもなんか危ない人なんだよね」
「そうだな、その辺りはもう一度奴に会って確認した方が早そうだ。ついでと言っては何だが王太子に何をしたのかも確認しておいた方がいいな」
「ジン様、ありがとうございます。ステファンのことは諦めねばならないのでしょうが、それでも何とかしたいと思ってしまうのです。王女として見苦しいのはわかってはいるのですが…」
「フィア、そんなことないよ。家族なら当然だし、見苦しいなんて思わないから」
「そうね、弟なんですもの、当たり前のことよね」
「そうそう、フィアが悪いわけないじゃないんだから気にしないで仁に甘えとけばいいのよぉ」
「そうですわね! では早速ジン様!」
「ちょ!フィア抜け駆けはダメよ」
「フィアはもう少し自重すべき。隙あらば仁を狙いすぎぃ」
「私は一緒なら別にいいよ?」
素早く抱き着いてくるフィアを抑えながらも、周りからじわじわと輪が狭まっているのは気のせいでは無いようだ…。
「と、とりあえずそういったのは夜になってからな。俺はマシューの所に行ってくるから」
俺は身の危険を感じて、慌てて部屋を飛び出したのだった。
(なんか加護の力が強まってないか? 会話してる間は良かったが終るなり襲い掛からんばかりの雰囲気はさすがに怖いぞ…
好意が上がるのも、程々にしてくれないと腹上死まっしぐらだな…)
スローペースですが、細々と続けて行ければと思ってます。
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